GAME REPORT

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8/8(日)・サテライト・アルビレックス新潟戦 2004年8月9日(月)19時56分39秒 deletemodify

連日猛暑が続いているが、夕方ともなると姉崎はだいぶ過ごし易い気候になってくる。
この日は、新潟とのゲーム。前回、新潟ホームの新発田で対戦した際は、2−1で何とか勝利しているものの、ゲーム内容的にはあまり褒められたものではなかったそうだ。

リーグ戦再開を一週間後に控え、サテとは言え調整状態が気になる一戦。市原は、DFに昨日までアジアカップ北京にいた茶野も先発。試合に出ていないなら、と監督が言ったのかどうか分からないがハードなスケジュールだ。この他にも大輔・坂本ら主力メンバーも混じった布陣で新潟を迎え撃った。

【スタメン】

GK立石、DF(左から)大輔・鷲田・茶野、
ボランチ坂本+市原、左WB楽山、右W金位漫、OH工藤、
FW羽地+巻

【サブ】
GK岡本、MF野本、MF椎原、MF望月、FW金東秀

前線の構成が普段とは違って、運動量のある選手が少ない。工藤も、羽生と比較するとチェイシングで攻撃できるタイプじゃないので、これでどうやって攻撃を仕掛けるのかに注目して試合を観戦した。

立ち上がりは、やや市原ペース。4本連続のCKを工藤が蹴るものの、決定的なシュートには至らない。比べてもいけないのだろうが、フル代表の俊輔のキックがいかに高確率でチャンスに繋がっているか・・・その差は大きい。
この序盤の時間帯を凌いだ新潟は、カウンターで攻撃を仕掛ける。市原の左翼があっさり破られ、クロスに合せたのは長身FW船越。抜かれた楽山・坂本も、競り合った大輔も準備が十分ではなかったのか、新潟の狙い通りの攻撃を許してしまった。

先制された市原は、攻勢に転じたいところだが分かり易いサイド攻撃に終始して新潟の守備陣を切り崩せない。せっかく良い形でボールを受けても、出しどころが無いか判断が遅れて、シュートに持っていけない時間が続いた。
業を煮やして茶野がドリブルで攻め上がり、強烈なミドルシュートを放ったのが、市原のシュートらしいシュートの一本目。その後の時間帯も、キープまではするものの攻めきれない展開が続いた。

後半、毎度の檄が飛んだのか動きが少しよくなる。
工藤がボールに絡み始め、新潟ゴール前の展開が増える。二度三度と、DF裏へのボールや、ふんわりとしたクロスが上がるものの、なかなか決定的なチャンスとはならない。良いボールがサイドからも中央からも入らないせいもあるが、羽地・巻の存在感は試合を通じてあまり無かった。
新潟DFからすれば、前半から続くパターン化されたサイド攻撃、ゆっくり時間をかける市原の攻撃は、さぞかし対処がし易かったろう。

FWが封じられた市原は、前述の茶野の攻撃参加をはじめ、ラク、工藤などが時折シュートを放って打開を図る。距離があるので、なかなか威力のあるシュートは飛んでいかないが、前が手詰まりなぶん、こうするほか無い。
同点ゴールとなったラクのシュートも、混戦の中、中央からこぼれ球を蹴りこんだものだった。

このゴールで勢いがつけば良かったが、トップチームの良い時のような選手が選手を追い越す波状攻撃は相変わらず見れない。選手が代わってもそれは同じで、守られてやり辛いのは見て取れるものの、新潟のDFに凹凸を作るような崩しは最後まで見られなかった。
観戦前に注目していた、このメンバーでの攻撃は今日に限れば機能しなかったと言わざるを得ない状態。
ロスタイムに近い時間帯になって長期離脱していたMF望月が出場したものの、あまりにも時間が短く、チャンスには絡めなかった。


1点取られたものの、守備陣はメンバーがメンバーだけあってまずまず。
特に茶野や坂本は、トップの意地か下からの突き上げがそうさせるのか、ガツガツとした当たりで失点以降は、新潟に大きなチャンスは作らせなかった。ピッチ外で水本がずっと見学していたし、期するものがあったのかも知れない。

