引き出しを開いて磨く 第26節・横浜FC戦

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四連勝中の横浜FCと、関塚監督就任後負けなしのジェフ。
互いに上向きの対戦は、スコアレスドローに終わった。

お互い、やっていたサッカーは近しいものだった。
10番の兵働、寺田がそれぞれ一歩下がった位置で全体をゲームメーク。
両サイドからクロスを上げてゴールを伺う。

序盤はジェフペース。
井出、中村、大岩から、次々にクロスが放り込まれ、横浜ゴールに迫った。
最初の決定的なチャンスは森本。持ち変えて撃ったシュートは南が弾く。
ちょっとこれで、南をノらせてしまった。

ペースを握れるかと思ったものの、横浜もさすが好調、出足が良く、
ジェフのパスを少しずつ網にかけていく。
出所は寺田だと見えていたが、ジェフは、この配給役に効果的なプレッシャーがかけられない。

ジェフがチャンスを逃し続けるうち、横浜が落ち着きを取り戻す。
じりじりしたイヤな展開だった。

後半に入ると、折からのじっとりと纏わり付く暑さと湿気もあって、ジェフは運動量が目に見えて落ちる。
選手交代で流れを変えたかったところだったが、湘南戦では動きが早かったベンチは、この日動かない。
後手を踏んでボールを奪われ、あわやと言うピンチも招いてしまう。 

ベンチが動いたのは、77分。
膝を傷めたようなそぶりを見せた井出に代えて、大塚を投入する。
さらに、85分には兵働に代えて、勇人。

交代と共に、大岩が大きなジェスチャーで、左に回る。
システムは、オシム親子時代以来の3-5-2へと移行した。
 
中央に智、右にキム、左に大岩。
左WBに中村、右WBに谷澤、トップ下に大塚。

さらにロスタイム、山中を大岩に代えて投入。
中村が左のCBに入る超攻撃的な3-5-2へと移行する。

システム変更が、劇的に試合展開を変えたかというと、そうは言い切れない。
慣れないシステムへの戸惑いも、正直見えた。
けれど、この試合を勝ちに行くんだと言う明確なメッセージを選手たちに伝え、
最後の谷澤のクロスバー直撃のシュートを呼び込んだのも、確かだった。

勝てなかったことは痛い。
特に磐田が躓いた今節、勝てていれば大きかった。

けれど、勝ちきりたい時に、攻撃的な3-5-2への移行と言う、
これまでにはない「引き出し」が垣間見れた事は収穫だった。

これまでは、こう言う刺激が無かった。

今は一歩一歩、新しい武器を磨くとき。
これからどんな可能性を見せてくれるか。
前節湘南戦、今節共に、今後を楽しみにさせてくれるゲームだったと言う意味で、
ドロー以上の価値のある、二試合だった。