今のジェフには「芯」がある

今のジェフには「芯」がある

このツイートで書いた事をもう少し深掘りして書きたい。

今季、まだ結果は安定して出せていないけれども、
これからいずれ結果は伴うと考えている。

その一番の根拠は、尹晶煥監督による新しいチーム作りには、
「芯」が通っているからだ。

ここまでのチーム作りを振り返ってみる。

昨年のジェフはJ2で17位。
まずこの出発点を忘れないで欲しい。
そこから多くの選手の入れ替えはせずに、ピンポイントの補強に止めて今季を迎えた。

最初に着手したのは三部練習に象徴される、フィジカルの強化。
昨年のジェフは、この基礎の基礎が足りずに、年間を通しフィジカル不足に悩まされた。
途中でチームを引き継いだ江尻前監督にとっては難しい状況だった。
その反省もクラブとしてあってか、とにかくまず身体をいじめ抜いた。

そして、最重点課題として最初に取り掛かったのは、守備の構築だった。
エスナイデル元監督時代の、理想の残骸を更地にして、4-4-2のオーソドックスな布陣とそれでスペースを潰す守備を、新たなサッカーの土台として、地固めしていった。

迎えた2020シーズン、琉球戦。
半年前とは見違えるような手堅い守備で勝利を収めたものの、試合の主導権はほぼ琉球。
攻撃の構築が課題な事は明々白々だった。

本来ならば、ここから試合をこなし、課題を消化しながらチーム作りが進むはずだった。
が、ここでコロナウイルスの感染拡大が発生する。
緊急事態宣言が発令され、全体練習は中断に追い込まれた。
特に感染拡大が早かった首都圏のチームの影響は大きかった。
九州をはじめとした地方のクラブと、活動期間に差が生まれてしまった。

フィジカル、連携、掴みかけた自信。
それらは一旦リセットされ、
4ヶ月もの中断を経て、6月27日、大宮との再開戦を迎えた。

結果は、0-1で敗戦。
大宮に主導権を握られ、再び攻撃の課題を突き付けられた。

そして、ここから過密日程の下で、早回しのようにチームが、課題と改善を積み重ねる。

最初はなかなか攻撃が出来なかった。
ボールを奪う位置が低く過ぎ、攻撃に切り替わってもカウンターの距離が長すぎてチャンスにならない。
シュート数もほとんど一桁。

そこで、まずボールを奪う位置を少しずつ高くして、カウンターを狙った。
だが、それだけでは得点は奪えない。

攻撃のパターンを増やさなくては。
ショートカウンターに加え、サイドでの崩しに複数の選手が絡むよう連携を高め、ロングスローも含めた、セットプレーのパターンを増やして、少ない決定機で得点を奪い、固い守備で逃げ切るサッカーを目指していった。

ターンオーバーを駆使し、全選手にチャンスがある事を理解させ、競争の中でチームが抱える課題を解決し得る選手を改めて見出していった。

それが勝利に繋がったのが、10節から12節までの三連勝。
順位も5位まで上がり、流れに乗ったかにみえた。

しかしそこで迎えたのが、首位・長崎をはじめとした上位陣との三連戦だった。
長崎戦は完成度の差を感じる負けだったものの、続く徳島、北九州との内容は僅差。
攻めざるを得ない状況だった事もあるが、福岡戦も含めた3試合続けて、シュートは二桁を超えている。
攻撃面で選手間の連携も良くなり、カウンターの中でダイレクトプレーが増えてきた。

守備を整え、
攻守の切り替えを早くし、
セットプレーを磨き、
流れの攻撃のパターンを増やす。
後は決めるだけ。
そして、決められれば、守りきるのも容易になる。
今は、この段階だ。

シーズン当初と比べれば、遥かにゲームが理路整然と作られ、
選手の個性も活きつつある。

今期のジェフは、課題を曖昧にせず、常に改善を施している。
惜しいゲームも多かった。ホームで繰り返してはならないアディショナルタイムの失点も重ねてはいる。思うような結果が伴っていないのは残念だが、昨季17位のチームが、課題に向き合いながら、徐々に成長していると見る事が出来ないだろうか。

加えて書くなら、ミンギュや、ソロモン、見木、壱晟、岡野、本村ら、若手選手も出場機会を得て、世代交代という別軸の課題にも取り組んでいる。

ジェフは、これまでの三年間と決別して、新しいチームを作っている。
その転換の是非は今は置くとして、新しいチームの土台は、尹晶煥監督の下、着実に出来つつある。

今は生みの苦しみ。
土台の上に構築されつつある攻撃が、
あと僅かなきっかけで勝利をもたらすようになるだろう。

次節、9月5日はアウェイだが、その次の9日のフクアリからは手拍子が解禁になる。
その最後の一押しの空気を、フクアリで作り出したい。

チーム作りには時間がかかる。
それは我々サポも、嫌というほどわかっているはず。
その過程を見守り、楽しみ、そして勝利の暁には共に思い切り喜び合いたい。