C57 蘇我を走る

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090207_04来週末、イベント列車として、千葉みなと~木更津間を走る、「SL春さきどり号」の試運転を観に行ってきました。一昨年のD51は見逃してしまっているので、蘇我で蒸気機関車を見るのは、自分は20年以上ぶり(たぶん1987年の「SL毎日号」C56)。

親父が蒸気機関車マニアの我が家は、当時は家族5人で歩いて蘇我まで観に行ったもの。今は離れて一人暮らしをしている下の兄弟が生まれたばかりで、間近で見る大きな汽笛の音に驚いて、わんわん泣き出してしまったりしていたのも良い思い出。子供の目にはずいぶん大きく見えたけれど、久しぶりに見る機関車は、ずいぶんスマートに見えた。


P1000396使用される機関車は「C57 180」。
C57が千葉を走るのは、千葉で1969年に蒸気機関車の定期運転が終了してから、実に40年ぶりらしい。そう言えば、実家には「蒸気機関車さようなら!」と書かれた、さよなら運転のポスターが、ずっと掲げてある。そう思うと、自分の生まれる前の話とは言え、いつも見ていた機関車だけに感慨深い。
こうして、今日ここに居るのも、親父の影響が少なからずあるよなと、自分自身に苦笑いしながら、入線してくるC57を待つ。


090207_0213時前に蘇我駅に着くと、鉄道マニアが既に多数陣取っており、自分も少し離れてデジカメを構える。試運転なので、定刻に遅れているのかはわからないが、来週の運転予定より少し遅れて黒光りする車体が遠くに見え、そしてどんどん大きくなって、目の前を通り過ぎていった。
そして、ホームから少し離れたところに一旦停車する。




090207_03見事なまでに磨き上げられた車体。
親父は、2年前に誘った時は、あえて見に行こうとはしなかった。親父に言わせると、こうしたイベント列車は、「本来の姿じゃない」かららしい。イベントではなく、実際の営業運転の中で走っていた姿こそが、親父の愛して止まない蒸気機関車の姿なんだそうだ。
とはいえ、自分はイベントでしか見る機会も無い訳だが。

090207_05停車したC57の周りでは、職員があれやこれやと点検を行っている。
その間にやってくる電車の乗客たちは驚いた様子で汽車を窓から見つめ、沿線にも、いつのまにか人が増えて、思い思いに写真に収めている。川崎製鉄が縮小され、フクアリが出来て、ラスタカラーに彩られた蘇我駅に蒸気機関車が居るのも不思議な光景だ。年配の夫婦も、小さな子を連れた家族も、目を輝かせてC57を見つめている。



090207_04蘇我には30分近く停まっていただろうか。
その間、陸橋に登ってみたりもしたけど、高い柵が出来ていてあまり良く見えなかった。結局、また線路脇に下りて出発を待った。しばらくして、それまで煙を上げていなかった煙突から、もうもうと黒煙が吐き出され、「そろそろかな」と思う頃に、





『ボーーーーーーーーーーッ!』


090207_06と、腹に響く、それでいて何故か懐かしい汽笛の音を何度か響かせて、汽車は木更津へ向けてゆっくりと走っていった。青い12系の客車からは、JRの職員が沿線のファンに手を振っていた。仕事ではあるだろうが、誇らしい瞬間であることだろう。






090207_01「SL春さきどり号」は、来週末が本番。
都合がつくなら、また観に行こうと思う。
この歳になって、植えつけられた「鉄」の血がどうやら少し出てきたらしい。