反対に、攻撃陣は物足りない。もう少しパターンにはまらない攻撃の連動を考えた方が良い。90分間を通じて、相手の守備網を崩した場面が少なすぎる。クロスにしても、シュートにしても意外性が無く、相手は「構えた」状態で守っていた。
茶野のミドル、楽山の得点は、いずれもパターンから外れたものだった。こう言う攻撃が織り込めれば、反対にパターン化された攻撃も活きてくるのだと思う。

開幕まで残り一週間、怪我人も戻ってある程度メンバーは見えてきたか。
阿部の不在、新しい戦力の台頭、その中で「吹っ切れた」市原のサッカーを臨海で見せて欲しい。

7/29(木)・PSM・レアルマドリード戦 2004年8月1日(日)21時43分40秒 deletemodify

「楽しかった!」試合後の第一声。
世界最高のクラブ相手に、市原の持てる全てをぶつけて戦い抜いた90分。「やれるだけの事をやった」と言うオシム監督の言葉は、選手もサポーターもきっと同じ気持ちだっただろう。


待ちに待った試合。当日の自分は、職場の四ツ谷から先日届いたトップ仕様ユニを羽織って国立に直行する。
心配された天気も、試合前になって落ち着いてきた。うっすらと虹が、国立の上にちょうどかかっていた。スタジアムの周りの雰囲気、バッタものユニ屋や露天もこの「お祭り」を盛り上げていた。



スタジアム到着、ゲートにレアルと並んで市原!いやがおうにも気持ちが高まる。
大急ぎでスタンドに入ると、思った以上に人で埋まっている。だいぶチケットが余ってると言う話もあったが、アウェイ側バックスタンドよりの冗談が空いている以外は満員。サポーターエリアは、なんだか同窓会のように、新旧馴染みの顔がたくさん居るのが嬉しい。



ウェーブとかで無闇に盛り上がっているうちに、オーロラビジョンで今日のベンチ入りメンバーが伝えられる。坂本・羽生の名前が無い・・・ん?トンス!?22人まで拡げられたメンバーの中には、二種のトンスまで。スタンドからは、妙な期待感と、この面子じゃヤバいんじゃないか!?と言う不安が半々。
逆にレアルのメンバーには、ただ感嘆のため息。カシージャス、サムエル、ロベカルに、ベッカム、フィーゴ、ジダン、ラウール、モリエンテス、ロナウド・・・ですか・・・。この中の一人でも「J」を変えられてしまう存在ばかり。でも、サッカーは名前でやるんじゃない。同じ11人、下手な試合は見せられない。

7時が過ぎ、スタメン発表。
なんと、一人づつピッチに駆け込んでくるオールスター方式。市原はゲームキャプテンの大輔さんから。駒が足りない今日は、トップ下を削り、リベロの前にストッパーを3枚並べる4−4−2の布陣。期待の水本が先発、フィーゴと相対する左ストッパー。
対するレアルは、ジダン・ロナウドを欠くものの・・・その代役がグティにモリエンテス・・・やっぱり洒落になってない。

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<市原>
GK櫛野、DF(LB)ミリノビッチ、(ST)水本・大輔・結城
MF(VL)勇人+中島、(LWB)村井、(RWB)山岸、
FWマルキーニョス+サンドロ


<レアル>
GKカシージャス、
DF(LB)ロベルト・カルロス、(CB)サムエル+パヴォン、(RB)サルガド、
MF(VL)エルゲラ+ベッカム、(LMF)グティ、(RMF)フィーゴ、
FWラウール+モリエンテス

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選手たちがピッチへと散り、オープニングの『あっこちゃん』に乗って試合が始まる。
序盤から攻勢を仕掛けるのは市原。様子見のレアルに対して、左の村井や前線のマルキーニョスが積極的に仕掛けて、チャンスを演出する。一つ一つのプレーが正確なレアルに対して、市原が対抗できるとすればとにかく運動量。いつになく速いプレスでレアルにプレッシャーをかけ、揺さぶりをかけていく。

