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7/17(土)・ナビスコ杯予選5節・浦和レッズ戦 2004年7月18日(日)19時10分35秒 deletemodify

市原は、もともと一人で状況を打開出来るほどの選手はいない。それに、J1でスタメンを張れるだけの選手を数多く保有するだけの資金力もない。だからこそ、「WIN BY ALL」のスローガンの下に、結束をもって戦わねば名だたる強豪に対して、互角に戦う事は出来ない。

これまで、何度と無く語られてきた事だ。それでも、それを試合の中で表現していく事は難しい事なんだと、思い知らされた試合だった。唯一の拠り所である組織力は分断され、相手を圧倒するスタミナも集中力もなく。目の前で繰り返されたのは、バックパスとミスパス。挑戦する闘志も無く、ミスを取り返そうとする反骨心も、主力不在の今を活かそうとする悲壮感も無く。
ただ浦和の蹂躙を許し、それを当たり前のように受け止める様に、我がチームの置かれている根本的問題の根深さを感じたものだ。

この試合、特に前半は酷いものだった。
サンドロ・マルキ・茶野・坂本・山岸と言った選手を欠き、出場した選手も酷暑の中で行われたキャンプで拾う困憊と言った様子。市原の持ち味であるところの組織的な連動性は見る影も無く、単純なミスを繰り返してはボールを奪われてカウンター。ほぼ全ての選手が守りに追われるという散々なものだった。

普段ならば鍵になるはずの両翼も、開始早々に相手方の激しいチャージで痛んだ村井が、まったく突破する事が出来ない。右翼の楽山も、山瀬・平川と言った相手の勢いに押されてサイドバックのような高さまで押し込まれる。
それならばと中央を細かいパスで通そうとすれば、中島のところでボールが収まらない。危なっかしい場所での危なっかしいシュートパスで、余計にピンチになる。高いボールを叩き込んでも、上がる選手は少なく、トゥーリオとアルパイの高さの餌食になる。

八方塞がりの状況の中で、ただひたすらに守る。
点が入らないのは、浦和のシュートの精度に尽きる。さらに、あまりに攻めながらも点が入らないので、エメルソンが突破するまえに遠めからシュートを撃っては外してくれる。意図した訳ではない、相手の焦りがこちらにとっては幸いになる。
前半から何度時計を見たかも判らない。5分過ぎるのがとても長い。息も絶え絶えになりながら、前半は0−0で過ぎてくれた。

こんな出来では、残り45分が重過ぎる。
守備に忙殺され、体力は削られるだけ削られている。選手達が一番分かっているんだろうが、控え室に戻る足取りは重い。
かといって、控えに居るのは鷲田・結城・工藤・羽地。工藤はともかく、ここまでの出来を考えると切り札的な役割を担えそうな選手は居ない。前週のサテライトで動きの良かった新人も居ない。居る選手になんとか頑張ってもらうしかない。

そして後半、檄も飛んだのだろうが最初ッから遮二無に攻めようとするジェフ。
ゴール前まで攻め込むが、そこから一気のカウンターを喰らって決定的なピンチを迎えてしまう。流れを最初に掴めなかった事で、戦況を一気に変える事も出来なくなってしまった。この後も浦和の攻勢は如何ともし難く、耐えに耐えるものの、永井・岡野と繰り出される快速FW陣に、対応は後手を踏み続ける。

こうなると、もはや専守防衛しか方法は無い。
前半よりは若干組織立った守備が出来るようになって、羽生の頑張りや巻のキープから、前線の林に届こうかと言うプレーが少しずつ出始める。市原らしいサッカーのそれは無いが、勝ちを目指した現実的なサッカーではある。
何度目かの試みのあと、浦和も焦っていたのだろう、オフサイドの裏を突いて林が抜け出る。完全フリー。シュートを撃つぞ!・・・と見せかけて左に流した先には、ドフリーの楽山。流し込んで、なんと先制点が決まる。

静まり返る駒場。ベンチの監督は、すかさず鷲田の準備に入る。悪いながらも勝ち点3を獲れれば、ベスト8への進出が決まる。エメルソン−永井−岡野を並べた浦和に、大輔−結城−鷲田を当てて守りきるつもりだ。
一気呵成に、攻め込む浦和。ここを耐え切れば、先も見える・・・はずだった。鷲田がライン際でスタンバったその刹那、長谷部との競り合いに結城がポジション取りで負けて、失点。これだけ硬直していたゲームで点が入れば、試合は動き出す事は目に見えていた。ジェフはこう言う場面を何度も体験してきた。だけれども、全て喉元だ!監督が「壊れたビデオ」と言うのも当然だ!

