4/12(水)・ナ杯第2日・アルビレックス新潟戦

NO IMAGE

厳しい。勝つには勝ったけど。正直、前半は久々に見るグダグダな試合だった。
サテライトとトップ、ここまで差があるとは、ちょっとしたショックだ。下手に混ぜると、噛み合わないで余計に悪い化学反応を起こしてしまう。今季は一見、去年の主力が残留して、そのまま上積みが出来るものと思ったが、補強をしなかった事、林・ガビの離脱による「チーム」としての力の低下は、もしかしたら思った以上にダメージが大きかったのかも知れない。


・・・競争があるようで、今年のジェフは競争が少ない。
ポジション別に見れば、GKは立石と櫛野、DFは結城と水本、WBは山岸と水野、OHはクルプニコビッチと羽生、それぞれ健全なライバル関係が出来ているようにも見える。けれども、これが17人のベンチ入りメンバーとなると話が異なってくる。


今季の基本的なスタメンはこうだ。
GK立石、DF大輔・イリアン・結城、
MF阿部・勇人・坂本・山岸・クルプニコビッチ、FWハース・巻


サブは、
GK櫛野、DF水本、MF中島、MF水野、MF羽生、FW要田


この次に、
MF工藤(18番目)、MF楽山(19番目)


この後は、試合に出る可能性が現時点で極めて少ない選手たち。
MF伊藤(20番目)が若干ベンチに近いか。


誰かが怪我や出場停止になったとしても、ポジションにあまり関係なく、その後ろの選手がベンチにスライドする。まだ、この20番目までの序列を崩せるまで、オシム監督を納得させられる若手選手は育ってきていない。


サブの選手がトップに上がるには、長い下積みが必要(※例えば、機会を掴み始めた楽山は4年目)で、その間にもまた差が開いていく。勝とうと思えば若手は育たず、育てようと思えばチームはちぐはぐになって勝つことが出来ない。現状では勝利と育成を両立させていく事は、なかなか難しいようだ。
だからこそ、トップで機会を得た時や、サテライト・TGでは、チームプレート同時に自分のアピールもして欲しいのだが。水本や水野がそうだったように。



前置きが長くなってしまったが、試合は前半の20分くらいから観る事が出来た。
布陣は3-6-1、ハース・勇人・結城・水野は負傷。羽生・山岸は温存。代わりに、工藤・楽山・中島・水本・櫛野が出場機会を得た。


----18----
--09--20--
23------02
--06--15--
-03-05-04
----17----


フクアリまで駅からダッシュしてきた息を整え、しばらくは試合の状況を確認する。
で、把握できて来たのが最初に書いた「グダグダ」っぷりだった。全体的に運動量に乏しく、特に前線のかき回しが少ない。パスコースが作れず、預ける事も出来ず、ボールは後ろへ横へ回されるばかり。そこへ新潟が若さに任せて猛烈なプレスを3・4枚で仕掛けてくる。


なんだか、主力組も疲れて元気が無いような感じだ。
攻撃がほとんど形にならずに、フラストレーションばかりが募る。時折、イリアンや水本がハーフェーラインを越えて攻撃参加を仕掛けるものの、単発。劣勢は明らかだった。
そのイヤな流れのままに、ミスから奪われたボールを左に展開される。新潟MF宮沢に応対したのは阿部だったが、後手を踏んでシュートを打ち込まれる。強烈なシュートを掴もうとした櫛野だったが、折からの雨で滑りやすくなったボールを掴む事が出来ない。ボールは、詰めていた鈴木慎の前にこぼれ、あっけなく失点。


あまりのあっけなさに、しばし声が出ない。
やれやれと気を取り直して応援するが、ミスの多い締まりの無いゲームが続いてしまう。前半終了間際に、今度は相手GKが弾いたボールを中島が押し込んだゴールも、ミス絡み、遠くてよく分からないで、盛り上がれない。ミスの応酬は見ていて面白いもんじゃない。後半も、そんなサッカーがしばらく続いてしまった。