6分。遠い位置からのFK。マルキーニョス。
30mはあろうかと言う距離から、弾丸のシュートがカシージャスの指先をかすめて行く。まさかまさかの市原先制!サポ席は狂喜乱舞、とんでもない大騒ぎになる。

しかし6分。レアルは慌てず騒がず、ゆっくりと市原の戦い振りを見定めていく。必死のマンマークを引き剥がすように、引きつけてボールを散らし、フィールドに「穴」を作っていく。もちろん、一回レアルボールになれば、容易に市原ボールにはならない。
ボールを追いかける市原だが、要所要所ではレアルもしっかりと走っている。これだけの個人技を持ちながら、地味な繰り返しの部分でも手を抜かない。W杯で観たアルゼンチンのように一流どころの手抜きの無いプレーは感動的だ。

徐々に崩されていく市原守備陣。それでも、櫛野が相変わらずの反応で最後の一線を割らせずにいる。
23分、ベッカム→フィーゴ。アウトサイドで前に緩やかなスルーパス。そこに当たり前のように駆け込んでいたのはグティ。コースを突いたシュートが、きっちりと枠に収まっていた。
さらに、36分。ラウールが一回倒れこみながらもすぐに体制を立て直して、これもコースをしっかりと突いたシュート。あっさりと逆転。憎らしいまでの正確さに、これが当たり前のことなんだと思い知らされる。

この間、波状攻撃からの勇人の惜しいミドルもあったが、そのまま前半終了。
予想以上に「試合になっている」展開に、スタンドも興奮。しかし、それにしてもレアルの攻撃は「形」と言う物が無い。どこからでも、何かが出来る。サイドに固執する事も無いし、とにかく最短距離で急所を抉ってくるような攻撃。手順を踏まなくては「形」にならない市原とは考え方そのものが違う。

後半に向けて市原は、マルキ→林、中島→巻。4−3−3にシステムチェンジし、あくまで攻撃的に反撃の機会を窺う。
前半、ベンチでうずうずしていたのだろう、ようやく俺の出番だとばかりに、林が快足を飛ばして左サイドを駆け抜けていく。サルガドも、林がどう言う選手か分からなかったのか、虚を突かれてクロスを許す。しかし、これは巻に合わず。

あまりの暑さ・湿度もあって後半は、レアルの攻撃に無理をして攻め込んでくる様子は無い。その間隙を突いて、サンドロや村井、前述の林が強引に突破を仕掛けていく。特にサンドロは人が変わったような動きで、決断の早いシュートを打ち込んでいく。
村井の左クロスから林のスルー→サンドロのシュートや、林の体制を崩しながらのシュートはいずれもレアルの体を張ったディフェンスに食い止められる。カシージャスを抜いても、その先にカバーが入っている。やはり、トップレベルではこう言う部分でも手抜きが無い。

市原は、楽山・市原・工藤・水野と言う若手を次々と投入。この舞台を少しでも体験すれば、何かを得られる。どの選手もピッチに飛び出すや、精一杯のプレーをしてくれるのが観ている側も嬉しかった。
何とか追いつこう、スタンドの応援も必死さを増して最後まで声を振り絞った。

ジェレも、大輔も機を見て攻撃参加。久々に観る、市原らしい「走るサッカー」がピッチ上でレアルに必死に喰らいついていた。試合も終盤になって気付いたのは、この試合の中で「気付く」事が出来た市原の選手は、ワンタッチでゲームを進めるようになっていること。このレベルになると、そうしないと戦えない事に気付いていつにも増して速い展開を意識していた。逆に気付けない選手のところで、ボールが止まっていたように思う。

