耐え切って、狙い通りの勝ち点3。 2020J2第1節 vsFC琉球 〇1-0

耐え切って、狙い通りの勝ち点3。 2020J2第1節 vsFC琉球 〇1-0

2020/02/23(日)14:00
フクダ電子アリーナ
J2第1節
千葉 1(1-0,0-0)0 琉球

<得点>
1分 千葉 50米倉

ジェフ公式
Jリーグ公式


快晴のフクアリ。
事前搬入の時に見る、午前中のフクアリは格別だ。
青々とした芝が美しく広がり、春の訪れ、球春を感じさせてくれる。

さあ、今年も開幕だ。


新型コロナウイルスの流行もあり、こうした大きなイベント自体に自粛の向きがあるけれども、何とかこの日を迎える事が出来た。
試合前後には、勇人CUOによるサポーターミーティング催されたり、森本新社長から開幕に際してメッセージが読み上げられるなど、チームの中からの変化も少しずつ見えつつある。新監督、新チームだけでなく、ジェフ全体が変わっていく、はじまりの年に今年が意なったと、後で振り返った時になって欲しいと思う。

新しくなった列抽選を終え、入場。
12時前に発表されたスタメンは、予想と少し異なるメンバーだった。


ベンチ入りメンバー17人は想像通りだったが、ちばぎんカップからは、船山と田坂が外れた。
代わりに、川又とゲリアが先発。川又は船山の位置=2トップに入っただけだったが、ゲリアが入ったことで、米倉が中盤の右にポジションを上げた。ちばぎんカップの終盤のようなスタメンだ。

選手の入れ替わりが少なかった今オフだが、このメンバーを見てみると、2年以上一緒にやってる選手がほとんどいない。
新井(章)、チャン、田口、川又は新加入だし、米倉と安田は昨年夏、新井(一)とクレーベは昨年春だ。
これで、いきなり阿吽の呼吸でパスが繋がるかというと。少々不安だった。

加えてベンチメンバーまで含めたスタメンの平均年齢は28.5歳。
厳しい練習を積んでは来ているものの、90分間、もつだろうか?


(選手バスの出迎え)


(キックオフ前には、ゴール裏に、フクアリ、エンブレム、円陣の3枚のフラッグを掲出。
 FC琉球のサポーターからは、首里城の再建を願うフラッグが掲出されていた。)


フラッグを畳み終えて席に戻ると、開幕戦からコートチェンジ。
琉球が仕掛けてきたと早合点したところ、試合後の監督コメントによると、どうやらジェフ側が仕掛けた模様。
何としても先制点を奪うために、あえて、サポに向かって攻める事を選んだのだろうか?

だとしたら、狙いはものの見事にはまった。

キックオフ直後、ジェフが前からのプレスでボールを奪い、一気呵成に琉球陣内に攻め込むと、右から中央に折り返す。
田口がダイレクトで左に展開すると、堀米が左から中央へクロスを送り込む。
川又にマークが集まる、その後ろへ飛び込んで来たのが、右MFの米倉!
叩き付けた後、そのまま転がり込む強烈なヘッドで、開始40秒。先制点を奪って見せる。

ゴール後、米倉がスタンドを煽り、開始早々、スタジアムは最高潮の盛り上がりとなる。
さあ、この先制点で琉球が前に出て来てくれるなら、前に出る琉球の裏をカウンターで狙って、さらに主導権を握れる、、、はずだった。

が、そんな予想は全く的外れで、ここからジェフは、琉球の猛攻に苦しむ事になった。
怪我人を多く抱え、ベストメンバーが組めない、さらには選手の入れ替わりが多く、コンビネーションもまだまだこれから。
そう聞いていた琉球だったが、、、目の前でボールを回すベンガラ色のユニフォームの選手たちは、もう何年も一緒にプレーしたかのようなスムーズさでボールをスルスルと小気味良く回し続け、時折、ジェフの急所を突いて、際どいシュートを放って来ていた。

ジェフは、今季、オーソドックスな4-4-2の布陣で、ゾーンディフェンスを敷いている。
その布陣が、先制点を奪った後、重心が後ろに下がってしまっていた。
後ろに下がったコンパクトなゾーン。
そこに相手選手が入って来ないと、プレスがかからない。
逆に言えば、ゾーンの手前や、周囲では、琉球の選手たちが比較的自由にボールを持ててしまっていた。

何度も、20番の上里がフリーになっているのに、そこにプレスがかからない。
彼から厄介な縦パスが供給され、あるいは、ジェフに左サイドを抉る形で、ほとんど自由自在に5番のタヴァレスがクロスを上げてくる。危ないシュートを何本も打たれた。ピンチを凌ぐたび、スタンドからは何度となく安堵の溜息が漏れた。

それでも、前半30分まではまだチャンスも無くは無かった。
再び、堀米のクロスから、クレーベのヘディングシュート。
さらに、相手のミスを突いてボールを奪い、米倉がループシュートを放つ場面もあったものの。
9番を着けたDF李の、身体を張った守備に防がれ、最少得点差のまま試合は進んでいく。

