雑感 混然たる感情の渦 第27節・栃木戦 

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試合後のスタジアムの空気が、実にこのゲームをよく表していた。

しんとして、生暖かい気だるい空気。
そこかしこで聞こえる、ため息と、もどかしげな声。
すうっと波が引くように、空いていくスタンド。
 ブーイングが起こるでもなく、さりとて拍手が起こるでもなく。
あるのは、結果への不満と、やり場の無い焦燥。

選手も頑張っていない訳じゃない。
スタンドも、声援を尽くしていない訳じゃない。
けれども、結果だけが伴わない。

ホームなのに。

とぼとぼと、汗を滴らせながら、口を結んで引き揚げて行く選手達を見ながら、
改めて昇格戦線の難しさを感じたものだった。

先に書いておくが、まだ上位との差は無い。
まだまだこれからだ。
しかし同時に、今が正念場に差し掛かっている事もまた、間違いの無い事実だ。


ゲームは、「決定力を欠いた」と言う一言では言い足りないゲームだった。

木山監督が、現状に満足せず攻撃力を求めているのは、20周年記念本にも強調して書かれている。
その為の新しい選手の獲得。そのためのリカルド・ロボ。

しかしながら、J2全体でも三位の得点を現状で挙げている藤田をベンチに下げる必要があったのだろうか。
選手の起用は監督の領分なれど、これまでのゲームでの藤田の貢献度の高さを見て来ているだけに、不可解と言わざるを得ないスタメンではあった。

あまり決定機も作れなかった前半。
決定機はあっても、決められなかった後半。

どちらのハーフでも、ジェフの悪い癖が出ていた。
去年までとも共通するのが、固められた時の打開力の少なさ。

サイドにボールを出す、フォローや追い越しも無く、出しどころが無くて一旦後ろに戻す。
逆サイドにボールを振って、クロスを上げるも、中は固められていて簡単に弾かれる。
クリアボールを相手に収められてカウンターを喰らう。 
そんな調子だ。

固められていてスペースが無いのは分かるが、
ボールが来る前に、複数の選択肢が考えられていない。
ボールが来てから考えている。
周りの選手も動きが少なく、選択肢を作ってやれない。

相手にとっては、意外性の無い攻撃。
その時間があまりに長かった。

決定機になった場面では、パス交換やクロスだけでなく、
「個」の力を前面に出したドリブル突破や、思い切ったシュートがある。
どこか、そうしたチャレンジを入れなくては。
もしくは、相手の意表を衝いて、ディフェンスの選手が攻撃参加するような、
「意外性」をエッセンスとして入れていかなくては。
お行儀の良いサッカーでは、篭る相手は崩せないと、改めて思い知らされたゲームだった。 

シーズン当初の、ちばぎんカップやその後の数試合で見せたような、
「シュートで終わる」意識が、希薄になっているのが気に掛かる。
(撃たせないように上手く守られているのか?) 

攻撃に関して、目指すものが、観客にやや見えずらくなって来ている。 
そこをハッキリさせるところから、もう一度取り組んで欲しい。

あの試合後の空気は、ブーイングよりも選手にはきついだろう。
それだけの期待が、彼らには注がれていると言う事だ。