勝利を呼び込んだ采配。 第27節 vs山口 ○2-1

勝利を呼び込んだ采配。 第27節 vs山口 ○2-1

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山口戦の先発メンバー。
意外な事に、前節・徳島戦から全く変更が無かった。

この日は、曇天で涼しさすら感じたとは言え、真夏の連戦。
コンディション次第では選手の入れ替えもあると思っていたけれども、逆にコンディションさえ悪くなければ、こうして同じメンバーで戦ってくると言うことか。そして、それだけ、前節に手応えを感じていたと言う証左でもあるだろう。

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そして、この日もジェフは素晴らしいプレーを見せてくれた。
ハイライン・ハイプレスが機能し、山口を狭いエリアに押し込み、ほとんど一方的に攻め込む。
ディフェンスラインが危ないボール回しをするようなシーンもほとんど無く、畳み掛けた。

狭いエリアに選手が固まっているにも関わらず、ボールがすいすいと進む。
ここ数年だったら、だるいバックパスと後ろのボール回しで時間が費やされていただろう。
けれど、この日は全く違った。

前線からのプレスでボールを追い込み、相手のパスコースを限定して、高い位置でボールを取り戻すや、あるときは、二列目のキープからサイドバックが攻め上がってクロスを上げ、あるときは、大きくサイドチェンジで揺さぶり、スペースへ走り込んでチャンスを作り続けた。

何が以前と変わったのか?もちろん、このサッカーを始めて8ヶ月。
適応できた選手が選別され、連携が高まったと言うのもあるだろう。

が、その中でまるで昔から居た選手のように、すっと溶け込んでいた選手が居る。
移籍して来てまだ3試合目の矢田旭だ。

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正直、名古屋時代の矢田は観たことがほとんど無い。イメージも無かった。
この日の矢田は、まずしっかりとプレスをかけ、体を寄せて、相手を追い込む。地味なプレーをしっかりこなす一方で、ボールを持つと、流れを切るどころか、むしろ攻撃のタクトを握って、周りを走らせる。これまでは、也真人が一人でこなしていたプレーを、二人で分散してやっているようで、これには、山口もやり辛い様子だった。

この日、壱晟はベンチ外だったが、この矢田のプレーは刺激にならざるを得ないのではないだろうか。
監督が、あの位置に何を求めているか、まざまざと見せつけてしまったから。

矢田が入った中盤の連携のよさもあり、
正直、もっと早く、もっと多く得点が奪えても良い試合だったとは思う。
それを許さなかったのは、山口の守備の粘り。
順位を考えれば、粘り粘って、一瞬に賭ける。
その勝機を残しておきたいのは当然だった。

結局攻めながらも、前半は得点は奪えず。
後半、更に攻勢を仕掛けるジェフ。
足が止まらないのは、涼しさもあるだろうし、自分達が主導権を持って攻め続けていると言うのもあるのだろう。

惜しいチャンスが続く。
特に、船山のロングシュートがポストを直撃したシーン、
ラリベイのポストプレーからのパスに、清武が合わせたシーンは決定的だった。

一方で、冷やりとしたピンチもあった。
福元の渾身のミドルを、佐藤優が抑えきれず、こぼしたボールを蹴りこまれたが、
幸い、オフサイドの判定で、事なきを得た。

先制点は、57分。町田也真人。
ボムヨンから、矢田、左の乾と繋がり、クロスをキーパーがパンチングしたボールに合わせて、ダイレクトボレー。これが、コース良く決まって、ようやくゴールを奪う。
スタンドに向け、「10番」を誇らしげに見せ付ける也真人に歓喜の輪が出来る。

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先制し、落ち着くことが出来たジェフは、その後もあまりペースを落とさず、セットプレーも交えながら追加点を狙っていく。72分には、ラリベイに代えて指宿、船山に代えて為田を投入。指宿は、相変わらず、懐の深いキープで周りを活かしながら戦い、為田は、ややアピールに焦りのあるプレーで、ちょっと流れに乗り切れない。

試合も終盤にさしかかり、ここまでゲームは完全にジェフだった。
けれど、そのまま終わらないのがサッカーと言うもの。
アディショナルタイム間近の89分、山口は小塚のパスから岸田が抜け出し、これを近藤が倒してしまい、PK。岸田が右上隅に叩き込んで、同点とされてしまう。

正直、これだけの内容で、しかもホームで、引き分けに持ち込まれたら、モチベーションは下がってしまう。ありがちな展開とは言え、負けに等しい引き分けになってしまう。

ここで、エスナイデル監督が動く。
矢田に代えて、若狭。
何故にディフェンス?と思う間もなく、最前線に近藤が上がってくる。
パワープレーだ。

しかも、PK与えた事もあって、近藤が、自分で取り返そうとやたらいきり立っている。
正直、この一手は賭けだ。バランスを崩して、相手に追加点をやる可能性もある。
が、ホームで、ここまでやって引き分けられるか。意地でも勝って終わるぞ、と言う監督のメッセージは、しっかりと選手にも、サポーターにも伝わった。

それが実ったアディショナルタイム3分。
右からのクロスを、指宿が頭で繋ぎ、さらに近藤が頭で繋ぎ、最後は清武が頭で叩き込んだ。
メイン側のコーナーフラッグに向けて滑り込んだ清武に、サポの大歓声と、ベンチから飛び出した選手達、そして誰よりエスナイデル監督がその輪に加わり、喜びを分かち合った。

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清武に向けて、猛ダッシュするエスナイデル監督は、この日のハイライトだ
た。

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ゲームは、この決勝点で2-1で辛勝。
夏休みでもあり、11,550人と久々に1万人を超えたホームのサポーターに、エンターテイメントを見せつけて、今季二度目の連勝となった。

強調したいことが2つある。
1つは、この日イエローカードなしで戦えたこと。
累積警告でリーチが多数居るが、出場停止なしで湘南戦を迎えられる。

そしてもう一つは、この連勝は、交代策がもたらしたこと。
1点を守りきった5バックを新しい選択肢として見せた徳島戦。
決勝点を奪うために、即断即決でパワープレーを選択した山口戦。

いずれもエスナイデル監督は、賭けに勝った。
裏目に出れば、非難は避けられなかっただろう。
けれど、そうはならなかった。

この日の決勝点が決まった後、監督自らも歓喜に加わり、大いに喜んだ。
選手も、スタンドも、監督やコーチ陣と共に喜び合った素晴らしい光景だった。
チームが出来つつある、瞬間瞬間に立ち会っている。
そう言う喜びが今のジェフにはある。

きっと、これからも、良い時も、悪い時もある。
けれど、悪い時こそ、監督や選手達と共に困難を乗り越えたいと思う。
この日の歓喜を忘れずに、これからの一試合一試合を本当の意味で「ALL」で戦えれば、きっと良い結果にたどり着けるはず。

さあ、今年は夏が楽しくなってきた。


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後援会の群馬戦バスツアー(9/10(日)19:00@正田醤油)
昨日のフクアリでの受付、出足が早かったとのこと。
検討されている方は、ぜひホームページから、早めのお申込みを。
特に、日曜夜開催なので、乗り継ぎ考えなくて良いバスはラクで良いですよ。