8/6(土)ナビスコ杯準々決勝・磐田戦

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千葉3(2-1、1-1)2磐田
<得点>
千葉:羽生(ハース)、中島(FKハース)、要田
 
<ニッカンスコア>

 
阿部、巻、櫛野、水本、水野。5人を欠いたジェフ。
村井、茶野、川口、田中、福西、金珍圭、西。7人を欠いた磐田。
ジェフは選手を奪われ、磐田は選手を奪った。磐田は、今日の日のような事態にも対応出来るようにストーブリーグを進めたはずだ。

 

それがどうだ、今日の日の戦いは。
4月に戦ったとき、「新しい選手がまだ馴染んでいないから」そう彼らは言った。ジェフもハース・ストヤノフ、新たな戦力が馴染んでいないのは一緒だった。そして今日、彼らは「代表組が居れば負けはしない」と言っている。条件は互角、彼らは気付くべきだ。もはや何を言ってもそれが『言い訳』にしか過ぎない事を。

 

まだ半分が終わっただけ。何も成し遂げていない。
けれども、次もジェフがジェフである事を見せ付ければ、一週間後もサポの期待に必ずや応えてくれるはずだ。


臨海が総体開催で使えず、“ニュートラル”な国立が舞台。
各地で花火大会が催され、世間は夏休み。そう言う季節要因もあってか、磐田を迎え討つ準々決勝だと言うのに正直スタンドは寂しい状態だった。それでも、この日に集ったジェフサポの士気は高く、わずかな人数しか集まらない磐田サポを圧倒した。試合前から磐田サポは眼前のジェフよりも、新潟へレンタルされる菊池との別れを惜しむ事に気を散らしていた。そんな散漫な気持ちで、この一戦に懸けるジェフと当たって勝利できるとでも思っていたのか。

勝って、代表から帰還する阿部・巻を迎えたいジェフは、前半開始早々から磐田にプレッシャーをかける。
いつも通りトップ下の羽生が先鋒となり、前線からチェイシング。周囲と連動して磐田を追い込む。そして、阿部の代役としてどこまでやれるか期待半分だった中島が、思いのほか安定したプレーを見せる。まるで阿部が乗り移ったかのような激しいディフェンスに、小気味の良いパス。その中島の奮闘もあり、2~3本のパスが易々と繋がっていく。
たとえ磐田にボールが渡っても、勝手にミスをして自滅してくれる。服部・河村・名波・太田・成岡が固める磐田の中盤、テクニックはあるはずだが、この日の前半はあまりにグダグダだった。

攻勢は明らか。そしてジェフの攻撃はいきなり結実する。
前半6分。右サイド、ボールを奪った結城がこれまで無かったような大胆な攻め上がりを見せる。その勢いのままにゴール前のハースに目の覚めるような右クロス。ハースは、確実にスペースに向けてヘディングでボールを落とすと、そこに駆け込んでいたのは羽生!力を込めて振り抜いたシュートが、先制点をもたらした。

その後もペースはジェフ。中島のパスを起点に左右にワイドに開き、気迫を込めて攻め込む。11分には、林のラストパスに反応した山岸がDFともつれ込みながらシュートを放つ惜しいシーンもあったが、惜しくもバーに嫌われる。
磐田は名波ら経験ある選手が何とか立て直そうとするが、ジェフのプレッシャーに押されて形が作れない。そればかりか、これがあの名波なのかと目を覆うばかりの体たらく。中島の気迫に対して、押し返そうとするどころか、ファウルを下さいと顔を覆って倒れ込んで演技をするばかり。かつて98年の予選で日本の10番を背負った男の今はこんなものなのか。カズや中山の気迫を知っているからこそ、悲しくなるシーンだった。

磐田には気持ちが入っていない。こちらの勢いのままに、30分。
今度は、左からのハースのFKを、ドンピシャで“誰か”がヘディングで叩き込む。追加点!・・・って誰だ?はるか遠くで、“誰か”を中心に喜んでいる。結城?大さん?ザワつくスタンド。しばらくして、「ただいまのゴールは、背番号15・中島浩司選手のゴールでした!」場内実況が響くと、スタンドは「ええっ!?」と絶叫。何とも言えない妙な空気とちょっと遅れてのお祭り騒ぎ。この空気・・・確かに中島のゴールだ(笑)

2-0、磐田には散発的なチャンスしか与えていない。ロスタイムは1分。このままのペースで後半に行ければ上出来だ。そう考えたところで磐田のCK。ここさえ押さえれば後半・・・蹴るのは名波。十分に気をつけていたはずが・・・大さんのマークがずれて前田に綺麗に合わされてしまう。相変わらずのセットプレーの弱さ。どうにもならない。流れが、急におかしくなり始めた。

後半、風上に立ち、さらに攻勢に入るジェフ。
「次の1点」を目指し、監督の檄も入り万全だったはずだ。・・・だが流れが悪く、最初の攻勢の後が続かない。磐田は、キーマン太田が体調不良だったらしく、彼を下げてさらに若い大井を投入。河村を右SBのようにした4バック気味の布陣で臨む。システムの変化自体には対応できていたが、やられっぱなしで居られない磐田の運動量が徐々に増え、危ないシーンも出始める。磐田も、相当な檄を飛ばされたか。

磐田は、選手交代で打開を図る。いまいち機能しないカレンに代えて、切り札・中山を早い時間で投入。大きく声を出し、手を叩いて周囲を鼓舞する姿が遠めにもわかる。いまだに流れを変える事においては日本最強のスーパーサブの投入で、一気の同点を狙ってきた。

これに対してジェフは、猛暑にスタミナがやや切れ始めた林に代えて要田。さらに、ハースに代えてガビではなく、工藤と言う選択肢を切る。巻・ハースがいない最前線は、一気にキープが出来なくなり、防戦を余儀なくされる。いや、分かりやすいカウンター狙いか。アウェイで追いつきたい磐田、ホームでカウンターでトドメを刺したいジェフ。これがオシム監督の狙いだったか、交代で色付けがハッキリしていった。

次の1点が、この試合を決める。それはどちらのチームも意識していただろう。
先にチャンスを掴んだのはジェフだった。35分、工藤が相手のパスをカットしてドリブル。十分に引き付けて右の要田にパス。決めなくてはいけないチャンスだったが、これをキーパーに当ててしまう。だが、要田はあきらめない。今度は38分、キレキレの羽生が突っ込んでシュートを放ったこぼれ球に、今度こそ要田が詰めて3-1とする。
大喜びの要田。中島と言い、苦労人のゴールに一際サポーターも盛り上がる!

今度こそ、このまま終わらせる!そう思ったのもつかの間・・・。
直後に、菊池に渾身のミドルを食らって3-2。羽生が退場。さらに終了間際には、成岡の決定的なヘッドを喰らい、ようやっと立さんがキャッチする。冷や冷や。これだけゲームをコントロールしながら、最後はバタバタ。監督が言うように、これがジェフなのか。。。

気持ちを前面に出したジェフは、控え組みが結果を出して勝利。次の試合に向けて、確実な手応えを掴んだ。だが、冒頭に書いた通り半分が終わっただけだ。この日、いつも以上に獅子奮迅の活躍をした羽生を欠き、次の戦いには不安も無くはない。
けれども、ジェフには阿部・巻と言う二人が帰ってくる。磐田に6人が戻るよりも、この2人が帰還する方がチームに対するインパクトは大きい。全ては一週間後の磐田決戦。今度は我らが主将・阿部が、主砲・巻が、この日の控え組の奮闘を確かなものにするべく戦う。

次は0-0からのスタート。
7年前のリベンジは、まだ終わっていない。