そして、極めつけは大さんの余裕の無いバックパスが櫛野のミスキックを誘発し、プレゼントボールから失点。
本人達が一番悔しいだろうが、やっぱプロレベルじゃ見せちゃいけないミスだ。一気に力が抜けてしまう。遠くで膝に手をつく櫛野と同じカッコでこちらもガックリとうな垂れていた。
負けたほうが薬になるんじゃないかと言う考えすらアタマをよぎったが、これもサッカーなんどう、交代によって流れは一変した。


要田、そして羽生が、クルプニと工藤に代わって投入される。
これで分かった。ああ、羽生がこのチームを動かしていたんだと。疲れ始めていた新潟に、この交代は相当にキツかったのだろう、面白いように羽生が前線をかき回しだす。FWのサポートに入ってパスを受け、サイドや前線に飛び出してパスコースを作り、その羽生の動きに呼応して、チーム全体が組織として動き始めた。


出場4分後には、左に抜け出た楽山の折り返しを右足アウトサイドで合わせて、芸術的な同点弾を決めてみせる。絶好調だ。
さらに、攻撃の切り札として山岸が楽山に代えて投入される。終盤に来て、ジェフのギアは完全にハイに入れられた。


--18--11--
----22----
16------02
--06--15--
-03-05-04-
----17----


ただでさえ羽生にかき回されていた新潟は、山岸の動きまでを押さえる事が出来ない。
後半も残り10分を切っていたが、その山岸のクロスから巻が得意の形でゴールを決めたのは、ある意味当然だったのかも知れない。
その後も山岸は、中に切れ込んでポストをかすめる強烈なシュートを放つなど、こちらも好調ぶりをアピール。


最後は、残り5分となったところで、長い長いボールキープに入り、やっとこさ勝利。
羽生・巻のファインゴールに一応の納得をしながらも、試合の流れを振り返るとなかなかスッキリとは喜べない。ジェフは勝ち点3を得て、若手に活路を見出した新潟は今後に収穫を得たようなゲームだった。新潟も前半頑張っていたが、正直なところジェフが自滅して、自信を与えさせてしまったようにすら思う。


日曜日にはサテライトがあり、土曜の試合にも出た水本は言わずもがな、正直なところ楽山や中島にも疲れは溜まっていたように思う。ただそれでも、サテライトの頑張りをトップで活かす絶好の機会だっただけに、チームとしての連動性を作り出せなかったこと、個人としてのアピールがなかなか出来なかった事は残念だ。
そして、接戦に持ち込まれてしまった事でわずかな出場チャンスを失った20番目以降の選手たちにとっても。


一足飛びの成長は出来ない。
だから、少しずつでもチャンスを掴んで、主役に登りつめて行って欲しい。鮮やかなほど、くっきりと変わってしまった羽生投入後の時間帯を思い出して、サブの選手たちのレベルアップを願わずには居られないフクアリの夜だった。



<選手評価(抜粋)>


GK櫛野:今日の出来は論外。悔しさを次の試合のモチベーションに変えて欲しい。


DF水本:守備は早さも高さも安心感がある。ただ、ボールが安全に回せない。攻撃参加も数回見せたが、クロスを上げきるなどメリハリが必要に感じた。


MF中島:同点ゴールを決めたが、もっと運動量が欲しい。相変わらず、味方に戻すボールに力が無く、カットされたりされそうになる場面が散見された。


MF楽山:サテでよく見かける、左サイドから切り替えして中に向けてドリブルし、狙い済まして右足でシュート!と言うシーンが、悉く止められていた。ラクの場合、攻撃でアピールできないと厳しい。守備の際には、意地でも相手に喰らいつく泥臭さが欲しい。


MF羽生:途中出場だが、この試合のMVP。猛烈な運動量で相手をかき回すだけでなく、しっかり味方もサポートして、そしてボールも引き出している。錆付いたチームを動かす、潤滑油のような存在感だった。