スタメン変更、機能せず 第20節 vs町田ゼルビア ●1-2

スタメン変更、機能せず 第20節 vs町田ゼルビア ●1-2

2019/06/29(土)18:00
フクダ電子アリーナ
J2第20節
千葉 1(0-1,1-1)2 町田

<得点>
14分 町田 23酒井
70分 千葉 10船山
87分 町田 24ロメロフランク

ジェフ公式 試合結果
町田公式 試合結果

連敗。
勝ち点、得失点差で並ぶ町田に、ホームで敗戦。
順位は暫定で17位まで後退。
非常に痛い敗戦になってしまった。

前節。
柏との千葉ダービーで、完膚なきまでに叩きのめされたジェフ。
この試合に向けて、何か変化が必要な事は確かだった。


江尻監督は、スタメンに大きく手を加えた。
両翼を変更。右にゲリア、左には初出場となる安田。
ボランチには矢田に代わって勇人が入り、シャドーには寿人。
佐藤兄弟のそろい踏みとなった。


が、懐かしさや感傷、期待感で勝てるほど甘くはない。
問題は、このスタメンで、どんなプレーをピッチで見せるかだったが、
キックオフと共に、攻勢を仕掛けたのは町田だった。

相馬監督の町田と戦うのは、もう何試合目になるのだろう。
見慣れた、縦に速い、シンプルなサッカー。
しかし、それを止める事が出来ずに、まともに受け止めて、押し込まれてしまう。
開始数分で、劣勢が明々白々。

これはダメだ!
ただメンバーが置き換わっただけだ。
各々の持ち味が、全く活きていない。

矢田に代わって入った勇人はまだしも。
両翼の安田とゲリアは、前にボールを運ぶ事が出来ず、ゲリアはプレスの狙いどころにされている。
寿人には、そもそもボールが回って来ない。
町田のプレスに押し込まれ、ズルズルと戻すばかり。

そして、町田が一段ギアを入れると、あっさりと先制点を献上してしまった。
14分、バックスタンド側からのコーナーキック。
これをファーで、乾のマークをかわした酒井選手がフリーで流し込む。
こう言うミスが、乾は多過ぎる。
リスクを承知の上での起用とは分かっていても。。。

先制してますます勢い付く町田。
ジェフは苦し紛れのプレーばかりが増えていく。
20分過ぎには、増嶋が鳥海を呼びとめ、ボールを戻すなと激しく怒りをぶつける。

ジェフは、折角、CKを奪っても、安田がショートコーナーから上げる事が出来ず、逆にカウンターを喰らってしまったりチグハグなプレーが続く。

反対に、町田の攻勢は、狙いが明確。
カウンターを主体に、時には強烈なミドルやロングを打ち込み、シュートで完結するサッカーが出来ている。終了間際まで立て続けにシュートを浴び、劣勢を跳ね返す事が出来ないまま。
前半は正直、何とか1失点で耐えたという状況でハーフタイムを迎える。


後半に入っても、苦しい状況は変わらない。
状況を苦しくしているのは、ジェフ自身のプレーにもある。
同サイドでばかりボールを回してしまって、なかなか逆サイドへボールが展開される事がない。
町田の密集陣形にわざわざ嵌ってしまい、ボールを失っては、カウンターを喰らい、その対応に追われ体力を失っていっていた。

チャンスはわずか。
57分には、ゲリアから、オーバーラップしてきた鳥海につなぎ、シュートもクロスバー。
スタンドからは大きなため息。

そして、67分、何も出来ないままに寿人がアランに交代する。
非常に悔しい。
こんな起用方法では、見殺しにしてしまったようなものだ。

だが、交代で入ったアランは、重馬場に適応したパワフルなプレーぶりで、一時的に状況を好転させた。彼のプレスで町田からボールが奪えるようになり、アランの縦への推進力に、クレーベ、船山、ゲリアが絡んでチャンスが作り出されていく。

すると70分。
右のゲリアからのクロスに、アラン、そして船山が飛び込み、船山が流し込んで同点ゴールを奪う。劣勢ながらにも、ワンチャンスを掴んで同点に追いつく。

ここはホーム・フクアリ。
それを考えれば、このまま一気の逆転を狙いたかったが、、、時間は70分。
既に足は止まり始めていた。
攻撃に移っても、前に人数が揃わない。
前と後ろが連動せず、ボランチの前後左右に大きなスペースが開く。

ガス欠は明らかだったが、この日も交代は遅く、82分にようやく為田を投入。
誰を交代するか難しい状況ではあったが、堀米や矢田、小島がベンチに居ながら、枠を使い切る事が出来なかった。

