大敗と言えど一敗。攻撃的姿勢を貫け。 第16節 vsV・ファーレン長崎 ●1-4

大敗と言えど一敗。攻撃的姿勢を貫け。 第16節 vsV・ファーレン長崎 ●1-4

2019/06/02(日)16:00
フクダ電子アリーナ
J2第16節
千葉 1(0-1,1-3)4 長崎

<得点>
14分 長崎 33呉屋
71分 長崎 16吉岡
75分 長崎 13亀川
85分 長崎 16吉岡
90+4分 千葉 10船山(PK) 

ジェフ公式 試合結果

結果的には、大敗を喫したけれども、
前半から積極的な攻守を見せた姿勢を強く評価したい試合だった。

岐阜戦、東京V戦、そして長崎戦と、
チーム作りは攻撃の構築へとフォーカスされつつある。
その過程では、今日のように結果が伴わない試合もあるだろう。
けれど、顔を上げて、次の試合を見据えて欲しいと思う。


スタメンは3試合変わらず。
岐阜戦以降、メンバーが固定されるようになって来た。
江尻監督も手応えを得つつあるのだろう。


ジェフは、キックオフと共に激しい攻勢を仕掛けた。
最初からフルスロットルだ。
DFラインをエスナイデル監督時代さながらに高く保ち、前から前から、ラッシュを仕掛ける。

開始早々、船山→為田と繋ぎ、旭がファーストシュートを放つと、
その直後には堀米がドリブルで一直線にペナルティエリアに切れ込み、自らシュート。
キーパー富澤に惜しくも弾かれるも、次々にシュートを放ち、コーナーキック、フリーキックを得て、長崎を押し込んでいく。

前線の船山と為田、堀米と茶島の関係が良く、そこにアンドリューと旭がアクセントを加えていく。アンドリューは、長いパスでサイドのスペースを見出すだけでなく、時折、前線に顔を出して攻撃に厚みを加え、旭もボールを持つと前へ前へと展開していく。

手数は多い。
シュートで終われてもいる。
流れは完全にジェフのものだった。

が、その攻勢にも関わらず、14分。
長崎は、この日一本目のCKをドンピシャで合わせ、呉屋がコースを変えて流し込み、最初のチャンスで先制してみせる。この決定力の差が、そのまま試合の結果になった。

その後もジェフは、攻勢に次ぐ攻勢。
15分の船山のFK、その後の波状攻撃も厚みを持って仕掛け、19分、20分にも船山のCK。
20分、アンドリュー→船山→為田のクロス。

悪くない。
悪くはないんだけれども、このあたりで気になって来たのが、この攻勢の中心にクレーベがあまり絡んでいないこと。大勝した岐阜戦は、クレーベに縦パスが入り、そこで時間を作って、周りの選手が活きる。あるいは、周りの選手が作ったチャンスが、クレーベのフィニッシュに繋がる、それが出来ていたのに、今日はそれが無い。

そのクレーベをケアしていたのは、徳永選手。
これが効いていたように思う。

攻勢は続くものの、長崎の粘り強い守備を崩せずに苦戦。
思えば、長崎ペースにズルズルと引き込まれていた。
圧倒的に攻められていても、長崎が攻撃に転じると、とにかく縦に速い。
シンプルで、力強い。

その切り替えの早いカウンターを浴び、29分には乾がDFラインの裏に抜け出して来た相手選手を倒してしまう。PK。練習試合を見ていると、よく見かけるシーン。なので、江尻監督もこのリスクは覚悟していたと思う。
絶体絶命だったものの、ゴール裏からの「ユウヤ!ユウヤ!ユウヤ!」のコールに気圧されたか、このPKはキッカーの玉田が上にふかして、事無きを得る。
まだ運はジェフにあった。

1点を奪い返そうと、前半が終わるまで攻勢は続き、
手元の集計でシュート11本、コーナーキック6本。
数字だけみても、シュートで終わる攻撃は出来ていた。
が、長崎は崩れない。
がっちりと守って、カウンターの槍を構える。
0-1のまま前半終了。

勝負の後半も、ジェフのラッシュから始まった。

開始早々、旭→船山と繋ぎ、フィニッシュは茶島。
そこから、CKを3本立て続けに見舞い、3本目の船山のCKは増嶋のヘディングシュートに繋がるも、すんでのところでクリアされてしまい、得点ならず。

前後半合わせて、14本ものCKがあり、
FKも合わせたら20本以上、ゴールに近い位置でのセットプレーがあったものの、ついにゴールには結びつかなかった。船山、堀米、これまで結果を出しているキッカーが居て、合わせる側にもクレーベや増嶋、新井が居る。それでも無得点。
正直、このセットプレーの守りは、長崎を褒めざるを得ない。

