誰が欠けても「WIN BY ALL」は成り立たない

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悲しい試合だった。
サポーターが一つになれずに、選手を応援で後押しする事が出来なかった。選手達は、極限まで達した疲労が鉛のように覆いかぶさって、やりたい事が一つも出来なかった。不可解な判定が追い討ちをかけ、人目をはばからずに号泣する羽生を呆然と見て、ゴール裏はそれとは別の理由でしゃがみ込み、誰もが涙に暮れていた。


先に述べておく。
こんな時だからこそ、一致団結しなきゃならない。負けているからと言って、監督や選手を非難する暇があれば、応援をすべきだ。サポーター仲間同士でいがみ合いは必要ない。皆いなくちゃ「WIN BY ALL」は成り立たない。


・・・試合前、グリダーレから東京戦後の阿部批判の横断幕について説明があった。
それに対して、自分もかなり気色ばんで話をしてしまった。その場に居た皆もナマの言葉をぶつけ合った。


いくら彼らが「阿部を鼓舞する意味だった」と言っても、自分の信条からはどうしても理解する事は出来なかった。阿部は連戦を戦い抜いていたし、主将としての振る舞いをしていたとも思う。その阿部を傷つける行為。彼らの行動を見て、道路脇で泣いていた女の子もいた。彼女の気持ちは、一体誰がどう償うのか。
代表のT君らは、阿部に後日姉崎に、横断幕の意図を伝えに行ったそうだ。サポーターの総意では無いとも説明し他と言う。曰く、阿部は理解を示したとも言う。しかしながら、それは本心だったのだろうか?
「正しい事だと思うのか?」と言う問いに、彼は迷った末に今でも間違った事をしたとは思っていないと話した。だが、一方でこうして多くの人から非難された事で、賛否、今回で言えば批判の方が多いだろう事を、やるべきでは無かったと理解したと話した。


「阿部の心の傷は戻らない」
「横断幕も、楽山を呼びつけたのも、お前らの自己満足の為なんじゃないのか」
それだけじゃない、感情むき出しの言葉が飛び交った。
この問題だけじゃない、応援の話にも話は及んだ。


各人が思ってる事をぶつけ、グリダーレの皆もその場を離れたりすることなく、耳に痛い言葉にも聞き入っていた。応援に関する事にも話は及んだが、核心に対して答えが得られた訳ではなく、時間だけが過ぎて、選手達が入場する時間が近づいていた。


ベテランのサポーターから、「今日の試合がもう目の前に迫っている。もう試合集中しなくちゃいけない。選手達が出てきて、自分達が居なかったらどうする。今日のことを考えよう。」「結論が必要だ。横断幕の件を責任に思うなら、T君が今日は指揮を執らない事でけじめをつけてはどうか。」と言う意見が出た。強制ではなく、T君自身にそれを決めさせようとするものだった。
「どうしたいのか、お前が決めろ」それに対して、T君は「自分が前に立つことで取り返したい。至らない点は皆がサポートして欲しい。」そう決めて、グリダーレを中心に、各団体が中央に集まって応援をする事になった。


自分は、どうしても東京戦の横断幕の件をウヤムヤにしたくなく、このまま終われなかった。ただ、話し続けたところで、阿部の心の傷を癒す事は出来ない。それで、「自分は今日だけは真ん中でやらない」と言って、端っこで応援する事にした。そう言うと、T君は「そうなるのなら、自分は前に立たない」と言ったが、「前に立つのは、T君が決めたこと。」と言って、その場は終了。ゴール裏に戻る事になった。
彼らと決別するのではなくて、そうする事で何か少しでも感じてくれるものがあればと思った。


自分は、単純にジェフサポの皆が一緒になって応援してくれたらと思っている。
昔からガラガラの臨海を見ている。いろんな出来事があって、サポを辞めた人が居る。元々、数少ないジェフサポなんだから、皆が楽しめるようにならなくてはならないと思っている。だから、グリダーレを排除しろだとか、阿部批判の幕を見て女の子が泣いて帰るだとか、ジェフサポの仲間が居なくなる姿なんて見たくない。
だからその為にも、もっと誰も彼もジェフサポ全体を代表しているんだという事を意識しなくてはならないと思う。



その後、ゴール裏中心から離れて、メインよりの最上段に陣取った。
場所を変えて聞く応援は、弱々しかった。まとまりの無いままに、応援に入った影響がモロに現れている。例年、圧倒していた磐田の応援がやたら大きく感じる。
コールに応える選手達、気のせいなのか分からないが、近いのに、選手との距離がやけに遠く感じた。何だか、事務的な挨拶のかけあいのようで、寂しい。


試合内容は、最悪。試合開始から、選手の身体が鉛のように重いのがわかる。動けない。相手が10人になっても、動けない。機動力が命のジェフが、全く持ち味を発揮できない。身体だけの問題?それとも気持ちの問題もあったのか?
SR家本のジャッジが、試合を決め、試合終了のホイッスルが鳴って、泣き崩れる羽生の姿を見て、今日何も出来なかった応援を悔いた。


しばらくして、ゴール裏中心へ行った。
目を疑った。崩れ落ちて皆が泣いていた。グリも、ハレも、粋犬も、イエデビも、56の連中も、一般の人も男も女も関係なく。最初は、羽生の涙に貰い泣きしたのかと思ったが、どうもそうじゃないらしい。もっと致命的な何かが起こったらしい。その場に居たメンバーにしか、それは分からない事なのだろう。。。


「次、頑張ろう」「切り替えよう」と声をかけて回ったが、いま、その言葉に意味が無い事にすぐに気付かされた。



崩れた信頼関係を取り戻すこと、それは容易な事じゃない。
けれども、それをやらなくちゃならない。皆ジェフが好きだから、あれだけ涙が流れるんだと思う。けれど、想いは一つにまとまっていない、バラバラのまんまだ。たぶん、これから、苦しいだろうし、もっと悩んで考えなくちゃならないと思う。でも、乗り越えないといけない。


この磐田に居たサポだけでなく、全てのジェフサポを巻き込んで、いまチームのためにどう動かなくちゃいけないか、それを考えなくちゃいけない。
試合はすぐにやってくる。こんな時、ホーム・フクアリじゃ無いのが歯痒い。フクアリに戻ったら、今のジェフを思うのなら、皆が一歩進んで苦々しい事でもサポ同士で話して欲しいと思う。


選手達は戦っている、サポーターは声を出さなくちゃいけない。
難しい事は考えなくていい。勝ち負けじゃなく、選手とサポーターが共に戦う、その事だけを今は考えないといけない。ここから立て直そう。ジェフはそれが出来るチーム、それが出来るサポーターが居るチームだ。