望外の勝利 第19回ちばぎんカップ・柏レイソル戦

望外の勝利 第19回ちばぎんカップ・柏レイソル戦

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3-0と言う結果は、正直予想外だった。
 
試合前は気にしていなかったが、柏は始動からまだ半月。
怪我人も新戦力も多く、さらに3バックと言う新しいシステムを試すと言う、難しいコンディションだった。とは言え、新シーズンに向け勢いをつけたい試合で、このスコアは望外のもの。
選手もサポも大いに手応えを掴んだのではないだろうか。
 

ジェフのシステムは、4-4-2もしくは4-5-1。
 
----谷澤----
ジャイールナム--米倉
--兵働--勇人--
渡辺------キム
---智--竹内--
----岡本----

意外だったのは、先週のTGではサブ組だった、ナムとキムが、二人揃って先発だったこと。
 
右SBはキムが入り、大岩はベンチ。調整中の峻希は、この日はベンチ入りしなかった。
ナムは、流動的な前線でトップ下、もしくはFWとしてプレー。
 
ちなみに前線は、米倉が右からあまり動かない以外は、前線の3人、谷澤・ジャイール・ナムは、ポジションを入れ替えながらプレーしていたので、観ている側も誰がFWでMFなのか良く分からない。0トップとも言える布陣だった。

 

3人の新加入選手を加え、連携に不安があるかとも思ったが、試合は拮抗したものになった。智を中心にした守備陣に大きな変更が無く、勇人・兵働くのドイスボランチまで、昨年の骨格が残った事が大きい。

キックオフ直後は、自力に勝る柏が、要所にプレーの正確さを見せて押し込んだ。
特に、右WBに入った新加入のキム・チャンスと、渡辺との勝負では、フィジカルも含めてキム・チャンスが上回り、局地戦を優勢に進めていた。
また、同じく新加入のクレオも、中央で当たり負けはしないフィジカルの強さを見せ、智や彬もかなり苦戦をしていた。
しばらくは柏の攻勢だったが、ジャイールのプレーでスタジアムの空気が変わった。
ワンプレー目で、「おおっ」と身を乗り出したジェフサポも多かったのでは。
ボールを持つや、初速から早いドリブルでマーカーの鈴木を振り切り、囲まれても、上手く身体を使いながら、そうそうボールを奪われない。。。どころか、2~3人の密集の中から、抜け出してさえ見せる。キックは正確で、低くて速いライナー性のもの。CKも同じ球筋で、明らかに「怖さ」のあるボールを蹴って来る。
 
対面した鈴木も、予備知識が無いから、相当に面食らっただろう。
しばらくは、止められないシーンが続いた。
 
柏がジャイールの対応に手を焼くほど、ジェフにはスペースが出来る。
谷澤・米倉・ナムが、自由にプレーできるシーンが増え、惜しいチャンスも作れるようになった。そして、その流れのまま、意外なほどあっさりと得点が入る。19分、ジャイールの左からのクロスに米倉が頭で合わせて先制。
さらにナムのシュート、波状攻撃から谷澤ら・米倉の波状攻撃から兵働のヘディングと、ゴールに迫り続ける。
 
柏は、的が絞り切れていない様子で、やや選手の距離が遠い。
加えて、ウイングバックの裏のスペースを、渡辺や、米倉に抉られて、ペースがなかなかつかめなかった。
 
ジェフ側では、右のキムが時間が経つにつれて攻撃を控え、バランスを取る方向にシフトすると、慌てるシーンも少なくなり、逆に柏が谷澤ののらりくらりとしたキープにイラつくシーンが増えていった。
終了間際に、レドミにループを狙われたが、それも彬が余裕を持ってクリア。
 
前半は、そのまま1-0で終了。
相手を考えれば、上々の内容だった。
後半に入り、柏は4バックへ移行。
ジェフはそのままメンバーを変えずに臨む。
 
柏が攻め込むシーンもあるものの、クロスの精度が悪かったり、ジェフの身体を張ったディフェンスでシュートを阻まれたりして、なかなかぐぴおが慌てるようなシーンにはならない。反対に、ホームで負けられない柏の前がかりになった裏を狙う、カウンターのシーンが増えていく。
 
追加点は、カウンターからジャイールが抜け出してシュートを放ち、それで得たCKからだった。ジャイールのショートコーナーを、兵働が中に上げ、DFにかすったボールが米倉への絶好球に。ダイレクトで打ち抜かれたシュートが、菅野の脇をすり抜ける、気持ちの良い得点だった。
 
さらに、決定的な3点目は、兵働が左を駆け上がった渡辺にパスを通し、フリーで上げられたボールに、ナムがDF2人を振り切って頭で合わせたもの。
バックスタンド寄りのゴール裏から見ていたが、サイドネットに突き刺さる、これまた綺麗なゴールだった。
ナムは、準公式戦デビュー戦でいきなりの一発。
このゴールはもちろん、身体の強さとキープ力を見せ、大卒新人くらいに見ておいたら良いと思っていた自分の期待値を、良い意味で上回ってくれた。前目のMFが本職なのだろうが、この日のように前線に近い位置や、ボランチでも出来る。面白い。
 
この得点で、大方の決着はついた。
ここまで交代は無し。3-0となって監督もようやく動いた。
どちらかと言うと、先発の大胆さとは異なって、ゲームをゆっくりとクローズさせる、そんな交代のカードだった。
まず兵働→サトケンの交代を切ると、組み立ての面での兵働の存在感の大きさを感じることに。
タイプが異なるから当たり前だが、兵働がピッチから消えると、前線へのボールは、なかなか通らなくなり、攻め込まれるシーンが多くなった。
攻撃は最大の防御。間違い無く、兵働は外せない司令塔だ。
兵働+サトケンの組み合わせも見てみたいもの。
 
その後に入った選手は、大介、深井、慶、大岩。
それぞれ、力の程が分かっている選手たちだったので、戸島をちょっと観てみたかった思いはある。
柏も、新進気鋭の左SB山中や、狩野を投入するなどして、テストと反撃を試みていたものの、重心が後ろがかりになったジェフを崩す事は出来ず。日立台に大脱走を響かせて、そのまま3-0の快勝を飾った。
MVPは2得点のヨネ。
昨年は骨折の悪夢に襲われたちばぎんで、見事なスタートを切った。
結果の通り、素晴らしい勝利だったと思う。
新戦力も力を発揮し、これから始まるポジション争いは、チームの力を底上げしてくれるはず。継続性が心配だったが、守りのベースが残ってくれたおかげで、攻撃のもモデルチェンジも予想以上に順調に進んでいるようだ。

不安と言えば、ジャイールをはじめ、特定の選手への依存、そして、この日の柏と違って引き篭もる相手への対処だろうか。 課題や不安を挙げればキリは無いが、何はともあれ勢
いをつける勝利を得た事を喜びたい。

オフは、藤田・荒田・トーレ・ロボと言った攻撃陣が抜け、どうなる事かと思ったけれども、また新しい面々で、魅力的な攻撃を築いていってくれればと思う。
残り二週間、怪我人の回復もあるだろうし、開幕が楽しみになって来た。

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