しかしながら、まだ同点。最低限、引き分ける。そして勝ちをなんとか見出さなくてはならないなかで、相変らず中島・楽山あたりが軽いプレーでボールを奪われては、「ああもう」と言う声が聞こえそうなばかりに、追っかけずに居る。そのヨコを羽生が林が必死の形相でボールを追いかけて行く。
トップとサテの違いが、これだ。バティだってボールを追っかけるトコから始めてるんだ。力が劣る人間が気持ちを切らして、何ぞ勝つことが出来るだろうか。

そのツケはてきめんだ。
後半ロスタイム、岡野が必死に喰らいついたシュートが、櫛野の手の先をかすめて行く。至極まっとうな、1−2の敗戦が90分終わって出来上がっていた。



この数年で、選手も変われば、監督も変わり、サポーターも変わった。
でも、繰り返される現実が同じと言う事は、一体どう言うことなのだろうか。これが市原なのだと思ってしまう自分が情けない。変わるためには時間が必要なのだろう。かつての市原から、今の市原になるために3・4年の時間が必要だったように。このこびりついた悪癖を打破し、常に自分たちを信じきれるようになるには。

去年、勝ちつづけた時は、迷い無く目の前にあるサッカーに取り組めば良かった。
それが今、勝てなくなったその時に、自分たちのサッカーそのものへの信頼が揺らぎ、それが翻って、日々の練習や置かれている環境への疑問に変わることが恐い。

繰り返すが、市原に必要なのは、初心である。
他のチームを恐れるではなく、他のチームの強さを認識し、それに対して挑戦して勝負する気持ちを強く持つこと。そうすれば、自分たちのサッカーは、取り戻せる。

その上で、チームとして浦和に総合力で負けた事をどう見るか。
少ない資金の中で選択肢は少ないにしても、J1で戦えるレベルの選手をより多く揃える事もまた、必要な事なのではないだろうか。補強の手腕もまた、チームの総合力なのだから。

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<GK櫛野>奮闘するも見殺し。彼でなかったら、もっと前に試合は浦和の勝利で決まっていた。

<DFジェレ>セットプレーの場面、クロスに高い壁となって終盤まで失点を許さなかった。前線へのロングフィードは、体格に勝る浦和DF陣の餌食に。
<DF大輔>主にエメルソンをマーク。抜かれる場面もあったが、櫛野にも助けられて大きなミスはなし。終盤には自ら攻めあがるシーンも。
<DF阿部>主に山瀬、交代してからは永井をマーク。中途半端な位置取りになる事が多く、存在感は示せなかった。後半、攻め上がるシーンも増えたが、決定機は演出できず。最初からボランチで見たかった。

<MF勇人>攻め上がる事が出来ず、守備に忙殺された。村井交代後、羽生が右翼に移動した後はトップ下に近い役割に。
<MF中島>ボランチとして守備面の役割を全くこなせず、ミスパスとバックパスで危ないシーンを多数演出した。180cmの体格があるのなら、まず当たる。相手を潰すと言う事は出来ないのか。
ただし、得点に繋がった林へのタテパスは彼の持ち味が凝縮されていた。
<MF楽山>1得点は、あの位置まで攻めあがっていた事を誉めたい。それ以外の場面では、ほとんどバックパスのみで、勝負をしたシーンが皆無に近い。終盤の安易なミスパス、その後にボールを追わない事も意識の差を感じる。頑張っていても、ワンプレーで評価が変わってしまうんだと、もっと自覚して欲しい。
<MF村井>開始早々に相手のチャージで吹き飛ばされ、傷んだのか以後はまったく相手を抜くことが出来なくなってしまった。後半になって結城と交代。
<MF羽生>試合開始から最後まで必死に前線の守備をこなす。この日の数少ない市原側の得点機には、必ずと言って良いほど羽生が絡んでいる。

<FW巻>ボールが来ず、中盤に戻っての守備のシーンが続いた。護衛艦隊を失って丸裸になった戦艦のよう。後半半ばに何度か抜け出ようかと言うシーンがあったが、すんでのところで浦和DFに戻られてしまった。
<FW林>90分通して、攻守に奮闘。楽山の得点も9割は林のお膳立て。試合後も、一人悔しさを押し殺してたたずんでいた。


<DF結城>村井の負傷もあって、ストッパーとして登場。この交代で阿部がボランチに上がり、羽生が右翼に、楽山が左翼に、勇人がオフェンシブに変わっている。楽山の得点のスグ後のシーンで長谷部にポジション取りに敗れ、ヘディングシュートを許してしまった。
<DF鷲田>巻に代わって出場。ファーストタッチでボールを奪われ、試合に入るのに苦労していた様子。鷲田が入ってストッパーは3枚となったが、結果として彼の特徴が活かされる場面は少なかった。
<MF工藤>楽山に代わって出場。時間が短すぎ、仕事をするに至らず。もっと早く投入してよかったのでは?