終わらないで欲しい・・・そう思っても時間は過ぎ、市原は攻めて、最後はソラーリにもう一点を加えられたが、今出来る精一杯はした。



この試合でレアルが見せた、局面局面で絶対に手を抜かない姿勢、最後まで諦めない執念、そして何より素晴らしい技術の数々と、それに相対して通じたもの通じなかったものそれが体験できた事は何よりの収穫だったと思う。

市原は、久しぶりに自分たちのサッカーを取り戻していた。
選手が選手を追い抜き、DFまでが攻撃参加するサッカー。開き直りなのかも知れないが、全員が挑戦する意志を持って、レアルにぶつかって行っていた。その結果の一得点であり、惜しいチャンスも演出してスタンドに、そしてこの試合を観た全ての人に「市原ありき」を見せつける事が出来た。

監督のコメントも、満足げなものだった。
この「お祭り」をそれ以上のきっかけとして、市原が自分たちの迷いを断ち切ってくれたなら、この試合、市原にとってさらに何ものにも変えがたい経験となってくれるだろう。
それにしても、選手もスタッフもファンも、皆が楽しむ事の出来た「夏祭り」だった。レアルと、この場を与えてくれた人たちに感謝したい。

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【選手評価】

<スタメン>

GK櫛野:動物的な反応でレアルの攻撃を幾度も防いだ。市原が攻撃に専念出来たのも、彼への信頼が大きい。

DFミリノビッチ:再三再四、レアルの鋭いクロスを弾き返し、ストッパー陣の後ろで突破してくる相手を押さえ込んだ。攻撃参加も終盤にかけて見せ、大車輪の活躍。
DF水本:フィーゴのマンマークを担当し、そしてその仕事をかなりのレベルでこなした。前回の浦和戦に続くハイレベルの活躍で、一躍スタメン候補に。
DF斎藤:主にラウールをマーク。相変わらずの体を張った守備で貢献。終盤は、ジェレ同様に攻撃参加も。
DF結城:主にモリエンテスとマッチアップ。正直、ついていけていない場面もあったが、奮闘していた。右サイドを上がってクロスを上げるシーンも。

MF勇人:ベッカムと対峙。激しい守備でボランチらしい働きだった。前後半通じて攻撃に顔を出すシーンも多く、前半には僅かにはずれたものの惜しいミドルも。
MF中島:吹っ切れる事が出来なかったか・・・翻弄されてはスタミナを失い、前半だけで交代。
MF村井:怪我明けで正直動きは鈍かったが、後半のビッグチャンスを演出した左クロスの場面では、サルガドを完全にかわして素晴らしいグラウンダーを上げて見せた。
MF山岸:攻撃面では、中に切れ込んでシュートを狙う彼らしいプレー。反面守備は、少々おろそかになっていたか。足を吊って、グティ&ロベカルに助けられて?交代。

FWマルキーニョス:レアルのド肝を抜くレーザービームのFKで日本のクラブチームとして初めてレアルのゴールを破って見せた。集中力はさすが。
FWサンドロ:別人のような思い切りのいい動きで、局面でも体を張って起点となった。カシージャスを脅かす、惜しいシュートも2本。

<リザーブ>

FW巻:後半から出場も、なかなか思うようにはプレーさせてもらえなかった。レアルDFの強さ・高さが今後の糧になれば。
FW林:左翼からの突破、無理な体勢からの惜しいシュートなど持ち味を存分に発揮した。スピードだけでなく、ボールを追う姿勢にも試合の中での成長を感じる。
MF楽山:攻撃面で繋ぎ役になっていた。ボールを他の選手に預けた後、そのスピードを殺さずに前に出れるようにしていたら、もう少しチャンスがあったのかも知れない。
MF市原:勇人に代わってボランチ的な位置でプレー。体を張った守備と、積極的な前線参加を行い、彼らしい泥臭いシュートも放った。
MF工藤:時間が少なかったが、前線になんとかボールを供給しようと運動量と、展開で奮闘していた。
MF水野:デビュー戦がレアル戦と言うのは日本でも彼くらいなもの?右サイドからアーリーを流し込んだり、時間が無い中でゲームにはしっかり絡んでいた。


