結びつつある成果と、残された試合と。 第40節 vs町田 ○2-1

結びつつある成果と、残された試合と。 第40節 vs町田 ○2-1
久しぶりのレポ。
長ったらしいので、お時間のある方だけどうぞ。

少し前までは、11月をこんなにワクワクと迎えられるとは思っていなかった。
8月の湘南戦で素晴らしい内容のゲームを見せ、そして勝てなかった後、
チームは、飛躍の予感とは反対に、悩み、停滞してしまうことになった。

振り返ると、周りのサポ仲間数人が、湘南戦直後から言っていたように、
いくら良い内容を見せながらも「勝てなかった」のは、
あの試合で掴むべき「流れ」を掴み損ねていたのだと思う。

攻め込みながらも得点を奪えない試合、
有り得ないミスで落とした試合、
「流れ」を変えようとした選手起用が裏目に出た試合。
苦しい試合が何試合も続いてしまった。

けれど、その間も選手は黙々と練習に打ち込んでいたし、
監督は信念を変えずに、チーム作りに取り組んでいた。
結果が出なければ、その責任を負うのは現場を預かる監督になる。
それは、我々ファンよりも、世界のクラブを選手として指導者として
渡り歩いて来た監督自身が重々承知している。

目先の結果のために、やり方を変えるという方法もあっただろう。
しかし、エスナイデル監督は、自分の頭の中にある理想のチームを信じて、
そうはしなかった。

その揺るぎない姿勢こそが、降格以降、信念なく、チームの方向性を右往左往させて来た、
ジェフというクラブにとって、必要な事であったと思う。
「俺はこう言うチームを作りたいんだ」
「責任は俺が取るから、ついてこい」
そういう、メンタルな支えがあってこそ、選手は迷いなく取り組める。

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11/3(金)のユナパ、久しぶりに練習を見ることが出来た。
選手達は明るさの中に、緊張感をもって取り組んでいた。
しばらくすると、トップチームと、リザーブチームに分かれ、
デコイ4体を一列に並べて、相手DFラインの裏をつく練習になった。

いったん、FWに当て、サイドに展開し、クロスを中央に送る。
あるいは、ドリブルで切り込んでシュートを放つ。
サイドチェンジから、オーバーラップの形をつくる。
いずれも、ここのところの試合で見られた「形」だった。

そして、春先には決まらなかったシュートが、どんどん決まっている。
取り組みはじめの頃も、不調の頃も、自分が練習を見ていない日も毎日、
こうして選手達は繰り返し、繰り返し、練習していたのだろう。
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結局、不調になったからと言って、特効薬は無い。
こうして、練習するしかない。
すぐには結果は出なくても、こなした練習は裏切らない。

そうして、結果が伴いつつあることが嬉しかったし、
また、リザーブチームの練習を見て、試合に出られている選手、
そうで無い選手の理由も感じる事が出来た。

単純にシュートが決まっていないし、緊張感の不足を感じる。
筋肉をキュッと絞めて、インパクトの瞬間に鋭く振り抜いているか、
追いつくか、つかないかのボールに最後まで詰めているか。
一挙手一投足を比べてみると、監督の起用にも納得がゆくと思う。
さて、前置きが長くなってしまったけれども、
4連勝で迎えた町田戦。

アウェイで上位を争う、福岡と大分を破ってのフクアリヘの帰還は、望外の結果だった。
内容的には、僅差の勝利。お互いに、勝たなければならない戦いなのだから、
簡単に行くわけもない。それでも、ジェフは勝利し、可能性を残して戻ってきた。

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矢田と勇人のドイスボランチに、ラリベイと船山の2トップ。

為田の左からの突破は、試合を重ねる毎に威力を増し、
也真人も、清武も、先発の座が安泰とは言えなくなって来た。
勝利が、自信を生み、チームは好循環を掴みつつある。

他力本願の状況に変わりは無いが、勝たなければ、先は無い。
シンプルな状況で、むしろ戦いやすい。

対する町田は、ここ10試合ほど振り返ると、あまり勝ててはいないけれども、引き分けが多い。
その中に、徳島、横浜FC、長崎、岡山が含まれているのを鑑みれば、
決して、不調と言うわけでは無さそうだった。