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<監督オシム>主力の不在もあるが、各選手のコンディションが思いのほか悪かった。オフ明けのキャンプでは酷暑の中で練習試合が重なったため、各選手とも疲労困憊の様子。この試合に合わせて来た浦和(五輪候補組以外)と比べると、その差が際立っており、この試合の位置付けをどう考えていたのか、質問してみたいところ。

P.S.そう思っていたら、今晩の千葉テレビのジェフスタで監督インタビューが。
「他チームがナビスコに備えて準備をしている中で、ジェフはオフを取った。キャンプは2NDステージを見据えてのもの。土曜日(駒場での浦和戦)にはコンディション的にも厳しいものになるだろう。その中でどれだけ出来るか。そしてその次の試合、2NDステージにどれだけ出来るか。」
うーん・・・昨日の試合内容も、監督の中ではある程度予測されたものだったのか。ただ、「失敗を繰り返さないこと」と話しながら今回も繰り返してしまった事が、監督にとって残念でならなかったのだろうな。

同じインタビューで監督は、「このクラブが何を目的としていくかを考えなくてはいけない」「サポーターの皆さんは、優勝争いも若手がもっと成長して活躍する事も、全てを望むけれども、全ては無理だ。時には、クラブをとりまく現状を見つめて、何を望むのかを考えて欲しい」とも。

考えさせられることばかり。物事には、順序が必要という事か。。。

7/11(日)・サテライト・ベガルタ仙台戦 2004年7月12日(月)23時26分13秒 deletemodify

やっぱり週末は試合が無いとどうにも張り合いが無い。。。
そんな思いの人が多かったのか、今日の臨海のサテには500人(!)ほどのサテにしてはの大観衆が詰め掛けていた。少し前までレディースが試合をしていたり、隣で高校野球がやっていたりもあったのだろうが、それにしても人が多い。スタンドには、ファンに混じって仙台のベルデニック監督や、坂本らジェフのトップ選手の姿も見える。

アウェイ側には、前日に平塚で試合を行った仙台のサポが鬱憤晴らしに「カントリーロード」その他、トップ同様の応援を行っている。その周りで小学生がわいわい。まったりムードの市原側の空気もあって、どっちがホームなのか分からないような雰囲気。だが、その仙台も「テクマクマヤコン」だったかネタ応援をやったり、太鼓を地面に置いて叩いてるあたり、まぁどっちもどっち。



しばらくして、選手達が入ってくる。
先頭、キャプテンマークは水本。ゲームキャプテンは、おそらく初めて。
メンバーは以下の通り。このうち、左WBのラクと、ボランチの水野の入れ替わりが激しく、特に後半は水野が左WB的に機能していた。トップ経験者も多く、それなりに出来なくてはならないメンバーだ。



<スタメン>
GK岡本、DF水本・鷲田・結城、ボランチ中島・水野、
左WB楽山、右WB椎原、OH工藤、FW羽地・林
<リザーブ>
GK立石、MFウィマン、FWトンス・市原

対する仙台のメンバーは、元マリノスの小原や数馬、元セレッソの西谷、トップでも試合に出ている萬代あたりが主力。その他は、高卒1・2年目の成長株がばかりの構成。自前選手が多くなったあたりに、去年との違いを感じる。


さて、試合内容の方はと言うと、相変わらずチームとしての出来に乏しい個々の選手のプレーを追うような展開になってしまった。
内容的には、ジェフがある程度余裕を持って受け止めて、仙台をいなしながら反撃の機会を伺う・・・と言う感じなのだが、元気があるのは仙台。特に両WB、7番を着けた関口の動きが良い。椎原ととの対戦では、ほぼ攻守両面で勝ってチャンスを演出していた。逆サイドのラクも、右ほどではないものの苦戦。孤立したプレーが多く、チャンスを作れなかった。

ジェフの攻撃はと言うと、やはりトップ経験の豊富な工藤・中島・林が絡んだ時がチャンスらしいチャンスになる。今日は、ここに水野が再三絡んで良い動きをしていた。

膠着した試合展開の中、前半34分に仙台のミスパスを奪って林が先制。
後半、仙台ユースのFW大久保がスピードを活かして同点にする。市原も、後半27分に林から市原に交代した直後のプレーで、中島→工藤と繋いでループで突き放す。
ところが、そのすぐ後に再び大久保に決められて同点。そのまま引き分けとなった。
スタンド的には「また引き分けか」・・・と言う感じ。「臨海不勝不敗神話」と言う声もチラホラ。個々には良いものが見えただけに、結果が伴わなかった事が惜しかった。