得点は1-0だが、チャンスの数は、琉球。
展開は変わらず、前半を終える。


後半、新井(章)の背中に応援する形になったが、展開は変わらず。
まったく攻撃らしい攻撃が出来ず、ピンチの連続だった。

前半と変わらず、琉球はボールを細かく繋いで、ジェフを崩しにかかる。
まるで、ジェフの作る小さな鳥籠を、琉球の作る大きな鳥籠が包囲しているかのようで、ジェフが捕らえておきたい「鳥」=「琉球の選手たち」は、ほとんど籠の「外側」に居て、外からジェフの鳥籠を突かれているかのようだった。

相変わらず、安田のサイドから、タヴァレスのクロスが止まらない。
もうちょっと、クロスを上げられないよう、粘って潰してくれないものか。
あまりにジェフが攻められているので、カメラマンが、ジェフのゴール裏に移動して来るほどだった。

恐らく、これだけ攻められていれば、去年までなら、どこかで大きなミスが出て、失点していた事だろう。
しかし、この試合ではそうはならなかった。
相手のシュートがバーを叩いたり、相手のミスや運に助けられた面もある。
が、クロスの多くは新井(章)がダイレクトで掴み、あるいは決定的で危ないシュートには、1人目が抜かれても、2人目、3人目のカバーが入って、失点を許さずにいた。

外側では回させても、ゾーンに入ってくれば潰す。
「簡単にはやられない粘り強い守備」が出来ていた。

奪った後に、もう少し落ち着いて繋ぐことが出来ていれば、カウンターから得点機も作れたのだろうが。
今日はまだ、ほうほうの体でクリアするのが精いっぱい。
逆に琉球のプレスの網にかかって回収されてしまっていた。

59分にはアクシデントで、新井(一)が増嶋に交代。
昨年は交代をきっかけに失点、と言う場面もあったが、増嶋はすんなりゲームに入ってチームを落ち着かせる。
若いチャンは、相手の波状攻撃に四苦八苦していたが、増嶋の声掛けで、やや落ち着きを取り戻したように見えた。

琉球がボールを持ち続けていたが、サイドからのクロスへの対策として、途中から5バックに変更。
米倉が、右SBのゲリアのさらに外側に下りて来てスペースを埋める形を取った。
敵将・樋口監督曰く「大型バスを2列並べているような守備」で守りを固める。

そして、重要な変化として、60分を過ぎても、大きく運動量が落ちる事はなかった。

その後、79分に川又に代えてアラン。
アディショナルタイムには、堀米に代えて山下を投入。
(堀米が90分以上出場できた!)

琉球は、80分に小野伸二を投入。
有火状態の小野のプレーを目にする事が出来るとは。
コンディションはすこぶる良いようで、

彼らしい意表を突いたアウトサイドのノールックパス、
シンプルでいて局面を変えるパス、
驚かされた豪快なヘディングシュートと、

一つ一つのプレーが脅威となっていたが、その最後の攻勢を凌ぎ、タイムアップ。
苦しい戦いではあったものの、1-0。
クリーンシートで勝利を収める事が出来た。

「守り切って勝つ」

監督が変わり、今のジェフが狙いとする勝利の形が、開幕戦で早速実現する事が出来た。
2月にしては暑さすら感じる気候でも、最後まで運動量と集中力を切らさずにプレーできた。
このサッカーで勝つと切り替えた選手たちにとっては、大きな自信になる勝利になった。

半面、今日「出来なかったこと」はこれからの伸びしろとも言える。

予想外の早さで先制点を奪えたことが、ゲームプランを変えてしまったとはいえ、
ラインをもっと高くして、琉球の攻撃を抑え込みたかっただろうし、奪った後には、速く、正確に繋ぎたかったはずだ。
距離感が悪く、焦りから不正確で、攻撃面は良さがほとんど出せなかった。

もう少し落ち着けていれば、先制点の場面のような、速いカウンターをもっと作れたはず。
それが出来れば、堀米や、米倉のスピードがもっと生きる。

個々の選手では、
ゲリアがSBでも、中に絞っても、存在感のあるプレーをしていた事が良い意味での驚き。
開幕スタメンになったチャンも、相手に振り切られる場面も散見されたものの、無失点デビューは上々。
勝ったことで、それらの「頑張り」が「結果」になり、「自信」が、次に試合の力になる。

何より、尹晶煥監督にとっても、開幕戦に勝利したことで、「いい流れ」「期待感」を、
指揮官への「信頼」へと変換する事が出来る。

一方、敗れた琉球だったが、想像以上の完成度でかなり衝撃を受けた。
メンバーが変わりながら、ここまでボールを繋ぎ、シュートまで持ち込むことが出来るとは。。。
印象に残った選手は、上里、タヴァレス、そして小野伸二。
いや、李、茂木、阿部のプレーもだ。

昨年も14位とジェフより上位でフィニッシュ。
今年はさらに成績を上げるのではないだろうか。
この連携力、伸びしろの大きさ。脅威でしかない。


久しぶりの開幕戦勝利。
ヨネの「俺たちジェフ」が響いたフクアリは、久しぶりの心地よい空気だった。

一戦、一戦。
一勝、一勝。
ひとつひとつ重ねて、自信を積み重ねて欲しい。
長い一年のはじまり。
最終節のフクアリでも「俺たちジェフ」が響く一年になるように。