つかみ損ねた勝機。 第30節 vs町田ゼルビア △1-1

つかみ損ねた勝機。 第30節 vs町田ゼルビア △1-1

2019/09/01(日)18:00
町田市立陸上競技場
J2第30節
町田 1(1-1,0-0)1 千葉

<得点>
34分 町田 24ロメロ フランク
40分 千葉 9クレーベ

ジェフ公式 試合結果
Jリーグ公式試合結果

前半30分までの内容を思えば、よく盛り返して戦ったと思う。いまのジェフに出来ることをやりきって、降格回避になりふり構わず戦う、ホーム町田の勢いに飲み込まれず、勝ち点1をもぎ取ったとは思う。

が、勝ちたかった。
町田も同じだろうが、ここで勝っておきたかった。

誤算はアランのプレー。
交代直後のプレーで決められていれば。
パワープレー要員として投入されたのだから、もう少し身体を張れて戦えていれば。

ゲームのクローズを、パワープレーで終える事はチームとして整理されてはいたのだけれど。。。
残念でならない。


しかし、30節。
9月最初のゲームを、こんな、DEAD OR ALIVEなキリキリした気持ちで迎えるとは思っても見なかった。

昨日の結果を受け、ジェフは18位。
町田は20位。
お互いに後はなく、この試合に是が非でも勝たなくてはならない、裏天王山になってしまった。

野津田は、残暑でまとわりつくような暑さ。そこに、局地的な夕立までが加わって、ひどい湿気の中でゲームが始まった。温度は下がりつつあったが、選手達には厳しい環境だったろう。


ジェフは、またメンバーに修正を加えて来た。
アンドリューと堀米が先発を外れ、中盤は右に茶島、左に為田。最終ラインには、復帰した増嶋が名前を連ねた。

相馬監督の下、もはや「伝統の」と言っていいほど継続されている、4-4-2システムの町田。

勝たなくてはならない戦いに、試合序盤から強烈なラッシュを仕掛けてきた。おそらく、相馬監督からは、前半で試合を決めてこいと送り出されていたのだろう。

ジェフよりも、球際、運動量、出足の全てで上回り、無理矢理にでもフィニッシュで終える強引な戦いぶり。
ほとんど、ハーフコートのワンサイドゲームに押し込まれ、ジェフは町田陣内にボールを運ぶことすら出来ない。

いきなり、李漢宰に枠ギリギリのミドルシュートを食らうと、その後も息つく間もなくシュートを浴び続ける。
失点していないのは、町田が枠を外しているからで、人数がいるのにシュートを打つことを防げない。
ボールを何とか奪っても、その後のパスが雑で、苦し紛れのクリアはまだわかるものの、フリーでボールをキープしても、それを繋げない。

こんな状況が続けば、いずれ失点すると危惧していたところで、ゴール前の混戦からロメロ・フランクに流し込まれてしまった。
ロメロ・フランクに2人、ゴールライン際に2人、キーパーと、その前に競っていた選手も含めれば、半数以上の選手がそこにいたのに決められてしまっては、、、頭を抱えたくなる失点だった。

先制点を許してしまった事で、選手の気持ちがまた下がり、連続失点を許してしまうのが何より怖かった。

再開直後も町田に攻め込まれ、これは、まずいと思った直後だった。

ジェフの選手達から、何かが少し吹っ切れたのだろうか。それとも、町田が先制点に安堵し、一瞬張り詰めていたものが途切れたのだろうか。
何か、空気が切り替わった。

左サイド、為田が相手のプレッシャーを剥がして前を向く、いったんクレーべに預け、ムリヤリなワンツーで前に為田が抜け出る。クロスを中にいた船山に送り、船山はその右にいた茶島へつなぐ。

タメて放った強烈なシュートだったが、右上に外れていった。
これがほとんど、まともな初めてのシュートだったと思う。

町田が怯み、そこにクレーべが強烈な個の力を剥き出しにした。
ジェフの順位とは関係なく、シーズンが進むほどにクレーべのコンディションは上がっている。なんで、この選手が今のジェフに居るのかわからない。収められるし、展開出来るし、自らシュートを打てる。

そして何より、強烈なヘディングだ。
また左サイド。今度は下平からのクロス。
完全な町田ペースの中で、ヘディングシュートを、突然叩き込んだ。

決まったのか、ファウルは無いのか。
平たい野津田で、ゴール裏の面々も、本当に入ったのかを確認する。決まっている、ゴール、同点だ。遅れて皆が喜ぶ。

その直後にも、また左から。
為田が切れ込んでクロス。
船山がダイレクトで合わせるも、上に外れる。

この数分間は完全にジェフペースだ。
町田が攻め疲れしている。

前半、ほとんどの時間が町田ペースだっただけに。同点に追いつき、試合の流れを変えて終えられた事は、望外の展開だった。

ゴール裏も、序盤は悲壮感すらあったが、戦う気持ちを取り戻していた。

が、問題は後半。
スタミナが持たないことは明々白々。
どう戦うか、どの選手をどう変えるか。
これまで試合と同じく、難しい展開になるだろうと気を引き締めて、応援を再開した。