目立った選手では、前出の水野。ボランチとしての中盤の壁になるプレーには不満が残るものの、上手く体を入れてボールをカットし、そこから元来サイドのプレーヤーらしい、挑戦する意欲の見えるドリブル突破や長短のパスでサイドチェンジも積極的にこなしてチャンスメイキングを行っていた。春先に比べると、キックに力強さが増した感じがする。

中島は時折の閃きのあるパスでチャンスメイク。味方もびっくりするような、とんでもないパスミスもあるものの、逆に1点モノのビッグパスも。前半のそれは、羽地が潰したもの、後半の工藤の2点目は、彼のパスからだった。

その工藤、シュートで終わる意識が強く、2列目からの飛び出しでも惜しいチャンスを作っていた。この日の2点目となったキレイなループシュートも、常にゴールを意識していたからこそだろう。
意識と言う意味では、同じく林も相手のミスを逃さずに1得点。慣らし運転としては、まずまずと言う感じだった。


彼らがある程度のパフォーマンスだったから目立ったのだろうが、羽地がチャンスを逃し続けたのは頂けない。工藤とは反対にシュートで終わる意識が低く、周囲を覗ううちにチャンスを失ってしまっていた。
サイドで完敗してウィマンと交代した椎原と並んで、奮起を促したい選手の一人だ。

そのウィマンは、時間も短かったおかげもあってかフルパワーのプレー。
水野・工藤あたりと絡んで右を深々と切り崩す彼らしいプレーが久々に見えた。前回見たときはスタミナ切れも著しかったが、少しずつ動ける時間や試合感覚も戻っているようだった。
交代出場した時、スタンドから拍手と大歓声が上がった事も付記しておく。

最後に、ゲームキャプテンの水本。
相変わらず飄々として落ち着いたプレーぶり。いつの間にかゴール前に進出している事も何度かあって、大輔に似てきたかなと言う空気を感じる。リーグ戦での初出場が自信になっているのか、地味ながら成長著しい感じがした。2NDは代表との兼ね合いになるだろうが、ベンチ入りが増えそうな様子だ。


チームはこれから稲毛キャンプを経て、ナビスコ杯に。
代表で不在の阿部・茶野の隙を覗うのはだれか?楽しみな7月になりそうな予感がする。

6/12(土)・J1ST−12・ジュビロ磐田 2004年6月13日(日)22時10分17秒 deletemodify

一年前、勇躍首位に躍り出て乗り込んだヤマハスタジアム。王者の力を見せ付けられた前半と、取って代わろうとする勢いがブツかりあった後半の攻防。試合が終わったときには、立ち眩むほどに観る側も力を使い果たしていた。
ドローと言う結果を悔しさと、幾ばくかの安堵を感じてしまった事が、市原が結果として勝者足り得なかった所以では無いかっただろうか。

あれから一年。
首位磐田に挑む立場として、ヤマハに戻ってきた。伴わない結果に、迷いを抱える市原の選手たち。勝ち星を重ね、繰り返される賞賛の中に、自信は過信に変わり、いつの間にか全力を尽くして挑戦する気持ちを忘れてはいなかっただろうか?自分は、一年前の激闘の記憶が、「強い」磐田との戦いが、選手たちに再び挑戦する気持ちと「市原のサッカー」を呼び覚ましてくれるのではないか−−−それを期待してスタジアムに乗り込んだ。


市原はベストメンバー。
サブには、巻・林。さらに先週のナビスコ杯で公式戦初得点を挙げた工藤と、中島が控える。サイド要員の山岸が外れたが、攻撃的な構成だ。

対する磐田は、グラウを出場停止で欠き、西も怪我明けでベンチスタート。同じくベンチには、ゴン中山もベンチスタートとなった。先発2トップは、若い前田と西野。右MFには俊足の川口が入った。

ゴール裏は、昨年と同じく黄色一色。関東を離れたアウェイでここまでサポーターが集まるのは、ここ磐田くらいなものだ。それぞれが、大きな期待をもってキックオフを迎えた。


出だしから、磐田のチェックは素早く厳しい。
様子見で始めようとしていたこちら側の意図とはお構い無しに、ボールを持っている選手に強烈なプレッシャーを仕掛けてくる。追い詰められ、不十分な状態でボールを前線に送ろうとすると、たちどころに磐田ボールとされてしまう。
キープや、パスの技術では磐田に分があるから、一度奪われるとなかなかボールを取り戻せない。ここでもしも、5月中のようなゆっくりとした立ち上がりの流れを続けていたなら、きっと圧倒されてしまっていただろう。

試合開始から数分、市原の動きが良くなってくる。
中盤の5人と、前線が連動したウチらしい動きが少しずつ戻ってきた。それは、そうしなければヤられると言う追い込まれた気持ちがそうさせたのかも知れないけれども、厳しいチェックからボールを奪い、ウチにもチャンスが生まれるようになった。後方から、2トップを走らせるタテパスが出始め、こぼれ球に勇人のミドルが放たれる。
そして後半の15分、磐田の攻撃からのカウンター。中央の羽生から村井に絶妙のパスが通る。これを村井が素早く低く中央に折り返したところをマルキーニョスが詰めてゴール!先制!

