3/4(日)・第1節・名古屋グランパス戦

NO IMAGE

開幕戦、力を出し切れずに敗れ、焦燥ばかりが募る。
ブーイングで出迎えねばならないのが、悔しい。そうするのは、このチームで何かを成し遂げたいから。今年こそ優勝をしたいから。けれども、この日の戦いからは、「優勝」の二文字などとても口に出来ない。不可解な采配からは、新シーズンへ向けての期待と、掴みかけていた自信の両方をいっぺんに失いかねない危うさを感じた。名古屋は強かった。しかし、勝てる可能性も十分にあった。勝利の可能性を、自ら手放してしまう。“自滅”とも言える危険な敗戦では無かっただろうか。


アマル監督は、何がしたかったのか。
それが見えてこないのが、何より怖いのだ。


端的に言えば、今日の敗因は中島浩司の先発起用にある。
中島自身のプレーは、これまでの数年でジェフサポならばよく分かっているはず。この日の中島は、特段に悪かった訳でも無いが、良くも無かった。ただ、阿部勇樹が欠け、坂本将貴が欠け、去年までも中島のボランチ先発は「3番目」の選択でしかなかった。
中島は、残念ながら到底、阿部のプレーには及ばない。それを先発させれば、当然、スペックダウンになる。阿部の放出が大きな穴だからこそ、その穴を補う為の補強が、下村であり、ジョルジェビッチの獲得なのでは無かったのか。恐らくは、「戦術理解度」を基準とした先発起用であったのであろうが、判断に戸惑いの見られる中島は、時間が経つごとにチームの中で大きな穴になっていった。


中島の位置でボールを落ち着かせる、守備にキツく行く事が出来ないから、コンビを組む勇人は守備に奔走せざるを得ない。本来の持ち味である、ゴール前まで進出して攻撃に関与する事が出来ない。


さらに、中盤の底で組立てが出来ないから、そのツケは最終ラインのイリアンとジョレに回ってくる。攻撃のスタートが一段低くなってしまっているのだ。攻撃にスピードが無いから、怖さが無い。


加えて、攻撃のキーマンである水野は、すっかり相手チームの警戒の的になっていて、必ず2人以上が対応にあたっている。羽生のフォローアップも、相手にとっては計算のうち。反対側のサイドでは、智が精彩を欠いて完全に封じられている。徐々に、ジェフの動きがフィールドの中で小さくさせられていった。


それでも前半は、イリアン・ジョレが核となった堅い守備と、かなりコンディションが戻って来たと思わせる、巻の前線からのチェイシングもあって、長い時間ジェフのペースが続いた。惜しむらくは、ジョレからのレーザービームクロスを、黒部が決めきれなかったシーンと、多数あったセットプレーのチャンス。一つでもモノに出来れいれば流れは全く変わったはずなのだが。。。


この時点では期待感はあった。
中島の穴を早く対処して、ジェフの時間帯の間にどう言う形でも1点をもぎ取る。相手が焦ったところに、新居・青木のスーパーサブ2枚看板を解き放てば、あわよくば2点差には出来る。そう言う展開だったはずだ。


しかし、後半になって名古屋が少しずつペースを取り戻す中で、アマル監督は動かない。相変わらず、ピッチの中では中島・山岸らが苦戦を強いられている。下村はまだか。大さんを入れて、ジョレを前に出してもいい。とにかく中島の穴を埋めてくれ。悲鳴にも近い交代への願いが口をついて出てしまう。


交代1枚目、黒部→新居。
ごくオーソドックスな交代。かつての林のように、この新居と言う個性をチームが活かせるのか。しかし、ボールが回らない。走らせられない。この新居にボールが回らない。


そしてついに均衡が破られる。
中盤の守りが破綻して、金に抜け出されて強烈なシュートを見舞われる。もっとも避けたかった、追いかけねばならぬ展開を、この時間帯で。


交代2枚目、山岸→工藤。
山岸は正直代えられてもおかしくない出来だった。しかし、今日のベンチメンバーでは、代えようが無かったはずだったが・・・工藤が中に入り、それだけでも重量級の名古屋の中盤に、羽生・勇人・水野・工藤の軽量級選手で相対するのは、フィジカル的には至難だ。加えて、中島が左サイド!?そこまでして、残さなくてはならないのか?


