覚悟を見せろ 2020 J2第25節 vs水戸ホーリーホック ●1-5

覚悟を見せろ 2020 J2第25節 vs水戸ホーリーホック ●1-5

2020/10/10(土)15:00
フクダ電子アリーナ
J2第25節
千葉 1(0-3,1-2)5 水戸

<得点>
23分 水戸 5木村(CK崩れを右足ミドル一閃)
26分 水戸 11村田(山口のミドルシュートのこぼれを押し込まれる)
45+3分 水戸 10山口(PK(カウンターの守備対応で、田口がエリア内で手に当ててしまう))
59分 水戸 4ンドカ(カウンター失敗。セットプレーで残っていたンドカにクロス→ヘッド)
65分 水戸 10山口(右サイドをワンツーで崩され、クロス。中で山口が角度だけ変えてゴール)
67分 千葉 8堀米(右からドリブル、カットイン、左足でシュート。ポストに当たりゴール)

千葉公式
水戸公式
Jリーグ公式


前節、群馬戦に続き、非常に厳しいゲームになってしまった。
目標と自信を失ってしまったチームの典型的なゲームと言えるのではないだろうか。

大敗といえど一敗。
そして、今季は降格も無い。
開き直りが大切だ。

開き直りとは、敗戦を忘れ、漫然と次節に臨めと言う事ではない。
失うものの無い強さを、プレーで表現しろと言う事だ。

残り17節。
どんな目的をもって戦うかを決め、チームの中で共有して次戦に臨まなくてはならない。

台風14号の影響も懸念された試合だったが、
横断幕の掲出が禁止となった以外は、大きな影響は無く試合を開催する事が出来た。
雨に濡れながら、試合運営にあたっていた、関係者各位に感謝。

自分も、横断幕の件を知って、いったん帰宅し、再度出直すことに。
13時過ぎに入場すると、まだほとんど観客はおらず、試合開始時刻が近くなって、続々とサポがやって来る、そんな状況だった。


メンバーは前節とほぼ変わらず。
山下→旭で、船山がクレーベと2トップを組む。
監督の話では、一緒にプレーした経験の長い、船山、為田、旭を先発させることで、コンビネーションの向上を狙ったとの事だった。

対する水戸は、秋葉監督が丸坊主になるほどの気合の入れよう。
ただ、この一週間のチーム作りについては、選手の自主性に任せたとのこと。
試合後のコメントに詳しいので、参照頂きたい。



試合の入りこそ、五分の展開だったが、チーム全体がどうにも委縮している。
相手を倒そうではなく、とにかく守りたい。失点したくない。
守備が、攻撃の第一歩にならず、ただ守るための守備になっている。
群馬戦から変わらない。


そんなジェフの元気の無さを見透かしたように、水戸はプレッシャーを強めてくる。
走力、競り合い、連携、細かい一つ一つのプレーでの負けがボディブローのように重たい。
攻め込まれるシーンが増え、這う這うの体でコーナーに逃れ、やっとクリアしたかと思ったら、目の覚めるような強烈なミドルシュートを突き刺された。

さらに、その3分後には、滑りやすい状態を水戸に生かされ、ミドルシュートのこぼれ球を押し込まれ、追加点を奪われた。

1-0で守り勝つ、
あるいは、1-0から相手に攻めさせて、2-0、3-0を狙うチームが2点のビハインド。
選手達は青ざめ、焦り、あるいは諦念を振り払うように、遮二無二に攻撃を仕掛けた。

が、えてして、こういう時にはゴールが遠いものだ。
決定機は作るものの、シュートが精度を欠き、あるいはゴール前1メートルまで攻め込みながらも、身体の向きが悪く、あるいは足が「思うように動いてくれず」、ゴールに流し込む事が出来ない。

こういう経験は、選手に限らず誰にでもあるだろう。
焦り、自信を失ってしまうと、「出来る事まで出来なくなって」しまう。

力を振り絞り、為田のクロスからクレーベのヘッドも、水戸の牲川に腕一本、弾かれてしまう。最悪の「流れ」だ。


逆に、前半のアデシショナルタイム。
水戸のカウンターを受け、ペナルティエリア内で田口がハンド。PK。
これを山口に沈められ、0-3。ほぼゲームは決まってしまった。

