鳥取、松田監督、侮り難し。接戦も、米倉のラストプレーで薄氷の勝利 。~第11節・ガイナーレ鳥取戦~

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第11節・鳥取戦は、1-0の勝利
得点者:米倉(CK大介)

鳥取は、思いの外、強かった。
ここまで、規律の取れたチームだったとは。正直驚きだ。
昨年も昇格から間もない岡山や、岐阜に不覚をとった事はあったが、JFLからの昇格初年度で、ここまで規律あるサッカーを90分出来るチームがあるとは驚きだ。J2と言うカテゴリーを改めて考え直さなくてはならないほど、インパクトがあった。

前線からの守備と、奪ってからの速攻、ショートカウンターと言うスタイルは、ジェフサポで言えばオシム監督時代のジェフをイメージすれば、近いものがあるのではないだろうか。

鳥取は、完全に引き過ぎる事も無く、ジェフを警戒し過ぎる事も無く、あくまで自分達のやり方を変えずに、正面から向かってきた。鳥取側のMVPを上げるなら、GKの井上だろう。
前半5分の深井の決定機をはじめ、この日は当たりまくってジェフの前に立ち塞がった。まさに「ぬりかべ」。その守護神の奮闘に報いるべく、各選手が与えられた役割を遂行した。

松田監督、相当に選手からの信頼が厚いのだろう。そして相当な合理性を持つ策士だ。
前半から、吉野、奥山を投入。連戦の最後で運動量が無くなる事を見越して、また押し込まれがちだった前半からの反転攻勢のため、布石を打ち続けた。

後半、鳥取の変化にジェフが対応しきれないうちに、速攻を仕掛ける。
その中でも印象的だったのは、CKの場面。オーロイが戻りきる前に素早いリスタートで梅田のシュートに繋げた場面。なるほどとは思っても、戻りきる前にセットプレーを完遂するのは、なかなかやろうと思って出来るものじゃない。作戦として、各選手、しっかり準備が出来ていたのだろう。

そして最後の一枚、ハメドの投入と、彼を生かそうという周囲の意識。
しっかりゲームに入り、決定的なシュートを放つ。鳥取、勝利の方程式は、もう僅かのところまで出来上がってきていた。

だが、乾坤一擲の鳥取の攻撃は通じなかった。
ここまでのリーグ戦、ジェフ側の陰のMVP的な活躍をしているGK岡本が、しっかりと鳥取の攻撃を防ぎきった。いずれの鳥取のシュートも、シュートコースに立ち塞がって、完全に抑えきった。
ジェフ側もまた、守備からリズムをつくり、監督の指示通りに焦り過ぎ、攻撃に傾注し過ぎて守備を疎かにする事はなかった。

前半からオーロイを起点に、米倉が、深井があと一歩のところまで迫るも、ゴールは割れない。当然、焦りはあっただろうが、ジェフもまた、諦めずに勝機を伺った。これまで以上に、中盤でパスが回るシーンが増え、オーロイをターゲットにしたシンプルな攻撃と、深井や米倉の動き出しをスイッチにした細かい攻撃とを繰り出し、ジェフも今季の中でかなり良いサッカーがやれていた。

それだからこそ、ジェフもまた、最後の最後に力を溜めて、勝負に出る事が出来たのだろう。
最後のCK。オーロイに集中したマークをかいくぐって米倉が決めた一撃。
ジェフがオーロイだけではないと言うことを見せ付ける一撃だった。

接戦の中で、アウェイで勝点3を積み重ねると言うこと。
昇格に向けて、とてつもなく大きな成果だ。まして今日の鳥取のような強いチームに勝てた事は自信になる。去年の轍は踏まない。去年を知る選手たちの声が聞こえた、劇的な勝利だった。