さらに、畳み掛けるように素早いボール回しの中から、阿部がミドルを放って揺さぶる。
だけれども、これで磐田が動じるような事は無かった。
じっくり同じ厳しさで、強烈な圧力を加えてくる。特に市原側の左翼は村井と、川口が共に攻撃的なために激しい攻防になっている。ブツかりあって、ファウルを取られ、素早いリスタートからチャンスを作られる。

主導権争いが続いていた前半の31分、大輔が右サイドを深々と駆け上がる。中央には坂本!そのまま撃て!と誰もが思ったシーンで、いつものように躊躇してボールが奪われてしまう。磐田がそのスキを逃さなかった。大輔・坂本が上がった穴を突かれて磐田のカウンターがハマる。左からのクロスを西野が競り勝って落とし、そこにジェレに走り勝った前田!磐田の若手2トップが市原守備陣を完全に押さえて同点に追いつく。

取って取られて。昨年のような熱い空気が徐々にスタジアムを覆ってきた。35分過ぎ、駆け上がった福西をジェレが止める。ファウルの判定。このFKを名波がいとも簡単に決めてみせる。蹴る前の藤田のフェイント、そこを正確に貫く技術。「さすが」としか言いようがない。

前半、同点ではなく逆転して終わるところに磐田の強さ、そして優勝が掛かっているチームの気持ちの強さを強く感じた。

ボルテージの上がったゴール裏では、ハーフタイムに「声を出そう」「中で一緒に応援しよう」と必死の呼びかけ。ここ数試合の不甲斐ない戦いとは一味も二味も違う気持ちの伝わる展開。負けたくない。勝ちたい気持ちがスタンドでも沸々と湧き上がっていた。


後半、磐田は最初から勝負をキメに来た。
反対側のゴール前では、猛烈な攻勢を食らってボールが落ち着かない様子で跳ね回っている。人に当たり、バーに当たり。。。3回は決められても仕方の無い決定的なピンチがあったかと思う。それを櫛野が、勇人が体を張って防いでいる。
15分ほどは圧倒的な磐田ペースだったが、ここを何とか凌ぐと試合が落ち着いてきた。ここで監督は、疲れの見えてきた羽生に代えて好調の工藤を投入する。工藤は、羽生ほど運動量は無いものの、キープであったりスルーパスに特徴がある。試合出場が続いていたからだろうか、すんなりと試合展開に溶け込んでいた。

20分過ぎ、アクシデント。大輔が磐田陣内まで攻め込んだ所で足を押さえて動けなくなる。肉離れか、捻ったか、プレーが続けられる状況ではなくなってしまった。ベンチには林、さらに巻がスタンバイ。大輔・サンドロとの交代となった。
阿部がリベロに下がり、ストッパーに茶野・ジェレ、ボランチに坂本、そして右に林と、一気に布陣が切り替わった。
そして、攻撃の駒を全て使い果たすこの采配で、一気に市原の攻撃に火がついた。シュートにはならないが、林・村井の左右の突破を活かしてチャンスを量産する。

市原攻勢の中、32分。巻のヘッドの落としに反応したのは工藤!GK佐藤のセーブの下をくぐり抜けるゴールで同点に追いついた!
さらに攻勢を仕掛ける市原。坂本が抜け出して決定的なシュートを放つものの、ゴール上に外してしまう。

その攻勢の最中、磐田は負傷明けの西、そして中山を立て続けに投入する。それでも、流れは変わらない。すんでのところで磐田は市原の攻勢をかわしていく。さぁ、もう一点取って逆転するぞ、そのはやる気持ちをあざ笑うかのように。
ボールの処理をもたつき、西にボールを奪われる。その次の一瞬、西の目の前にシュートコースが開き、その「穴」に向かって正確に強烈なシュートが突き刺さっていた。

イージーなシュートを外した市原。高難度のシュートを決めて見せた磐田。両者の力の差を見せ付けられる攻防。シュートが決まった瞬間、大きなジェレの体が、バタリと仰向けに寝転ぶのが見えた。磐田の歓喜の輪の向こうに、しばらく動けない選手たちがいた。残り4分。


