「現在地」を確かめる一戦 第25回ちばぎんカップ プレビュー

「現在地」を確かめる一戦 第25回ちばぎんカップ プレビュー

尹晶煥体制始動から一か月。
練習試合のメンバーも公表しない情報管理をしていた新チームが、とうとうサポーターの前に姿を現す。

25回目を迎える「ちばぎんカップ」。
このゲームのポイントを挙げてみる。

まず、昨年までのサッカーから、目指す方向性は大きく変更。
いや、優先順位が整理されたと言うべきか。

守備のルールが徹底され、攻撃ではカウンターサッカーがトレーニングされているようだ。
実際、キャンプ前の練習でも、それを意識したような内容がみられた。

システムについては、おそらく前年踏襲の4-4-2、もしくは4-5-1が採用されるのではないだろうか。
その前提で昨年のメンバーをベースに組んでみると、このような布陣になる。

最大の見どころになるのは、昨年まで課題だった守備。
個人頼みから、組織的な守備にどの程度整備がされているか。
そして、そこからの攻撃への切り替えと言うことになる。

過去の尹晶煥監督のサッカーを、まじまじと見たことが無いので推測するしかないが、歴代のジェフで例えるのならば2001年のベルデニック監督のサッカーに近いものになるのでは?とイメージしている。
あの時は、強烈なプレスでボールを奪って、高い位置からのカウンターサッカーだった。

昨年のJ2を制した柏。
そして、アウェイ、ホームとも完膚なきまでに力の差を見せつけられて叩きのめされた柏だけに、
『どれだけできるか』は、2019年と2020年のジェフ、格好の比較になるだろう。

次に、ポジション別に5つ、注目点を挙げてみる。

まず、キーパー。
実力者が並ぶが、新井が存在感を見せている。
練習見学時に「耳」についたのは、その「声」。

ジェフは試合中に選手の声が良く出ていると感じる事はほぼ無い。
が、キャンプ前の練習では、その「声」が響いていた。
その中心にいたのが、寿人と、新加入の新井章太選手だった。

既に、SNSを通じても存在感を見せている新井章選手。
出場するなら、フクアリのスタンドから、そのコーチングがどう聞こえるのか、そしてその「声」がチームをどれほど引き締めるのか注目したい。

次にディフェンスライン。
中でも大分帰りの岡野が、ポジションを掴めるのか、そしてどれだけ「変わったのか」注目したい。

大分にレンタルされる直前は、試合に起用されてもピッチの中で迷いが見え、
大きなミスも絡んですっかり自信を無くしてしまっているかのようだった。

大分で揉まれ、ジェフに戻り、背番号3番を与えられて、どんなプレーを見せてくれるのか。
別人のように引き締まった面構え通りのプレーを見せてくれるのか、楽しみでならない。

中盤では、ボランチに田口選手が起用されるのかが注目点だ。
怪我人の発生も見越した激戦区のポジション。
アンドリュー、小島、旭、浩平、田坂、壱晟と候補が並ぶ中、新チームの中心選手になれるか。

アンドリューと組むことが考えられるが、汗かき役の守備専ではないだけに、このコンビが最適なのかはわからない。
どんな役割分担を見せてくれるのか、あるいは最適な組み合わせをこれからまだ探っていくのか。
要と言えるポジションだけに、完成度をみてみたい。

そして、前線にはクレーベが今年も君臨する事になるだろう。
昨年のプレーを見れば、J2に留まるのは、あり得ないレベル。
その彼が新チームにフィットすれば、昨年以上の得点の量産が期待できる。

一方、前線からの守備を積極的に行うタイプではないというのが、昨年の印象だけに、ファーストディフェンダーとしての役割をも彼が全うする事が出来るのか。
尹晶煥監督のサッカーとの相性が合うかどうか、守備をこなしながら、得点力もキープできるか。
彼の出来が、今季の浮沈を握るとも言えるだろう。

また、新加入の川又、山下両選手が、クレーベとどう使い分けられるのか、それぞれがピッチに立った時、サッカーが変わるのか否かも注目点だ。

最後に、新戦力の台頭にも期待したい。
移籍組や、見木、本村の大卒組ももちろんだが、
個人的には、今年が「本田功輝の年」になるのか、大いに注目している。

怪我にこれまで苦しんだが、昨年終盤のTGでは、得意のドリブルを駆使して、印象的なプレーを見せ続け、デビューも間近という状況だった。今年こそはと言う思いは人一倍だろう。
尹晶煥監督の下、彼が最初の「チルドレン」として、今季躍動する事を期待している。

ここまで、練習試合も見たことが無いベールに包まれたチーム。
三部練習など、厳しいトレーニングが話題となったが、どんなサッカーを見せてくれるのか、楽しみでならない。

とはいえ、柏が容易に勝てる相手ではないのはよくわかっている。
今度もまた、力の差を見せつけられる事になるのかもしれない。
たとえそうであっても、昨年一年間をかけて熟成された柏に、どれだけ歯が立つのか、足りない部分はどこなのか。
新チームの現在地を確かめられる、貴重な機会になるだろう。

柏には、横浜FCから移籍した北爪がおり、峻希もいる。
彼らとの対戦も楽しみだし、リニューアルされたビジョンも楽しみだ。

開幕まであと2週間。
長いリーグ戦が始まる前に、今季が楽しみになる、手応えの感じられる熱戦を期待したい。