守備が機能し、鬼門・味スタで快勝 2021 J2第35節 vs東京V 〇5-1

守備が機能し、鬼門・味スタで快勝 2021 J2第35節 vs東京V 〇5-1

2021/10/24(日)14:00
味の素スタジアム
J2第35節
東京V 1(1-3,0-2)5 千葉

<得点>
6分 千葉 10船山(4田口のサイドチェンジを、16福満がシュート。大きくバウンドしたボールを船山が頭でコントロールして流し込む。)
23分 東京V 11山下(30杉本のクロスにピンポイントで合わせる。)
33分 千葉 4田口(25末吉の左クロスを、身体を被せながら4田口がダイレクトでスライディングボレー。スーペルゴラッソ。)
44分 千葉 16福満(CKを、4田口がダイレクトボレー。ゴール前に居た16福満がコースを変えてゴール。)
47分 千葉 16福満(相手の横パスをカットし、そのまま前へ。距離はあったが、グラウンダーの右足ミドルがゴール左隅に。)
54分 千葉 17新井一(CKのクリアボールを繋ぎ、右に抜けた25末吉がクロス。ファーの15ミンギュが頭で落とし、17新井がボレーで叩き付けた。)

千葉公式
東京V公式
Jリーグ公式



勝てていないとは思っていたけれども、まさか10年も味スタで勝っていなかったとは。
(そういや、プレーオフもか。)
その鬼門で、今日は見違えるような試合内容を見せてくれた。

メンバーは前節・大宮戦と全く変わらず。

ゴール裏を買いそびれてしまった自分は、バックスタンドから観ることに。
これが、普段とは視点の違う試合の見方をさせてくれた。
基本フォーメーションは3-5-2(3-4-2-1)だけれども、守備時には、両翼の福満と末吉がバックラインに吸収されて5-2-3に変化して守る。ゴール前は、5人の選手が蓋をしてしまっている。クロスを上げるにもスペースが無く、上げても、中には高さのある選手が揃っている。


その手前では、アンドリュー、田口、船山、見木が連動して追い込み、相手が出しどころ無くボールを戻せば、最前線のソロモンがそれを追いかける。最終ラインには網が張られているから、どこかで何か仕掛けないといけない、けれど、選択肢は少ない。
そうして、ジェフにボールを「持たされた」ヴェルディが、横パスやバックパスで手詰まりになる。

そこを、狙う。

ヴェルディは巻き網に進路を塞がれたかのようだった。

一見、ヴェルディがボールを握っているように見える。
けれど、いったんジェフがボールを奪えば、前がかりになったヴェルディの裏を衝いて反転攻勢に移る。序盤、右サイドでボールを受けていた船山。それが、先制点のシーンでは、大外で福満が体勢を崩しながらシュートを狙い、ゴール中央にポジションを移していた船山が、冷静に頭でコースを変えて流し込んだ。

あまりにあっさりと決まったので、敵味方ともに、ちょっと気の抜けた空気に一瞬なった。「誰が決めたの?」「ああ船山か・・・。船山?なんでそこに!?」そんな感じで。

先制点を奪った後、ちょっとヴェルディに好きなようにやらせ過ぎた。
ボールを持たせるだけでなく、フィニッシュに近いところまで回すことを許してしまった。
守備陣形が崩れた訳ではなかったが、対応が遅れてしまった。
福満の裏側に飛び込まれて頭で折り返され、中でピンポイントで飛び込んだ山下に合わされて失点。
同点とされてしまう。そこで、飲水タイム。

ここで、「焦る必要はない」と確認できたのも良かったのではないだろうか。
失点から10分後、強烈なゴラッソがヴェルディゴールに突き刺さる。
末吉の左クロスを田口がスライディングボレー。

相手の戦意すら挫くような強烈な一撃で再びリードを奪うと、やり方を変えることなく、再びヴェルディを網に追い込んでゆく。

前半終了前に、今度はセットプレー。
立て続けの左コーナーから、二度目は密集を外して変化をつける。
田口がダイレクトで合わせ、最後は福満がゴール前で押し込み、3点目を奪う。このチームが3点を奪うなんて。あまりに久しぶりな感じがして調べると、どうやら5/9の岡山戦(4-2)以来らしい。

時間帯もいい。
3-1で前半を終了。
気を引き締めて戦うだけ、そう言い聞かせて後半戦へ。

すると、心配をよそに、スタートから攻勢を仕掛けると、47分には福満がカットしたボールを自分で持ち込み、強烈なグラウンダーのミドルシュートを流し込んで、4-1。

これまでなかなか得点出来ずに苦しんでいた福満の封印が解けると、54分にはセットプレーをクリアされたところから再び組み立て、末吉の右クロスをミンギュが落とし、新井一耀がボレーを叩きつけて5-1とする。


入るときは、本当に入るもんだ。
いや、それにしても、今日は前半で3得点を奪い、選手たちが「いける」と手ごたえを持って後半に臨んだのが大きかったのだろう。失点は容易にはしないと言う自信がある。その上で、今日はリードがある。攻める相手の裏を衝き、得点はまだ奪える。そう言うポジティブな意識の矢印の向きが、今日は揃っていた。

普段だったら、もっとフリーな選手を探したり、大事にしてしまう場面で、クロスを上げたり、シュートを撃ったり、「やりきる」事が出来ていた。

5-1と点差は開いても、やることは何も変わっていない。
ゴール前には相変わらず5人のディフェンスが並び、その前では相手の横パスに狙いを定めている。後半に入ってしばらく経つが、決定的といえるピンチは、ない。
思惑通りに試合を作れている。

あとは、どう試合をクローズしていくかだ。
尹晶煥監督は、オーソドックスに、まず、ソロモンと、船山を、サウダーニャと矢田旭に交代。さらに、両翼の運動量を補うために、福満、末吉を下、米倉と安田。最後の交代は、見木から壱晟と、いずれの交代も、ポジションの変化を伴わない、同じ位置通しの交代。バランスを崩さず、試合を静かに進めていく。

ヴェルディも選手交代をしたけれども、流れが変わることはなかった。

失点を許さず、5-1。久しぶりの大勝だった。


(ここ数試合、勝利の後の恒例になっている記念撮影)

5得点を奪った事はもちろん素晴らしいけれども、試合を通じて崩れることがほとんど無かった守備の固さは素晴らしかった。「守備の土台が出来た」事で、それを拠り所にして後は攻撃をどう煮詰めるかと言う課題に、各選手が向き合った結果が、今日のスコアに繋がった。

もちろん、この一試合の結果と内容をもって、課題のすべてが解消されたなんて言うことは出来ないけれども、「こういう試合も出来ます」あるいは「こうリードしたら、こう戦います」と言う経験値を、チームとして実戦で積めた事は大きな財産になった。

これで直近の6試合で、5勝1引き分け。
勝ち点53として、去年の年間勝ち点に並ぶことが出来た。
あとはどれだけ積み増しが出来るか、自分たち自信との戦いだ。

土台をさらに強固に出来るか。
その上に自分たちの目指すサッカーをどれだけ明確に打ち立てられるか。
ようやく、そういうことが言える段階になったのではないだろうか。

まだ自信は決して確信ではないかも知れないけれど、
今日の試合のような内容を一試合でも多く増やして、自信を深めて行ってほしい。
ナイスゲームでした。