これまでだったら、ここで終わっていた。でも、今日はここから勝ちたい気持ちがもう一度燃え上がっていた。最後方のジェレから、前線の巻に目掛けてロングボールが放り込まれる。マルキが村井が工藤が、必死に左から崩しにかかる。
林が単騎突破で血路を開こうとする。そこには、挑戦者としての意欲を取り戻した市原の姿があった。

ロスタイムは思いのほか長かった。何度も、ゴール前に攻め込む。ジェレのヘディングはGK佐藤の正面。ゴールまでグチャグチャの攻防が繰り返される。もう終わりだろ?と磐田は時計のアピールを繰り返す。
そのとき、リベロの阿部から、前線に向けてロビングボールが一閃。走りこむ、林とマルキ!・・・届かない・・・10cmほど外をボールがポストの横を通り抜けて行った。ゴールの中で悔しさを露に仁王立ちになる林。10cmの差は、ほんの僅かなようで磐田とウチの差を表しているかのようだった。
終了のホイッスルが、届かなかった事を伝えていた。


去年も今年も、「あと一歩」ではあった。負けた。それはどうしようもなく悔しい。
しかし、戦いの中で選手たちが、変化を見せてくれた事はプラスだった。磐田に触発され、自然に練習の中でやっている事がプレーに活かされていた。余計な事を考えられない、逼迫した状況が、挑戦者としての気持ちを呼び覚まし、市原のサッカーをピッチに取り戻していた。

勝てなかった事は、埋めるべき差があると言うこと。
迷いを振り切って、それと向かい合う事が出来た事は、敗戦にも価値があったと言えるだろう。そしてその気持ちを強く持ち続ける事が出来るか。4日後のFC東京戦が、その価値を教えてくれるだろう。残り3つは三連勝、それしかない。

6/6(日)・サテライト・FC東京戦 2004年6月6日(日)22時36分27秒 deletemodify

市原0(0−1、0−1)2東京

前半5分:東京・小林
後半25分:東京・小林

昨日までは、あんなに良い天気だったのに。
土砂降りの臨海、屋根はほとんど意味なし。(バックスタンド開けて欲しい・・・。)グラウンドは田んぼ。ボールはあり得ない止まり方をするわ、スライディングすれば3mくらい滑って飛んで行くわ、まぁおよそ普通のサッカーをするコンディションじゃありませんでした。

<スタメン>
GK岡本、DF(左から)鷲田・中島・結城(c)、
ボランチ工藤・水野、右WB椎原、左WB楽山、OH市原、
FW巻・林
<サブ>
GK山本(y)、FW羽地・金東秀

昨日使った、林・工藤が先発・・・なかなか鬼です。よくある事だけど。
対するFC東京も、ルーカス&阿部吉の2トップとなかなかに大人気ない布陣・・・どっちもどっちか。

試合が始まると・・・おお!?電光掲示板にストップウォッチが表示されて、ものスゴイ勢いで回転している?10秒くらいで止まったけど、いきなり大爆笑。さらに、結城がクリアボールを工藤の背中に直撃させて、まともに吹っ飛ぶ工藤。うーむ、同県のMさんにも負けない珍プレーですな。しかし、人って吹っ飛ぶんだ(汗

スタンドは大笑いだったが、やってる選手はたまらんだろう。ほとんど水遊び。試合にならない。競り合えば水柱が上がり、踏ん張れば滑る。ドリブルもパスも止まってしまうし、雨でロクにボールも見えない。
前半5分で失点したが、岡本もシュートは弾くので精一杯。2本目のシュートに備えるまでは出来なかった。

悪コンディションの中、市原・林・巻の前線が何とか打開を試みるものの、雨が邪魔してチャンスと思ってもチャンスにならない。いらいらして、林が腕をブラつかせるしぐさが増える。これだけ、思ったプレーが出来なければストレスもたまるというもの。
他の選手も、どうにもならない様子だった。これが、後半終了までずっと続いた。

市原側最大のチャンスは、後半、椎原と交代で入った羽地が楽山の折り返しを低いヘディングで合わせたプレー。これは、東京GK遠藤のファインセーブに阻まれてしまった。他にも市原の単独突破から惜しい場面もあったが、東京の粘り強いDFに防がれてしまった。
反対に東京は、岡本のペナルティエリア外でのクリア(ここまではナイスプレー)を、拾ってループシュート。ワンチャンスを決めて、市原を突き放した。

攻め立てるものの・・・とにかく足元がどうにもならずに試合終了。
ぐったりと疲れた選手達の様子に、敗戦もあるけれど、このコンディションが体に与える負担を感じ取れた。お疲れさまという感じ。特に工藤はフル出場したし。