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【戦利品】


(1)レアルvs市原のバッタものタオルマフラー(\1,000-)
イタリア製?らしい。日付入りで結構涙モノ。試合後には完売。


(2)産経新聞のタブロイド版の号外。
レアルと、市原・東京Vの紹介が載っている。

7/25(日)・練習試合・順天堂大学戦 2004年7月26日(月)1時25分2秒 deletemodify

■18時・姉崎練習場
市原4(1−1、3−0)1順大

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【前半】

GK立石、DF野本・大輔、ボランチ練習生・市原、
左WB椎原、右WB金位漫、OH工藤・水野、
FW羽地・望月

※2バック。前線は流動的。


市原:SH06/CK02/FK04/GK04/PK00/OFF03
順大:SH06/CK01/FK07/GK04/PK00/OFF00

得点者:
31分・羽地(椎原)


久々に実戦復帰の望月

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【後半】

GK岡本、DF野本・大輔・市原、ボランチ練習生・水野、
左WB工藤、右WB金位漫、FW羽地・金東秀・サンドロ

交代:
30分・工藤→椎原

市原:SH16/CK02/FK04/GK00/PK00/OFF01
順大:SH03/CK00/FK03/GK03/PK00/OFF03

得点者:
07分:金東秀
10分:サンドロ
29分:サンドロ(工藤)


椎原は、一旦下がってから再出場

7/24(土)・ナビスコ杯予選6節・浦和レッズ戦 2004年7月26日(月)0時58分59秒 deletemodify

勝たなくてはならない試合に敗れて、ナビスコ杯は終戦。頭をたれる選手達への罵声も、勝つことを信じていたから、今日のような試合に勝たなくては、市原がこの先に進む事ができなくなるから、だからこその激励だった。

実際、試合自体は先週とはうって変わって緊迫感のあるものだった。
アルウィンを埋めた15,000の観客も浦和が確かに多いものの、市原側も決して負けてはいなかった。互いに負けられない試合、主力の不在も両チーム多数。条件は互角で、チームの総合力が試される試合だった。

 

市原はこの日、3−4−3の布陣を敷く。前線は中央の巻を左右の林・マルキーニョスがフォロー、両翼には羽生と楽山が開き、ボランチに中島と勇人。浦和のエメルソンにはルーキー水本、永井には結城がマンマークにあたる。

キックオフと共に、互いに前線に早くボールを送り込む作戦を採る。繋がりが良いのは浦和。局面ごとに選手のフォローアップの人数・距離感がしっかりと整備されていて、一昔前の「トライアングル」と言う言葉が思い出される。バランス良く動く選手達が、意図を持って攻撃を形作ろうとしているのが見えた。
エメルソン・永井の速さ、両翼からの素早く低い折り返し、何をやろうとしているかがはっきり解る攻撃だ。

対する市原は、まず前線の巻に当てる古典的なやり方。とは言え、何も意図が無いよりは解りやすく、選手達も普段の細かい繋ぎでは無いロングボールを、試合を通じて盛んに前線に放り込む。
そして、それが先に実ったのは市原だった。4分、右でボールを持った羽生のクロスに飛び込んだ巻が体で合わせて、いきなりの先制ゴールを叩き込む。

ところが浦和もすぐにその4分後、右から中に切れ込んだ山田が放ったミドルがDFに当たって方向が変わってゴール。前節と同じく、奪っては奪われる、嫌な展開。しかし、同点とされてからは試合が引き締まり、互角の展開が続いていく。
特に心配された守備陣が奮闘を見せ、その中でも水本がエメルソンを完全に封鎖する。高速ドリブルの中でも冷静に相手を見切ってクリアし、危ない場面ではポジションを捨ててでも身を挺してボールをクリアする。「すぐに飛び込んだらかわされてしまうから、最後まで見ていた」と冷静そのもの。
浦和の攻め手の一つが消された事で、市原側にもチャンスが出来る。奪ってから、まず巻かマルキに当てる。そこからサイドに流れた林や羽生が突破してチャンスを作りだす。決定機もいくつかあった。浦和ペースではあるが、決して一方的ではない。手応えを得て、後半に臨んだ。

