生き残りを賭けた戦い 第40節・モンテディオ山形戦

生き残りを賭けた戦い 第40節・モンテディオ山形戦

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6位と7位の直接対決。
負けた方が、昇格への道を断たれる戦い。
試合前から、空気は重たいものがあった。

予報通りの雨となった、アウェイ山形。
兵働の出場停止、田中の負傷により、スタメンには、右に米倉、中央に大塚が入る布陣となった。
サトケンには、大きなブーイング。この巡り合わせ、本人にも山形にも皮肉だろう。

山形とジェフは、やり方が似ている。
守り方も攻め方も、合わせ鏡のようだ。
そうなると、優劣の差を作るのは、判断の早さと、プレーの正確さになってくる。

前半、ジェフは、慎重な展開だった。
湘南戦のようなドン詰まりではなかったものの、なかなかシュートまで持ち込めない。谷澤&渡邊の左、米倉&高橋の右、なかなかスペースを作れずに横パスやバックパスが増える。
ほとんどシュートまで持ち込めなかったが、湘南戦よりもゲームをコントロールしているように見える。山形も落せない戦いだけに、互いに様子伺いに近い展開になっただろうか。

時間が経つにつれ、雨は激しくは無いものの、雨粒が大きくなっていく。
ハーフタイム、コールリーダーから激しい檄が飛ぶ。
後の無い試合には、それぐらいの激しさが丁度良い。

迎えた後半、選手交代は無し。
お互いがゲームを動かそうと呼吸を整えつつある中、均衡をジェフが破る。

谷澤のコーナーキック。見事な弧を描いたボールが、竹内の頭にドンピシャで合う。
中央に突き刺さるゴールに、スタンドから雄叫びが上がった。

攻勢に出ようとする山形の出鼻を挫く先制点。
大きな意味を持つ一点だった。

ジェフは、この一点で焦る必要が無くなった。
智がコントロールするディフェンスラインは容易に崩れない。
無理をしてでも、攻めざるを得ない山形の間隙を衝いて、裏を狙って走ればチャンスは生まれる。
案の定、高くなった山形のラインの裏は、格好の狙いどころとなり、徐々に山形の前線と最終ラインの距離が遠くなり、分断されていく。

交代によって打開を図ろうとする山形。
しかし、ブランキーニョや、林を下げた采配は、むしろジェフにとっては与し易くなった感がある。

ゲームはコントロールできていたが、必死に攻める山形にもチャンスはあった。
そのピンチも、岡本がしっかりと処理して、失点を許さない。

ジェフは、切り札として荒田を投入する。
藤田の復帰で、ベンチスタートとなっていたものの、ここのところの点はほとんど荒田絡み。
「嗅覚」を、今一番に研ぎ澄ましているのは荒田だったろう。
この起用が奏功する。

88分、左サイドをワンタッチパスを4回ほど繋いで渡邉が抜け出る。
そのクロスに、荒田がピンポイントで合わせて追加点。
決定的と言える追加点だった。
ホームの山形にとっては残酷すぎる失点だが、明暗正に分けた瞬間だった。

ロスタイムの5分も、しっかり消化してゲームをクローズする。
山形からすれば、攻めながらもシュートまで持ち込めない。
まるで、ジェフの悪い時を見ているようでもあった。気持ちが少しでも守りに入ると、「怖い」と言う気持ちが鎌首をもたげると、得てしてこう言うもの、なのだろうか。

昇格を争う直接対決での勝利。
こうした試合を悉く落してきたジェフにしては、珍しいとも言える勝利に、雨に塗れて声援を送り続けたサポーターが笑顔で出迎えた。状況は厳しく、この一勝を上積みしても、順位は6位のまま。選手達も、笑顔と同時に、一様に厳しい表情も同居していた。

とにもかくにも、可能性を繋いで、ホーム=フクアリへ戻る事が出来た。
これだけ勝ち点を落しながら可能性を残して居ると言うのは、ある意味幸運だ。
やれる事をやりきって、道を拓く。
残り2試合、勝利あるのみだ。