この試合で目立った選手は、悪コンディションでも何とかしようとしていた、林・工藤・市原・楽山あたり。いずれも、ドリブルと言う切り口がある。林はまぁ、やれて当たり前として・・・工藤は好調な流れそのままに、巻や林と良い絡みをしていたし、散らしもそれなりに出来ていた。惜しいループシュートもあったし。
市原は、ドロ臭さが際立つ。何とか前に強引にでも運んでしまえ!と言う「俺が」と言う気持ちが見えて気持ちがいい。危なっかしさはあるけれど、前に行く姿勢買える。楽山も、軽率なプレーもあったけれども、積極的なドリブルで打開を図っていた。後は、自分が責任を持ってシュートで終われればOKなんだが。。。

酷いコンデョションだったし、負けたけども。
選手らの頑張りが垣間見えたのは収穫。次は、市原あたりにチャンスが来そうな感じが。そんな期待を抱かせてくれる、大雨の臨海でした。
(試合が終わったとたんに止んだしね・・・)

5/29(土)・ナビスコ杯・清水エスパルス戦 2004年5月30日(日)22時26分34秒 deletemodify

日本平には良い思い出が無い。行くたびに雨が降るわ、雷だわ、停電するわ。古くは下川が沢登のシミュレーションで退場喰らうわ、去年は初優勝に向けた快進撃に水を刺されるわ。そして今日も期待は裏切られ、焦燥だけが帰り道に残った。

日が照り付け、真夏のような暑さのスタジアム。強風が吹き、大旗は思うように振る事が出来ない。集まったサポーターは、100人と言ったところだったが「5月初勝利」を目指して、必死に声を振り絞っていた。試合前のアップの時にも、マルキや勇人の新応援を歌ったりして盛り上げに懸命だった。
そんな中、一人早めにグラウンドに現れていたのは羽生。エジさんとマンツーマンで話しながら、自問自答しているようだった。チームの不調に、自身も迷ってしまっているのだろうか。

前節の監督コメントで選手の入れ替えも示唆されたが、メンバーは不在の茶野・ジェレを補うのみの小変更。阿部がDFの中央に入り、大輔と結城がストッパー。坂本が勇人とボランチを組む。
立ち上がり、勢いよく清水ゴール前まで攻め込むがシュートには至らない。今日は最初から行くのか?と思ったのも束の間、中盤のミスパスを清水に拾われてカウンターを浴びる。特に、序盤は坂本⇔勇人の連携が合わず、最終ラインに相手の攻撃がマトモに浴びせられてしまっていた。
立て直す間もなく、前半5分で失点。OGのようにも見えたが、鶴見に押し込まれたらしい。CKからあっさりと得点を奪うあたり、ジェフが出来ない事をされているようで空しくなる。

失点して、前に出るかと思いきや、相変わらずグズグズとした展開が続く。
いい時の、「ボールを奪ったら全員が相手ゴールに向かって走り出す」そんな動きは無く、動きそのものが少ない。攻め込んでも、ゴール前で見方同士でボールをなすりつけ合うような状態。
たまに、こぼれ球を村井あたりがシュートするのだが、これも枠に収まらない。俺が決めてやる!とばかりに誰か、ドリブルでも仕掛けてみろよと叫びたくなる。お馴染みの、モヤモヤした空気が流れる。
前半もこれで終わりかと言う時に、相手に完全にDFを破られてシュートされる。これは、櫛野がおさえる。けれども、直後の相手シュートがバーに当たったところを、久保山に押し込まれて失点。いらいらが募る。結城あたりは頑張っているのだが、なにぶん最終ラインが丸裸にされすぎる。ボランチの位置で、敵が止まらない。このあたり、先日坂本が指摘していたように、勇人の意識が攻撃に行き過ぎているからとも感じる。サボっているわけでは無いのだが、本来は攻撃<守備のはずが、攻撃>守備になってしまっているのではないだろうか?

