課題は、先制から追加点までの70分間 第10節 vs徳島 ○2-0

課題は、先制から追加点までの70分間 第10節 vs徳島 ○2-0

前節、横浜FCに0-4の大敗。
前半は思い通りのボール回しも、ゴールに迫ることが出来ず。
後半に1対1で悉く敗れて失点を重ねた。

その試合から一週間、ジェフは エスナイデル監督の下の取り組みが、
正しいものである事を示すために、
ただの一試合以上に、どうしても負けられない ゲームだった。

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(サポ連ブースに書かれたメッセージと、画伯のイラスト)

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スタメンが発表されると、意外なことにメンバーは前節のスタメンと全く変わらなかった。
選手の入れ替えが割合に激しいエスナイデル監督だが、おそらく監督は、前節の前半の出来に手応えを得ていたのだろう。

そして、サブにはアランダが久しぶりにベンチ入り。
スタンドからは、何度も大きなコールが送られ、選手紹介の時には、誰よりも大きな声援がフクアリを包んでいた。ホっとしたサポーターも多かったことだろう。
また、ベンチには怪我が回復した指宿も名を連ねた。

強風で、砂塵が舞い込む中のゲーム。
試合開始からペースを掴んだのはジェフ。
横浜FC戦の前半と同じように、前からのプレスで相手を押し込み、攻撃を仕掛ける。
前へ前へ押し込んでいるので、徳島が裏へボールを狙いを持って蹴りだすシーンもあまりない。

高橋が挨拶代わりにとシュートを見舞い、
ちょっとした驚きだったのは、その後のプレーで近藤がスルスルと攻め上がって、シュートまで持ち込んだシーン。相手は、近藤を捕まえられずにシュートを許している。このプレー。昔、イリアンが得意としていたけれども、相手とするとマークの決まっていない選手が急に現れると、対応が後手になる、意外性のあるプレーだ。この選択肢があると、攻撃に幅はぐっと増える。ぜひ、これから、狙っていって欲しい良いプレーだった。

その後もジェフが押し気味の中、突然アクシデントが起こってゲームが壊れる。
13分過ぎ、徳島の馬渡選手が、サイドに出たボールをボールボーイから受け取ろうとしたとき、思うような意思疎通が出来なかったのか、ボールボーイにボールを投げ返し、小突くように見えるしぐさをしてしまう。

血相を変えて飛び出してくるジェフのスタッフ。
しばらくもめた後、也真人が、スタッフが、審判が、徳島の選手が、ボールボーイを励ますような様子を見せた後、馬渡選手には一発でレッドカードの判定。正直、Jをずっと見てきたけれども、初めての出来事だったので、何が何だか分からなかったが、スタンドからは大きなブーイングがなされ、ちょっと騒然とした空気となる。

徳島は前半早々に10人となってしまい、そのフォローの為に選手交代で修正を図る。
ジェフは、ここぞとばかりに攻勢を強め、相手が負傷もあって9人になった隙を衝いて、清武→高橋のラインでスルーパスが通って、高橋がこれを振り抜いて先制。
幸先良く欲しかった先制点を奪う。
しかも相手は10人、一気呵成にトドメを刺しに行くべきだった。

ただ、ここからジェフは大きく攻めあぐねてしまう。
劣勢となって、ラインを下げた徳島に対して、ジェフはシュートを打ち切ることが出来ない。
記録上は18本のシュートがあるが、殺意が篭ったようなシュートはほとんどなかった。

まるで、完全に崩さないとシュートを撃ってはいけないルールがあるかのように、相手を崩しかけても、より確実な選択肢を求めるようなプレーで悉く自滅。いかんせん、クロスにしろ、パスにしろ、突破のドリブルにしろ、得点の一歩手前のプレーの精度が低い。

徳島も守るのが仕事な訳だからそれは必死に守るけれども、
相手が良く守ると言うよりも、ジェフの精度、アイデア、決断力が足りなくて、相手に引っ掛けてしまっていると言った感じだ。時間ばかりが過ぎていって、前半が1-0のまま終了したとき、「これはまずい」と言う空気が自分の中にはあった。