むしろ、戸島と眞紀人が揃って得点したゲームがあったり、調子を上げつつあるようにも映る。
(※吉田眞紀人は、この試合には契約で出られない。)
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快晴のフクアリ。
ここ何週間かの、週末の雨は何だったのかと思うようないい天気で。
ナビスコの決勝戦もそう言えば、夏のような暑さだったなぁと思い出す。

応援の方は特別な演出は無し。
この試合に勝たなければ意味は無いけれども、この試合に勝つ事だけが目的じゃない。
普段通り、そう言うことだろう。
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町田側は、短期間でずいぶんサポーターが増えたようだ。
アウェイの一階席を埋めるほど、応援フラッグがはためいていた。

佐藤優也の300試合、大久保の200試合出場のセレモニーの後、円陣が散ってキックオフ。

序盤、一進一退の展開。
町田は、もっと縦に速いの
かと思ったら、予想以上に繋ぐサッカーをしてきていた。
対するジェフは、両翼を広く使い、サイドチェンジを織り交ぜながら、
まずはクロスで町田の守備陣を崩そうと仕掛ける。
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ここのところ、サイドアタックの連携が高まって、「二枚刃」で攻撃できている。
左は為田と乾、右は也真人と溝渕。
特に、右の溝渕の外連味の無いオーバーラップが爽快。御大時代を思い出す。
以前は、それで守備の穴を作ることもあったけれども、連携が高まって、
しっかりと攻め切ることが出来るようになった。

溝渕自身がクロスを上げるも良し。
囮になって、中央にスペースが生まれるも良し。
別の選手が攻め上がっても良し。
バリエーションが格段に増えた。

加えて、前線の選手のチェイシングがしっかり機能している。
特にラリベイ。キックオフから、絶え間無く、相手のディフェンスとキーパーにプレスをかけ続ける。
こう言う実績ある選手が、献身的にプレーしているのはそれだけで価値がある。
ボールを奪えなくても、相手は相当にプレッシャーを受けて、クリアボールがサイドを割ったりしていたし、
奪ってしまえば、がっつりとキープして、シンプルに捌く。

そうした攻撃陣の好調さが早くも実を結ぶ。
10分、右サイドに展開して、抜け出した也真人がクロス。
ラリベイには合わなかったものの、流れたボールを好調の為田がダイレクトで振り抜くと、
一直線にボールは対角線上のゴールの角に吸い込まれた。
町田の出鼻を挫く一発で、主導権を握る。

さらに、21分。相手のバックパスのミスを衝いて、船山が2点目を流し込む。
相手のミス、船山のゴールではあるけれど、このゴールはラリベイをはじめ、
前線の選手達がしっかりとプレスをかけ続け、相手にストレスを与えて、
隙を呼び込んだゴールであったと思う。

ホームで、早々に2点を奪う展開。
願ってもないが、町田が戦意を失っているようには思えなかった。
思った以上によく繋ぐ。こちらのプレスよりも早くボールを回す。
そして、前線の戸島にまでボールが届く。

どちらかというと足技がメインで、恵まれた体格を活かせていなかった戸島が、
このゲームではどっこい、ヘディングでも狙って来る。

町田の選手達の動きは、キレがあって、
逆に2点を奪った安心感がジェフの選手の頭にはあったか、
徐々に徐々に、町田がペースを握っていく。

風向きが変わりつつあった30分過ぎ、突然のアクシデントが起こる。
左の乾が、ライン際の何も無いところで崩れるように倒れた。
一見して、ただ事で無いことが分かる。
駆け寄ったスタッフから即座に「×」印が出され、担架で運び出されてしまう。

試合後、状況を調べていると、どうやら倒れる少し前に相手と正面衝突した時にダメージを負ったらしい。
軽傷ではなさそうな気配が漂う。それまで、頑丈だと思っていた乾が苦悶する様子に、スタンドからも
大きな「乾コール」が起こる。