挙句、交代3枚目、ジョレ→朴。
ここまで抜群の安定感があったジョレを外す意味とは?中島を下げて、ジョレを上げるだけでも展開は違ったのではなかったのか?最後に岡本がやらかしてしまった失点も、ジョレが居たならば、詰められる前にボールを預けられたのではないか?
朴は、右サイドに入って、水野が前目に出たようだったが、機能せず。


交代でズブズブと崩れていくジェフを尻目に、名古屋は序盤でスピラールをアクシデントで失ったにも関わらずに、しっかりと手堅い戦いぶりで完封勝利。個々の選手達は非常に良く戦っていたと思えるだけに、采配で崩れていくように見えてならなかったのが、悔しかった。こんな事、一体、いつ以来だろう。



正直、こんな戦いを繰り返していたら、どんな戦力を持っていても泥沼にハマってしまうだろう。失った戦力の穴を埋め、去年の問題点を潰していくのが、この2ヶ月間では無かったのか。
今年、アマル監督は、プロの監督としてより厳しい眼で見られるべきだあろう。3年前からコーチとしてジェフを見ていて、それでも今日のような采配にしかならないのならば、何か目指すものとの間に埋め難いギャップがあるように思えてならない。


そして、ゲーム後のコメントにも、もっとしっかりと答えるべきだ。
自分の言葉で、敗戦の原因をしっかりと語り、言葉をすり替えたりはぐらかすのは止める事だ。アマル監督は、先代とは違うのだから、自らの言葉で皆の信頼を得られるように一言一言を紡がなくては。


すぐにゲームは続く。
次も強敵・清水だ。負け続くホームで、次こそ勝たなくては。今日のような采配では、まったく勝利は遠いであろう。一週間で立て直すこと。ホームで強いジェフの姿を見せること。敗戦から学び、歴戦の価値を創り出すことが、アマル監督の使命だ。



-----
<選手寸評>


GK岡本:失点するまで、ハイボールの処理や至近距離での1対1に抜群の安定感。しかし、最後の最後の迂闊なプレーで、全て台無しに。しかし、この1点もこれから何十点と経験する失点の1つに過ぎない。ゲームの中で、失点にいちいち気持ちを落とさないこと、強くあれ、グッピー!


DFイリアン:守備では変わらない安定感。阿部が居なくなった分、攻撃の組立てを担おうとしているように感じた。しかし、攻撃参加への周囲のフォローが十分でなく、攻撃は単発で連動性の無いものになっていた。


DFジョレ:さすが、元セルビア・モンテネグロ代表DF。全ての面でレベルが高かった。前半、黒部に通したレーザービームの右クロスは絶品。ボランチでも見たかった。


DF水本:少し疲れが見えたが、守備では相変わらずの安定感。終盤は、若干厳しかったか。


MF中島:この日のブレーキとなった。J1で優勝争いをしようとするのなら、今の中島が先発するようでは難しい。使うのなら、相当なレベルアップをしなくては。プレー自体は、いつもの中島だったが、フィジカル負けするシーンや、パスミスなどがとりわけ目立ってしまった。名古屋も、狙っていた。


MF勇人:守備に奔走。持ち味の攻撃参加が出来ず。


MF山岸:厳しいマークに封じられ、何も出来ず。勝負の姿勢が足りなかった。


MF水野:常に単騎突破では厳しい。相手も、必ず2枚で当たるなど、対策が進んでいる。水野をフリーに出来る展開が出来るボランチが欲しい。


MF羽生:相変わらず良く動いていたが、決定的な仕事は出来ず。


FW黒部:ボールが来なければ厳しい。ポストは確実にこなしていた。


FW巻:だいぶコンディションが上がってきたか、チェイシングに以前の迫力が出て来た。シュートも積極的に放っていたし、全快も近いか。


<交替選手>


FW新居:ボールが届かず。動きにはキレ。前を向いてボールを受けたかった。


MF工藤:再終盤に同点を目指して奮闘するも、決定機を作れず。


MF朴:時間も短かったが、良いボールも回ってこずに、何も出来なかった。