攻城戦、時間切れ 第8節・ファジアーノ岡山戦

攻城戦、時間切れ 第8節・ファジアーノ岡山戦

20120415
上手く岡山の術中にハメられてしまった。
岡山は、ディフェンスラインに怪我人が続出。FWチアゴも間に合わないなど、戦力的には問題がある状態だったけれども、その苦しい状況の中で「守り」のアウェイゲームプランを完遂した。
地力をつけてきているなと言う印象を持たざるを得ないドローだった。

----藤田----
深井--兵働--レジ 
--健太郎-大介--
武田-----ミルジ
---智--竹内--
----岡本----

ジェフは前節、水戸戦から右SBの大岩をミリガンに変更。
それ以外は、同じスタメンで臨んだ。

前半、ジェフの攻撃は停滞する。
岡山がカウンター狙いの守備重視の布陣をした事で、攻め手が無くなってしまう。

サイドにボールを出すものの、そこには常に2枚で守りがつく。
ジェフが2人で崩そうとすると、岡山の選手は4人ほども人数を割いて、ボールを潰しに行く。
それだけ選手が固まれば、フリーの選手にボールを回せばチャンスになるはずなのだけれども、判断のスピードと、選手の距離感が悪く、なかなかテンポ良くボールが繋がらない。

その状況に輪をかけたのが、右に入ったミリガン。
大岩と異なって、前線に駆け上がる推進力が無く、ちょうど栃木戦の山口慶のように、ブレーキになってしまう。
右が全く上がれない事で、岡山は左からの攻撃だけをケアすれば良いようになり、ますます形がつくれない。

ミリガンの先発には、山口慶の時と同様に疑問は残る。
前節もアシストを決めている、売り出し中の選手を敢えて変える必要があるのか。
理由があるとすれば、代表合宿で、疲労なり、ちょっとした怪我があったのかも知れない。
それとも、大岩不在のオプションを試す必要があったのか。
結局この日、大岩には出番が無かった。 

その後も膠着した展開は続く。
まるで「城攻め」のようだった。

堀や石垣で固く守られた城に、クロスも、突撃も跳ね返される。
相手の攻撃は、こちらの隙を衝いてのカウンター。 
ちょっとしたミスが、命取りになりかねない時間帯が続いた。

テンポの上げられないジェフ。中盤、伊藤大介の球離れの悪さが気になる。
ボールを受ける前に、ボールの出し所なり、自分で仕掛けるかがイメージ出来ていないようで、2タッチ、3タッチで横や、後ろに預けてしまうプレーが目立つ。

崩せず、かといってミドルも放てず、停滞した前半が終わっていった。

後半、選手交代は無し。
ハーフタイムで監督の檄が入ったか、入りからテンポが上がる。
それまでなかなかボールの出なかった、深井やレジナルドにボールが預けられるようになり、ようやくチャンスらしいチャンスを作れるようになっていった。

レジナルドのクロスに深井がボレーで合わせたシーンを皮切りに、相手ゴールまで肉薄するシーンが増える。
コーナーからの智のヘッド、レジナルドの決定的な1対1・・・けれども、岡山の必死の守りがジェフに得点を許さない。
この20分間に決められなかった事が、最後まで響いた。

岡山は、61分に篠原に代えて、植田を投入。ディフェンス同士の交代。
もしかしたら、長身の植田で藤田のポストを抑えにかかったのかも知れないが、それを見た木山監督はすかさず62分に藤田に代えて、荒田を投入。マッチアップのアンバランスを意図した交代に映った。

この時、右のレジと、深井が左右でポジションチェンジ。

----荒田----
レジ--兵働--深井 
--健太郎-大介--
武田-----ミルジ
---智--竹内--
----岡本----

布陣はこんな感じになる。 

さらに、70分には、深井を田中にチェンジ。
この交代は意外だった。
レジナルドの動きが少し良くなって来たのはあったものの、今日も一番動いていたのは深井で、同時に後半になって「怖さ」も出始めていた。それだけに、岡山からすれば、深井が退いてくれて助かったと言うのが正直なところではないだろうか。

ジェフは、藤田のポストが無くなり、深井のアクセントも無くなったので、「どう攻めるか」が曖昧になった。
田中は奮闘していたし、ミルジも前半よりはかなり攻め上がって絡むようになったものの、「決定的」と言えるチャンスがなくなり、岡山のカウンターが牙を剥き始める。

時間が無くなり、焦りの出始めたジェフに、更にアクシデント。
武田が足を吊ってしまい、坂本と交代を余儀なくされる。
これで、残り10分の最後の攻撃の駒、オーロイだったか、それとも大塚だったか、が切れなくなってしまった。

----荒田----

レジ--兵働--田中 
--健太郎-大介--
坂本-----ミルジ
---智--竹内--
----岡本----

最終的には、この形。
残り10分は、リスクをかけた攻めに出るジェフを、岡山が虎視眈々と「一突き」を狙う展開になる。
岡山の「槍」は、20番の川又。連続得点中だけあって動きにキレがある。運動量も豊富。
この時間になっても、十分に脅威になり得ていた。

抜け出して、あわやのシュートで肝を冷やす。
正直、外してくれたから良かったようなものの、やられていてもおかしくないピンチだった。

ぶれる事無く、守りとカウンターに徹する岡山。
ジェフも最後まで、兵働がヘディングと、ニアを狙った決定的なシュートで勝ち点3を目指すものの。
5分のロスタイムでも、ついに「城」を陥とせず、タイムアップ。
ホームで無念のドローになってしまった。正直、痛い結果だ。

90分を通じて、エンターテイメント性に乏しい、見所の少ない試合だった。
そうさせたのは、ジェフに守りを固めた相手を崩すアイデアが無かったからのように感じた。
考える時間の長い、スローモーな試合展開。
大きな展開に乏しく、安易にバックパスを選んでしまう。

「仕掛けられる」選手がおらず、ゲームの流れに変化を起こせない。

そして、「決定力不足」。

ちばぎんカップからそうだったけれども、チャンスを決められる決定力が無い。
「惜しかった」で済ませていては、済まされない問題だ。
レジナルドが、「決定力」を補うラストピースではないと、どうやら分かってきた以上、チームとして、それを解決するより他に道は無い。

判断を早くし、シュートを打ち切る。
攻めの時に、フリーランニン
グをもっと多くして、スペースを作ったり、クロスに飛び込む人数を増やす。

「誰か」が、「決定力」にならないなら、「全員が」決めるしかない。

今日も完封した守備陣の奮闘に応えるのは、ゴールしかあり得ない。
攻撃陣の奮起なくして、このGWの連戦の勝利も、この先の未来も無い。

「下手な考え休むに似たり」

らしさが、今日は見えなかった。

6位、勝ち点16。首位湘南は、勝ち点22。既に3ゲーム差。
岡山のよう戦いをするチームは増えてくる。
時間切れ引き分けになった今日の攻城戦から、次の一手を学び、次こそ勝利を。