状況を見て、エスナイデル監督は、乾に代えて岡野を投入。
ボムヨンを左サイドバッグに配置転換、
システムも4-3-3へシフトし、事態の鎮静化を図る。

町田からすれば、このアクシデントは好機。
当然、替わりたての守備陣の穴を衝いて来る。
落ち着きを取り戻せないうちに、ボムヨンがボールを処理しきれないシーン、
岡野の入ったディフェンスラインにギャップが出来て、相手を網にかけられないシーンが頻出する。

2ー0のままハーフタイムを迎えることは出来たものの、
これは、このまま終わるゲームだとはとても思えなかった。
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後半に入り、より展開はオープンなものになり、そしてさらに町田が攻勢を強める。
ホーム側のゴール裏に向かって攻める形になるのに、なかなかこちらにボールが来ない。

町田の攻撃を凌ぎつつ、こちらもカウンターを狙うものの、
押し込まれ、カウンターの始発点が低くなって、思うようにチャンスがつくれない。
やはり、前半の乾の負傷が痛い。
考えずに出来ていた事が、一拍思案しながら、プレーするようになってしまっている。

すると、62分。悔しい恩返し弾を決められてしまう。
戸島が中盤で競り合い、そこからの展開で攻め込まれ、
ペナルティエリア内で持たれたボールを右に回されて、そこに戸島が滑り込む。

難易度の高いシュートが、ニアを衝いて豪快に突き刺さる。
町田が、辛抱して戸島を使い続けて来たその成長を、見せつけられるゴールだった。

追い上げられ、ジェフも勝つために手を打つ。
矢田に代えて、アンドリューを送り込み、中盤でフィジカル的に上回ろうとする。
システムも4-3-3から再び、4-4-2へ。
ドイスボランチでガツガツと当たって、町田の勢いを止めようとする。
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が、流れは、ややイーブンに傾いたくらいで、まだ町田の攻勢は止まらない。
散発的ながら、ジェフも反撃をしかけ、
為田が強引なドリブルからカットインしてシュートを放つものの、大きく枠を外す。

追加点の最大のチャンスは、清武投入後、
その清武が放ったシュートを弾かれ、そこに、船山、為田が連続で詰めたシーン。
ここは、相手キーパー高原の意地が上回った。

5分のロスタイムが長い。
こちらのチャンスになりかけたシーンもあったものの、とにかくキープで勝ち点3を守りにいく。
止めを刺したい様子のラリベイがボールを要求するも、時間をとにかく使っていく。

終了間際、あわやというシーンも作られた。
が、町田の放ったシュートは、寸でのところでゴールマウスを外れ、
苦しいゲームをモノにして、勝ち点3をもぎとった。
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5連勝。またもや皮一枚繋がった。
松本が引き分け、ヴェルディが敗れ、プレーオフ圏内まで勝ち点2差に迫った。
とは言え、残り試合はわずかに2節。彼らが勝てば、こちらはどうしようもない。
とにもかくにも、勝ち続けなければ行かない状況は変わらない。

しかし、可能性が繋がった、その事に大きな意味がある。
消化試合などにはせず、目標を持って次に臨めるのだから。

次は、名古屋戦。
乾は恐らく間に合わない。矢田もレンタル元が相手で出場できない。
きっと、苦しいゲームになるだろう。
それを跳ね返して、また可能性を拡げて、フクアリに戻って来てほしい。
最終戦、ホームで、最後までワクワクするために。

結果は、後から考えればいい。
今期のジェフは、疑念の声もあれば、批難もあった。それはそうだろう。
決して順風では無かったし、今も首の皮一枚だ。
けど、足掻きながら、積み重ね、成長してきたチームを、一分一秒でも長く観たい。
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名古屋で、勝ってフクアリに戻るために、
乾の分まで戦う選手達の為に、声を枯らして来ようと思う。

今年も、残りわずか。
あと4試合。
今年、このメンバーのジェフが観たい。