町田は、もう一度ジェフを押し込んで、勝ちきろうとしてくる。
が、落ち着きを取り戻したジェフは、危ないシーンも作られるものの、逆にカウンターを仕掛けて対抗する。

左に加えて、後半、徐々に右がチャンスを作り出す。米倉が長い距離を走り、クロスを上げるシーンが増えていく。

ただ、チームとしてあと一歩が足りない。
打てる場面で打たず、フィニッシュを託して、チャンスを潰すのは相変わらず。

一進一退。
膠着した展開の中、町田は先手先手で交代カードを切って来る。おそらく、前半のラッシュで、想定以上に体力を失っていたのだろう。

ジェフは、かなり我慢してカードを切った。
68分、茶島に代えて見木。
さらに、77分。船山に代えて、アラン。
そして、その直後に後半最大の決定機が訪れた。

勇人のパスに米倉がフリーで抜け出し、中に切れ込んで、交代したばかりのアランに丁寧なパス。

誰もが、「決めてくれ」そう願いを込めたボールは、無情にもポストの横に切れていった。クレーべがアランを慰めていたが、このプレーが影響したのか、彼自身が試合への準備が十分で無かったのか、切り札であるはずのアランは、走れず、競れず、収められず、精彩を欠いたプレーに終始してしまった。

最初に書いたが、江尻監督も誤算だったろうし、期待の裏返しで、もどかしかったのではないだろうか。。。

最終盤、ジェフは、為田に代えて安田を投入。
安田自身のプレーは良かった。
自ら仕掛け、中央に並ぶ、クレーべとアランにクロスを送り届けようとするも、コンビネーションで崩すには、スタミナ的にかなり周囲の選手が厳しい状態。

町田も、勝ち点3をホームで確保するために、ラフなボールを前線に放り込んで来る。
お互い、プレーが雑になり、ファウルや、選手がごちゃごちゃっと固まってボールがうまく展開が続く。

アディショナルタイムは3分。
イエローが4枚出た割にはあまりなかった。
最後、町田のコーナーキックになり、それを凌いで試合終了。

バタバタとピッチに転がったのはジェフの選手達。心中は、やはり勝てなかった事への悔しさだろうか。
順位表、今後の対戦相手を考えれば、勝たなければならない戦いだったが、前半の戦いぶりを思い返せば、アウェイである事を思えば、貴重な勝ち点1を奪い、町田の勝ち点を2削ったとも言える。この勝ち点1を、意味あるものにしなくてはならない。

試合を振り返って、町田はゲームプランを誤ったと思う。ホームで、絶対に勝たなくてはならない相手に、最初からラッシュを仕掛けたくなる気持ちもわかるし、複数得点奪えていれば、大勝もあったろう。
(こう書いていると、相馬監督の采配が、まるで江尻監督の采配のようだけれども)

ただ、スカウティングで、ジェフが後半に体力が落ちるのは分かっていたのだから、それを待って畳み掛けていたなら。
おそらく、ジェフは敗れていたと思う。

町田が前半のうちに息切れするような戦いをしてくれた事で、そして、その前半のラッシュを何とか1点で凌いだことで、ジェフにとっては勝機が少し広がった試合になった。

特に後半、これまでなかなか出来なかったカウンターが決定機を生み出し、そこに新戦力の米倉が絡んだ事もポジティブな要素だし、明らかにJ2に居るのがおかしいレベルのクレーべが、好調を維持しているのも大きなプラスだ。

攻撃面は噛み合いさえすれば、ゴールを奪う力はある。

問題はやはり守備だ。
組織で守れず、個人の頑張りに委ねられてしまっている。
前半の町田の攻勢も、正面から受け止めてしまって、流れを切る事が出来なかった。
ここが改善できなければ、今後も勝ち点を稼ぐ事は難しいだろう。

江尻監督が、チームの良さを引き出そうとしているのは分かるし、
現実的に勝ち点を稼ぐ為の、クレーベとアランへ放り込むパワープレーも、選択肢として持つのも分かる。

が、いずれも攻撃的なアプローチで、守備のルールは相変わらず見えない。
就任4ヶ月。いまだ未整備。そこが心配でならない。

残留争いと言う、最後はメンタルがものを言う戦いだからこそ。
メンタルに頼る部分は、出来るだけ無くして、理詰めで守れるようにして欲しいものだ。

試合後、ゴール裏までやってきた選手たちには、
スタンドの至るところから「次こそ勝とう」と声が飛んでいた。

勇人のコメントにもあったけれども、選手達には想像以上のプレッシャーがある。
それを分かち合い、共に背負うかは、サポ1人1人の心の持ちよう一つ。
残り12試合。
戦い抜く覚悟を。