ここまで来たら、開き直るしかない。
が、戦っている選手たちは、なかなかそうもいかないらしい。
後半開始にあたってメンバー交代は無く、
前半同様に悲壮感を漂わせ、ボールを追うが、気持ちに余裕の出た水戸と、焦り、自信を無くし、さらに体力を消耗したジェフとでは、プレーの一つ一つに精度の大きな差が出てしまっていた。

ボールを奪われても、それを猛追して奪おうとする選手もいない。
「ああ」と、いったん首を下に降ってから、遠い背中を追うか、他の選手たちに任せてしまって、追う事を諦めてしまうか。戦意を半ば喪失したプレーは、ただ悲しかった。

雨が、ひときわ強くなって来た。


59分には、水戸のセットプレーからのカウンターに失敗し、ボールを奪われ、ゴール前に残っていたンドカに、強烈なヘッドを叩き込まれる。
さらに、65分には、右サイドをワンツーで崩され、中にグラウンダーのクロスを送られると、中に待っていた山口は、止まったままボールの角度をインサイドで変えて、悠々とゴールに流し込んだ。0-5。


悔しさ、情けなさか。
新井章太がうずくまっている小さな姿が遠く見える。
が、誰一人として、彼に駆け寄る選手はいない。
それぞれが、茫然自失、虚ろな目をして雨に打たれていた。

スタンドからは、大きな手拍子が起こった。
この日、一番大きな手拍子だった。
点差が開いても、誰も帰ろうとせず、
0-5であっても、決して見捨ててはいない。
さあ、立ち上がって戦えと、背中を押す手拍子だった。


時間は前後するが、62分、尹晶煥監督は3人を同時に交代。
為田、船山、旭に代えて、堀米、アラン、山下。


67分には、その堀米が、水戸の左サイドをドリブルで切り裂き、カットインしてから左足を振り抜く。ポストを叩く、乾いた音が響いて、一矢報いるゴールがネットに吸い込まれた。

さあ、もう1点でも、2点でも、取り返すぞ。。。
というところで、間の悪い飲水タイム。
また「流れ」を掴みそこなってしまった。

77分には、見木に代えて、アンドリューが久々の出場。
短い時間だったが、「ボールを狩り取って」攻撃に切り替える、ボランチの位置で一番やって欲しいプレーを、ワンプレーながら見せてくれたのは、今後へのヒントになるプレーだった。

81分には、クレーベに代えて増嶋を投入し、3バックに変えて攻め込むも、システム変更を活かすだけの体力は、もう残ってはいなかった。
特に両サイドバック(ウイングバック)は、消耗著しく、前を向ける状態じゃなかった。


それ以上スコアは動かず、トータルスコアは1-5。
ホームでの敗戦が続く。苦しい状況だ。


試合後、選手たちが場内を一周していたが、その眼は虚ろで、スタンドを見上げようともしていなかった。どんな批難を自分たちが受けるのだろうと思っていたのか、それとも、見せる顔が無かったか。

しかし、この天候の中で、わざわざこの惨敗を、最後まで観ているサポが、彼らに批難だけを向けるだろうか。声を出せたなら、厳しい声も飛んだろう。が、そこには、彼らに対する期待の裏返しが込められていたはずだ。選手たちは、スタンドを見上げ、思いを共にすべきであったと思う。

このチームで、これからも戦うのであれば。

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チーム作りは時間がかかるもの。
そう理解をして試合を観ていても、やっぱりこういう惨敗は堪える。
が、それでも強調しておきたい。
ブレてはいけないと。

尹晶煥監督にチームを託したのなら、
クラブとしてより強い覚悟を固めてこれから先を戦うべきだと。

今季だけでなく、来季、その先も見据えて、今がロードマップのどの位置に居るのか考えなくてはならない。それが出来なければ、これまでの失敗の繰り返しだ。

過去3年間、僅かに3年間。
攻撃的なサッカーを目指しながら、我慢しきれずに、それを180度ひっくり返した判断には、チームの未来を託せるだけの覚悟が無い。

あなたにチーム作りを託せるのか、自分はそれを見ている。
黙り続けていてもいい、覚悟を見せろ。