紙一重の逃げ切り 2020 J2第20節 vsファジアーノ岡山 〇2-1

紙一重の逃げ切り 2020 J2第20節 vsファジアーノ岡山 〇2-1

2020/09/19(土)19:00
フクダ電子アリーナ
J2第20節
千葉 2(2-0,0-1)1 岡山

<得点>
2分 千葉 44川又(24山下)
14分 千葉 16鳥海(33安田)
84分 岡山 15山本

千葉公式
岡山公式
Jリーグ公式

アウェイ愛媛で久々の勝利を得て、一週間の間隔を開けての岡山戦。
2点先行するまでは良かったが、その後は気持ちが守りに入ったのか、ほぼ一方的に守りの展開に。終盤に1点を返され、ラストプレーまで危ないシーンが続いたものの、何とか守り切って勝利。

ちょうど一か月前の徳島戦を思い出すような試合の流れだった。
一番の違いは、今回は勝てたこと。
何が違ったのだろうか。

時間帯ごと、得点経過ごとに、ゲームは異なる表情を見せた。

先制点は鮮やかな一撃。
開始1分40秒。
スローインからの流れで、右サイドを本村→旭→山下と繋ぎ、山下の折り返しを最後は川又がフィニッシュ。

序盤、リズムが良かったのは、
これまでの数試合と違い、二種類の守備の使い分けが出来ていたところ。

一つは、川又、山下の2トップに始まる前線からのプレスでボールを奪いにかかり、そこからカウンターをスタートする攻撃的な守備。

もう一つは、ブロックを固めて、相手の攻撃を弾き返す基本形。

一つ目の「前線からの守備」が上手く機能してれば、ジェフは自らのリズムで戦えている時間帯。

追加点は14分、左サイドちょうどセンターライン付近で小島が倒され、DFも前線に上がったところで、安田→為田→安田とワンツーで相手を一人かわして安田がクロス。
川又が囮になる形で、その後ろから飛び込んだ鳥海が足で合わせて、プロ初ゴール。

「いい流れ」を「得点」と言う結果に繋げ、早々に2点をリード。

ただ、2点差はセーフティでは無いし、前に出ざるを得ない岡山の状況を逆手にとって、カウンターで止めをさす事が出来れば、まさに「ゲームプラン通り」と言う展開に持ち込めたところが、残念ながら守備一辺倒の展開になってしまった。

序盤出来ていた、前線からの守備が中盤より後ろと連動しなくなり、重心がどんどん後ろへと下がっていく。こういう時、ボランチの位置でもう少し守備が出来れば良いのけれども、田口も、小島も、守備よりも攻撃に重きを置いたボランチ。

いったん、重心が下がり始めると、ブロックを作った最終ラインの手前で、前を向いた相手への対応に忙殺され、スペースが無くなり、持ち味が出せない。ボランチから前にボールを出せないと、最終ラインは徐々に「弾き返す」しか選択肢が無くなり、いつまで経っても岡山ペースで試合が進んでしまう。

フリーにした選手にミドルを撃たれ、それがバーを叩く。
これが入ってしまったのが長崎戦だったり、新潟戦だったりしたわけで、たまたま入らなかったのが、今日の岡山戦だったわけで、課題は置き去りのままだった。

守備は最後の最後で集中を保っていた。
後半になっても、流れはなかなか変わらず、岡山のシュート数ばかりが増えていく。何度も何度もコーナーキックを奪われ、それをしのいでもカウンターに移行することもほとんどできない。止めをさすというよりは、いつ、1点を返されてしまうかと言う苦しい展開。

流れを変えるべく、クレーベと船山のコンビと、見木が投入され、前線からの守備と、時間帯を考えたボールキープが試みられるものの、流れはあまり変わらない。

迎えた終盤、岡山のセットプレー。
いったん、左に流れたボールからクロスを送られ、中で合わされて84分に1点を返されてしまう。点差は1点。守り切ろうとするジェフと、同点、逆転を狙う岡山。
「大脱走」をする余裕もなく、ひたすら攻撃を弾き返す。

ここで、一つの変化があった。
これまでの試合、尹晶煥監督は、守りきるためにDFの枚数を増やして5バックにしたり、あるいは時間稼ぎのために交代枠を使い切る傾向にあったが、この試合に限っては、3枚の交代のみ。最終盤にベンチから手を加える事はしなかった。

94分、岡山の最後の攻撃は、7人の選手がゴール前に殺到。
クロスを防ぐことも、中で弾くことも出来なかったが、ヘディングシュートは、新井章太の腕の中に。ギリギリの集中力を保ってタイムアップ。

久しぶりのフクアリでの勝利。
久しぶりの連勝を飾る事が出来た。

安堵の表情を浮かべる選手たちを見届けた後、引き上げる尹晶煥監督にも、スタンド全体から大きな拍手が送られ、彼もまた頭の上で手を叩いて、それに応えていた。

ヒーローインタビューを終えた鳥海の音頭で、
開幕戦以来?の、久しぶりの勝利のでんぐり。
ああ、これを一日も早く当たり前の事に取り戻したいものだ。

振り返ると、ゲームは大きく分けて3つの時間帯があった。

① 前に出て主導権を握った序盤戦。
② 引いてカウンターを狙いつつ、思うように出来なかった中盤戦。
③ ひたすら耐えた終盤戦。

課題は試合のほとんどの時間を占めた、「②」の時間帯。
岡山に決定力があったなら、あるいはジェフが集中力を欠いたなら、徳島戦のように試合をひっくり返されていてしまったかも知れない。

「守り」をチームの強みにしようとしているから、その強みを生かしてリスクを避けつつ試合を決める(カウンターで3点目を奪う)のは定石中の定石だが、まだ今のジェフは、そのシフトダウンが上手く機能していない。

勝ちパターンを身に着けようとする意図だろうが、今はまだ意図的にシフトチェンジするよりも、少なくとも前半のうちは、「①」の時間帯を出来るだけ長く維持する事で共通理解を図った方がよさそうだ。

カウンターの精度が上がるまでは、早い時間の引きこもりを避けて、なるべく相手が攻める時間を短くなるようゲームをコントロールしたい。

勝敗が紙一重のゲームが続くが、連勝したことで失った自信も少しは取り戻せたろう。
次節は、もう少しコントロールの効いた試合が観たい。

そう、その次節だが、中3日で水曜日に試合が行われる。
注目点の一つが、メンバー構成。

メンバーの固定化を明言しながらも、連戦の疲労はある。
実戦から遠ざかったメンバーには、不満もあるかも知れない。
どんな11人を送り込むだろうか、尹晶煥監督は。