その後半、出だしから左翼に開いた林が抉って、チャンスを作る。
このカタチがある程度はまり出したか・・・と言うとき、ベンチはその林に代わってサンドロを投入。この交代は見ていて惜しかったが、その後サンドロのフィジカルを活かしたキープと突破が効いていたので、恐らく予定通りの交代だったのだろう。
ただこれで、セットプレーキッカーと、左の起点を失ってしまった。左に関しては、楽山の頑張りに期待したいところだったが、後述するがそれは叶わなかった。

劣勢の原因は、中盤の構成力にある。
浦和は、正直強くなっていた。三都主を中盤では欠くものの、酒井をサブに置ける選手層。そして、選手一人一人が責任を持って各人の役割をまっとう出来る強さがあった。玉際での強さや、ボールを奪ってからの切り替えには目を見張るものがある。まるで良い時の市原のようだ。
対して市原は、それが出来ていない選手がいた。名前を挙げてしまえば、中島と楽山。残念だが、大切な局面での安易なミスと、ミスを犯した後にそれをリカバリーしようとする必死さがスタンドには伝わらず、ミスを嘆く場面ばかりが目に付いた。ほんの少しの差が、浦和との差を大きくしていた。小さなミスが大きな劣勢をつくり、それを取り戻すために体力が奪われて行く。あまつさえ、浦和の2点目はこの日の1点目と同じく、右から切れ込んだ山田を楽山がケアしきれず、中島もまた外からの侵入を全くケアできていなかった。
もちろん、失点や敗戦の原因が彼らだけにあるわけではないが、期待があるだけに何度かチャンスを与えられながら同じプレーを繰り返す姿が歯がゆかったし、一つのミスが彼らの努力を水泡に帰してしまう事もまた、悔しかった。

全員が責任感を全うした浦和と、小さな綻びを見せた市原。
結果は1−2、全く正当な結果だった。



スタンドからは冒頭の罵声と、労いの拍手。自分は中島に二度と今日のようなプレーをして欲しくないから叫んだ。水本には、よくやったと拍手した。
必死の応援を終えて、へたり込むサポ。悔しさを露にして、言い争っているサポも居た。そこに、追い討ちをかけるように浦和サポの勝鬨の声が響く。夕立が降り、湿度の上がった空気が気持ち悪かった。



決して、試合内容がダメだったわけじゃない。
でも、勝たなくちゃいけない試合で勝てなかった事を、「よく頑張ったね、次こそ勝とう」で終わらせていたんじゃ、勝てるようにはならないと思う。それは、「次こそ勝とう」は先週駒場でもう言っている。
頑張っているのなんて、みんな解っている。だから今は、この罵声も心に刻んで悔しさを力に変えて欲しいんだと勝手に願っていた。


翌日、姉崎に練習試合を観に行った。
いつものように、サテの選手達がボールを追い、それをサポが見守っていた。先週号のU−31にも載っていたが、やれることなんて限られている。選手達が練習を積むように、サポが出来るのは、この頑張りが結果と自信に変わってくれるように、また応援していくことだけなんだろう。

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DF水本:エメルソンを完封。スピードでも負けず、1対1での局面での冷静さが光る。絶対的なピンチではポジションを捨ててでも体を張ったクリアを行うなど、追い詰められた場面での決断力も見せた。滅多な事では個人を褒めない監督が絶賛した出色の出来。レギュラー云々は別にして、この日の出来を続ければトップ定着も間違い無いだろう。

MF市原:トップデビューは左WBでの出場になった。難しい時間帯だったが、持ち味の積極果敢な突破を見せた。守備は正直不十分だったが、デビュー戦としてはまずまず。

MF楽山:前半は林の動きに連動してシュートを遠目から狙うなど、攻撃面で見るべきものがあった。反面、守備が非常に中途半端で当たるでもなく相手を「見送って」しまっている。結果、対面の山田との局地戦に敗北。同じ形で中央への侵入を易々と許し、ミドルを浴びて直接の敗戦原因となった。判断力を磨く事はもちろん、ファンは身を挺して相手を潰す積極性、ミスをしても取り返そうとする反骨心を望んでいる。