動かない足と、前に出て決勝点を奪おうと逸る気持ち。
間延びした、前後のラインの間に、ぽっかりとスペースが空く。
そこに、町田の24番ロメロフランクが進入。
中央から、綺麗な放物線を描くループを、87分に流し込まれ、万事休す。

時間は残っていても、相手を上回るスタミナは無い。
気持ちに、身体がついてゆかず。
パワープレーにも迫力が無い。
そのまま、逃げ切られてしまった。


一言で言うなら、力負け。

柏戦の惨敗を反発力に、気迫と中身の両方あるプレーを期待したのだったが。
逆に、町田には、基礎の基礎の部分で、またも勝敗に関わる差を見せ付けられてしまった。
問題は、根深い。

スタメン変更は機能しなかった。

縦に速い町田に対して、
江尻監督は、攻撃を食い止め「裏を衝く」事を狙いとしていたようだったが、現実には、その狙いが形になったシーンはほとんど作れなかった。

町田は、オーソドックスな4-4-2。
守備時には退いて、ブロックを作って守る。
そして、プレーエリアを狭く、窮屈にし、自由を奪ってから、ボールホルダーにプレスを仕掛け、ミスを誘い、ボールを奪っては、深い位置からでもロングカウンターを仕掛けてくる。
そもそも、ジェフのハイラインのような「裏」はあまり無い。


そこに、ただ寿人を堀米の位置=シャドーで起用して、「裏を狙え」と指示したところで、「誰が」「どのようにして」ボールをそこまで運んでくるのかが見えなかった。
安田、ゲリアの両翼は相手のプレスに晒されて、特に前半はまともなクロスを上げる事は出来ず、縦パスは狙われ、クレーベ、船山も含め、ほとんど開店休業状態。

結局。
寿人は、ゴールを奪う駆け引きに専念できず、守備や、組み立てに参加する為に後ろに戻るシーンが多くなってしまった。これでは相手は怖くない。

堀米、為田、茶島。
自分で仕掛けられる選手が外れ、町田はやりやすかったろう。
岐阜戦でヒントを得つつあった連動した攻撃が、再び迷走状態になってしまった。


今日、自分は南側のSA席で観戦していたのだけれども。
この一戦に賭ける準備と、気持ちは町田の方が上回っていたのではないだろうか。
雨天の中、フクアリに集った町田サポは、思いの外多く。
これまで町田からは感じた事がない「圧」を感じた。

去年の好成績からすれば厳しい成績であるにも関わらず、より力強くチームをサポートしようとする覚悟と気迫にスタンドからあふれていた。
そして、それが選手のプレーにも表れていた。

対するジェフは、まだ、先週の惨敗を引きずってしまっているようだった。
チームも、選手も、サポーターも。
それだけショックの大きい敗戦であったことは確かだ。

ヤックスマッチデーがあったにも関わらず、動員は8,000人台。
空席の目立つフクアリは、寂しい。
相手を圧倒するような「圧」は、発せられていなかった。

そう言う状況の中で、選手達が、必死にやろうとしているのは伝わって来た。
アウェイじゃない、今日はホーム・フクアリだ。
後半、町田の波状攻撃を浴びながらも、鈴木が、増嶋が、身体を張り、必死のプレーで逆転を信じて戦っていた。

ただ、チームとしての力が、大きな一本の矢印には集約出来ておらず、バラバラなのが、もどかしい。
守備も、攻撃も、個々の粘り、踏ん張りばかり。
そこが途切れると、あっさりと決壊する。

もっと機能的に、もっとシステマティックに。
戦術的に、詰め将棋のように、生き物のごとく。
チームが、チームとして、戦っている姿がみたい。

表現に乏しい試合が二試合続き、江尻監督もきっと悩み、頭をめぐらせているだろう。
大きく変わったメンバーにも、何かを変えて、状況を打開したい苦悩が透けて見える。
が、迷いすぎ、変え過ぎ、なんじゃないだろうか。

もし、そうだとしたら。
岐阜戦のように、上手くいった時のメンバーをベースに、メンバーを固定しつつ、対戦相手に応じて細部を調律して、熟成を図る事も必要なんじゃないだろうか。

順位が順位、勝ち点が勝ち点だから、焦る気持ちも理解する。
ただ、チームを作るのには時間がかかる。
維持するところは、維持して欲しい。

そして、むしろ。
大胆な起用を見せるべきは、試合中の交代選手。
天皇杯ではなく、リーグ戦でこそ、思い切った采配にも期待したい。

ここから連戦。
状況は苦しくとも戦うしかない。
頑張れ、江尻監督。選手達。