重苦しい空気のまま、後半へ。
ボールが来ず、何も出来なかったマルキが林に交代。それ以上に何も出来なかったサンドロが残ったのは、単純にコンディションの差か。さらに、村井も交代。前節、監督が言った「信じすぎた」選手と言うのは、彼の事か?中島が入り、WBが右に坂本、左に山岸、ボランチには中島が入った。
林が持つ「空気」のままに、2点を取り返す攻撃モードに入る。
ところが、FKから久保山に飛び込まれ、あっさりと3点目を奪われる。まるで去年の西京極のような展開に、しばし無言になる。

悲しい事に、「勝ちたい」と言う気持ち、いや「このままじゃ情けな過ぎる」と言う反発心が出てきたのは、ここからだった。
シュートを撃てる林が入った事で、フィニッシュで終わる意識が出始める。
13分、林が待ってためて撃ったダイレクトボレーでようやく1点を返す。ボールを奪って、センターサークルに戻り、さぁ行くぞとばかりに気合を入れ直す。清水は、守りきろうと言う気持ちになって、圧倒的なジェフペースになる。

坂本、山岸の両サイドから攻撃をつくり、中に合わせようとするが、サンドロが全く期待に応えられない。キープ得意でない、足技の無いサンドロにボールが入ると、相手がワっと寄って来て、ボールが奪われてしまう。それに、あと一歩のボールに体ごと投げ出すような気合が感じられない。自分が「エース」にされてしまうと、活きて来ない選手なのではないだろうか?
代わって入った中島も、良いプレー(=シンプルなプレー)もあるのだが、考えと自身の技術の間にギャップがあるのだろう、少ない相手のカウンターの起点になってリズムを作り出せない。彼もまた、最後の粘りが足りないように感じてしまう。

それでも、流れはジェフ。押し込んで、なんとかしようとするがシュートが撃てない。
後半30分までのシュートの少なさは、↓のニッカンスポーツのサイトを参考にして欲しい。
http://www.nikkansports.com/ns/soccer/jleague/score/2004/20040529siic.html

さらなる攻勢を求めて、監督は羽生に代えて工藤を送り出す。
羽生は、疲労とプレーに迷いが見えていた。交代も止む無し。ただ、ここで巻では無く、工藤が選ばれたあたりに監督の新しい考えが見えるように思う。工藤は、実際期待に応える働きだった。確かに、出場してしばらく「流れ」に乗るまでに時間はかかり、ミスもあったが、強烈なシュートも放った。羽生には無い、タメやスルーでも攻撃を作って得点の可能性を感じさせた。羽生の交代役としては、これからも使ってみたい。

この交代もあって、さらなる攻勢を仕掛けるジェフは、後半30分過ぎから、さらに猛攻。
「なんでコレが最初から出来ねぇ!!」
そう叫ばなくちゃいられない攻勢だ。その中で、試合を通じて最も勝ちたい気持ちに溢れ、走っていた大輔が阿部のクロスを頭でねじ込む。あと1点!

完全に受身の清水は、あからさまな時間稼ぎで勝ちにこだわる。交代の札を見て、突然地面に寝転んだアラウージョなぞ論外だが、勝っているチームからすれば常套手段だ。
ロスタイムも迫った時、工藤のラストパスからサンドロが右足シュート!しかし、「枠」・・・なんで枠なんだよ・・・助っ人なんだろうが、しっかりしてくれ!
最後の最後、山岸のコーナーに大輔が渾身のヘディングを放ったところで、試合終了・・・。2−3、結局5月は一つも勝てずに終わってしまった。

引き上げてくる選手達に、「明日へのマーチ」が歌われる。
だけれども、同じ事を繰り返す選手達にはただ漠然と明日を待つのではなく、変わってもらわなくてはならない。ジェフは、オシム監督の下で躍進した。良いサッカーをしていると評され、メディアもこぞってジェフを取り上げた。何故、代表選手がジェフから出ないのかとも言った。
そんな中、選手達、そしてサポーターも「何か」を忘れてはいないか?監督はいつも言っていた。ジェフに良い選手は居ないと。だから、全員の力を合わせなくちゃいけないんだと。それをもし忘れて居るのだとしたら、もう一度ジェフは原点に戻らなくちゃいけない。自分たちは決して一人では強くないんだと。

一人一人が持つべきは「責任」ジェフのイエローのユニフォームを着て、市原のサッカーを実現する者としての「責任」だ。選手達は、十分過ぎるほどの練習をしている、悩んでいる選手も居る、でもその結果が試合で出せない事が何よりも観ていて歯がゆい。
無心からはじめた、去年に立ち返って、最初から全力。今やれるものを全部出し切って欲しい。そして、チームが悩む今、新しい力の台頭にも期待したい。去年、大柴や武藤の出番が奪われていったあの時のように、レギュラーのケツを叩く、イキのいい選手達を。
今日の日の工藤のように、出来るところを見せて欲しい。

ジェフは、まだ何も成し遂げては居ない。
それを思い出して、挑戦者たれば、「市原のサッカー」は取り戻せるはずだ。

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5月29日(土)15:00 日本平スタジアム・晴れ

清水3(2−0、1−2)2市原

【得点】
前半8分:清水・鶴見
前半44分:清水・久保山
後半5分:清水・久保山
後半13分:市原・林
後半38分:市原・斎藤

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