MF中島:絶対負けられない試合。反撃ムードに水を刺すミスパスを繰り返し、流れを捨て去ってしまった。準トップクラスの選手では出場機会の多い中島だが、いまだに軽率なプレーが多く、正確性という面での成長を感じさせてくれない。楽山同様、ゴン中山のような気持ちを前面に出したプレーが出来なければ、「相手の攻撃の基点」と言われても仕方が無い。特に彼の場合、「守備的MF」の本分であるべき守りのプレーが物足りない。まず相手に当たって、中盤の壁にならないくては。

FW巻:得点の場面だけでなく、屈強な浦和DF陣に負ける事無く起点としても奮闘した。ポジション取りやスタミナ面でも1年前と比べると格段の成長が見て取れる。後半30分のようなチャンスも決められれば、日本人エースFWも見えてくる。

7/18(日)・練習試合・明海大学戦 2004年7月18日(日)20時50分11秒 deletemodify

市原6(2−1、4−0)1明海大学

前半32分:羽地
前半37分:マルキーニョス
後半02分:金東秀
後半07分:市原
後半33分:山岸
後半44分:市原

<前半>3−4−3
GK岡本、DF(左から)水本・鷲田・結城、
ボランチ水野・工藤、左WB椎原、右WB山岸、
FWサンドロ・羽地・マルキーニョス

<後半>2−1−4−3
GK岡本、DF水本・結城、フォアリベロ野本、
ボランチ市原・水野、左WB山岸、右WB金位漫、
FWサンドロ・金東秀・マルキーニョス

後半25分:水野→工藤


姉崎に着いてみると、昨日は居なかったマルキと山岸の姿が。どうやら、大事を取って欠場していた模様で、二人ともフル出場。次回の出場は問題無さそうだ。その他、坂本・望月は軽いランニングのみの調整。アマルさんの姿もありました。

試合内容的には、動き自体は明海大学の方が思い切りがあって(シュートで終わる意識があって)良いくらい。ただし、マルキ・サンドロ・山岸と言った主力級がいるので、局面では強引にもって行けてしまうので点は市原側に入っていく。
前半は、セットプレーのこぼれ球を羽地が押し込んで先制。マルキがペナルティエリア内で相手DFをフェイントでかわして追加点。

工藤・水野で組んだボランチは展開力や運動量はある反面、防波堤としては機能できていない。先週のサテライトでサイドに流れて持ち味を出した水野は、やや窮屈そうなプレーぶりだった。

前半途中から、監督がふらりとベンチに。
エジさんとジョゼさんは相変わらずの熱血漢ぶり。



後半に入り、メンバーと布陣を若干変更。
市原&ウィマンと言う、気持ちで前に出る選手が入ったことで、疲れの出始めた明海大学を押し込み始める。その攻勢、ベンチの指示で2バックの前に入った野本が絡んでいく感じで、前に向かってボールが流れ出した。

野本に関しては、難しいポジションに入ってベンチからの指示も多かったが、これまでに無く気持ちの入ったプレーで、攻守に絡み、積極的にシュートを撃つシーンも。怪我からの復帰が早く、安心させてくれた。本人も、「45分だけだし、この相手ならもっとやらないと」とのこと。
同じように故障明けのウィマンも、山岸のゴールを右からのクロスでアシストするなど、攻撃面でアピール。ボランチとしては・・・ながら、機を見て2得点。これを含めて後半は、4得点。調整としては、こんなものだろう。



主力の復帰に目途がついた事と、気持ちを前に出して勝負できる選手が調子を良くしているのが収穫。暑い中、来週からは飛騨キャンプ。気持ちを切り替えて、松本の浦和戦に勝ちに行って欲しい。

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PBS v.1.01