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後半、なかなか選手達が出てこない。
審判が呼びに言って、ようやく出てきたところを見ると、同じようにペースを握りながら得点を奪えずに大敗を喫した、前節と同じ轍を踏まないように、監督が相当に檄を飛ばしたのではないだろうか。

そして、懸念通りの試合展開がその後も続いてしまう。
退場を知らずに試合を観ていた人が居たなら、きっと徳島が1人足りないとは思わないだろう。
徳島は劣勢の中でも守備組織を整備して、カウンターに活路を見出すアウェイの戦い方に専心していた。

特にヴァシリエビッチが厄介で、彼との勝負になると、なかなか打開できない。
やや演技がかったファウルの貰い方もさすがと言った感じで、ジェフはずるずると時間を使われてしまう。

ラリベイが中央でボールを受けて、反転からシュートを放ったシーンなどは、ようやく待望の流れの中からのゴールが彼に生まれるかとも期待したものの、キーパーの正面へ。
そのラリベイが75分に指宿に交代。また、その10分前には清武が怪我で羽生に交代していた。

試合も終盤に差し掛かると、段々に佐藤優が目立ってくる。
ジェフの運動量が落ちるところを狙っていた徳島の選手達が、虎視眈々と「ワンプレー」を狙っている。
焦らなくてもいいのに、びっくりドッキリの飛び出しをせずにはいられない佐藤優と、その後ろの広大なスペースは格好の狙いどころだ。正直、残り15分は、どんなレアプレーで点が入ってしまうのか、冷や冷やものだった。

けれども、なんとかかんとか乗り切るジェフ。
11対11であれば、違う結果であったかも知れないが、同点は許さずに時間が過ぎる。

75分に入った指宿は、前線でドスドスと動いて、相手にプレッシャーをかけていたが、
也真人のクロスをヘディングでジャストミートした場面のように、自分の良さを短い時間の中で出していた。そして、ロスタイム。ジェフはもう時間稼ぎモードに入っていたが、左サイド深くでボールを
けた指宿がドリブルで突破を図る。

ドスドスドスと、ゆっくり確実に、ぬるっと攻めあがってくる指宿を、徳島のディフェンスは疲れているのか、捕まえきれない。あれよあれよとゴール前まで持ち込むと、最後のディフェンスを小気味の良いフェイントでタイミングをずらすと、キーパーを抜いて決めてしまった。

大きな身体と、ゆっくりしたドリブルからはなんとも想像しがたい最後のタッチだったが、ラストプレーでダメを押して、勝利を決定付けた。移籍後、初ゴールを、ホームのゴール裏に向かって決めたのは、これ以上無い名刺代わりになっただろう。

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試合後は、選手も一緒になったオブラディと、
イッセイの「俺たちジェフ」で試合を締めくくった。
前節の大敗のショックは、この声と共に拭えただろう。

ただ、ゲーム全体を見たときに課題は多かったと言わざるを得ない。
試合後に近藤が、「今日は当たり前のように4-0、5-0で勝たなければいけない試合。」と言い、
北爪も、「ミスが多い試合だったと思います。」と語ったように、先制してから、ロスタイムの追加点までの長い、長い時間は、同じ課題が残ってしまった。

前節よりは、「決定機を作る以前の問題」から「決定力の問題」と言えるようになったかも知れないが、この試合でもミスの多さや、判断の勿体無さが目に付いた。
横浜FCから学ぶものがあったとすれば、「勝負する」「シュートを撃つ」その責任感があるかどうかだろう。より良い選択肢を探すことが悪いとはいえないが、自分がシュートを撃つと言うオーラが少しでもあったのは、先制点の高橋と、清武、そして交代出場した指宿くらいではなかったか?

守備に課題の多いと言われるこの戦術で、完封試合はこれで4試合目。
40%の確率で、そして勝ち試合は全てゼロに抑えて勝っている。

問題は攻撃だ。
数的有利が無ければ、果たして今日のゲームで得点出来ていただろうか。
もう一段の勇気を、日々の練習で精度を、それぞれ高めて、これからの連戦、乗り切って欲しい。

最後に、高橋壱晟は本当に素晴らしい選手だ。
俺たちジェフ。
俺たちの高橋壱晟だ。