試合の流れが、決定的に変わってしまったのは58分。
堀米をアランに交代してから。

それまで、堀米は攻撃の中核として、流動的な攻撃を牽引していた。
前述したように、茶島との関係もスムーズで、セットプレーでも鋭いボールを供給していた。疲れが酷かったようにも見えななかった。スタンドからは分からない理由があったのかも知れないが。。。

この交代で、潤滑油が切れたかのように、ジェフは逆に長崎の攻勢を浴びるようになる。
62分に長崎のFK、63分にはカウンターからDFの裏を完全に突かれてしまい、ドフリーでシュートを撃たれるも、シュートミスに助けられる。

その間、船山がもどかしそうにアランに、「こう動いてくれ!」と言う感じで身振り手振り指示を出すも、状況は改善せず。

すると71分。
またもDFラインの裏にボールを出され、優也が何とかクリアしようと飛び出すも、間に合わず。吉岡選手にボールを流し込まれてしまい、決定的な2失点目を喫してしまう。狙って吉岡選手をジェフ戦に起用したという、手倉森監督。してやったりの展開になった。

その直後、旭から、真希に交代。
しかし、2点差。果たして、この時点で投入されるべきは真希だったのだろうか。
寿人の投入は、80分まで待たねばならなかった。
その時には、またもカウンターから、3失点目を喫した後だった。

その後、85分にもカウンターで失点。スコアは0-4に。
3失点目はアランがボールを奪われて棒立ちの後を、
4失点目もカウンターに必死に最後まで必死に喰らいついていたのは、船山だった。
彼は最後まで戦っていた。
一方、スタンドからは続々と席を立つサポーターの姿が目立った。

86分、クレーベから、右にポジションを移した真希に展開。右からのクロスに寿人がヒールで合わせるも、ポスト直撃。どうしてもゴールが割れない。


ロスタイム、船山が意地のPKを沈めるも、焼け石に水。
自ら流れを手放し、手倉森監督の術中に引き寄せられ、
序盤の試合展開からは想像のつかない、悔しい大敗となってしまった。


今日の勝負の分かれ目は、明らかに堀米→アランの交代であったと思う。
もちろん、この試合に向けてスカウティングし、前半から、後半途中までの連動性ある攻撃が出来るようにチューニングしたもの江尻監督なら、その流れを断ち切ってしまったのも江尻監督なので、交代策がはまらなかったのは残念でならなかった。

あの交代は、江尻監督がよく会見で口にする「攻撃の矢印」の向きを、狂わせてしまった采配だったと思う。

前節・東京V戦も、攻めながら追加点が奪えず、
その膠着を破る為にアランを投入したものの、流れは変わっていない。
彼だと「素早さ」がない。
それ以前の試合でも同様で、サポーターとしては、そこにストレスを感じている。


単純に言えば、「得点が必要なら、寿人を出すべきだろう」ということ。
伝家の宝刀も鞘から抜かねば、相手は斬れない。
残り、5分や10分では結果を残すのは難しい。
活かして欲しいと願うのは、自分だけではないだろう。

さて、改めてこの3試合。
岐阜戦、東京V戦、長崎戦。

それまでの大宮戦、甲府戦、山形戦と比較すると、別のチームのように攻撃面での変化が見える。メンバーも固定され、熟成も進んでいる。試合ごとに、前の試合では見られなかった攻撃のバリエーションが見られるようになっている。

今日の試合では、アンドリューや、旭の前線への絡み。
堀米の中央へのドリブル、新井や、乾がペナルティエリアまで侵攻して、クロスを上げるシーンなど、厚みのある攻撃が見られた。その手数も増えているし、それが出来る試合中での時間も長くなっている。

ラインを高くしているから、今日の失点のようなリスクもある。
それはエスナイデル監督の時代に嫌と言うほど分かっている。

理想的な展開は、ラッシュをかけて、前半の内に出来るだけリードを奪い、その後はラインを下げて相手のカウンターを防ぎつつ、逆にカウンターで追加点を狙う、、、そんな流れだったのではないだろうか。

試合の流れの中で、守備的な戦い方と、攻撃的な戦い方を使い分ける。
その為に、今は、殊更に攻撃を意識して、得点を奪いに行っている。
チーム作りの過程としては、とても納得のいくものだと思う。

結果が伴いつつ、それが出来れば一番良いけれども、そんな簡単なものではないのは、誰しもが分かるはず。大敗したとは言え、選手達には自信を持って、戦って欲しいと思う。前半の攻勢のままに、得点が奪えていれば、試合展開は全く違ったものになっていた。

ジェフが目指すべきは、自ら試合の主導権を握りに行く、攻撃的な戦い方。
この試合も、そこに辿り着く過程の一試合だ。