「いま出来ること」で掴んだ勝利 第39節 vsツエーゲン金沢 ○2-1

「いま出来ること」で掴んだ勝利 第39節 vsツエーゲン金沢 ○2-1

2019/11/03(日)14:00
フクダ電子アリーナ
J2第39節
千葉 2(1-1,1-0)1 金沢

<得点>
22分 千葉 21アラン
30分 金沢 17加藤
67分 千葉 10船山

ジェフ公式
Jリーグ公式


前節、アウェイながら勝てる流れを手放し、連敗。
迎えたホームゲームは、天候もあって空席の目立つ試合となった。

J2迎えて39節。まだ残留が決まらないジェフは18位。
一試合でも早く残留を確定させたいところ。
残る4試合のうち、幸いにしてホームゲームは4試合。
これをアドバンテージにしない訳にはいかない。

スタメン。
鳥海が出場停止。

大方の予想は、ボランチに矢田旭をはじめ、代わりの選手を先発させるものだったが、船山が久しぶりの先発。ボランチには浩平が下がる形になった。これまで、浩平の位置で前線のチェイシングが始まっていたので、守備のスタートラインが一列下がる事になる。
もちろん、クレーベや船山が守備をしないと言う訳では無いのだが、起点は浩平だ。

対する金沢は、マンマークからのタテへの素早い切り返しでゴールまで迫る、やり方が整理されたチーム。
前回対戦時は、江尻監督に交代後、初の連勝をした後に、ほとんど何も出来ず敗れ、再建の方向性に混乱を生じさせる事になった難しい相手。
前回と同じ轍を踏むわけにはいかない。

試合が始まると、やり方が明確な金沢が、積極的に仕掛け、シュート数で上回る立ち上がりになった。
マンマークでジェフを前線から潰しにかかる金沢。
ボールを奪うと、冷静にボールを後ろで回し、DFラインの裏を目掛けてボールを送り込む。
シンプルなやり方が効果的で、ジェフは後手を踏む。

序盤の主導権は金沢。

しかし、一瞬の隙から先制したのはジェフだった。
22分。左のスローインから、アンドリュー、船山と繋ぎ、船山がDFを背負ってキープしたところに、右から走り込んで来たアランが左足でシュート。これが上手くコースを突いて決まり、貴重なゴールに。

ただ、先制しても流れは変わらず、金沢がペースを握り続ける。
迎えた30分、CKの守備でニアサイドに居た浩平が触ったボールに加藤選手が綺麗に合わせて、あっさりと同点にされる。
リードが長く続かない。

ジェフは、相変わらず守備の形が曖昧で、金沢からなかなか効果的にボールを奪えない。
ボランチの浩平が、あちこち顔を出してプレッシャーをかけているものの、それが周りの選手と連動して、相手を挟み込む形になっていないのが、もどかしい。

試合はやや硬直して前半を終了。
勝負の行方は、後半へ。

選手交代は無し。
後半に入り、ジェフはシンプルにサイドからクレーベを目指す攻撃の形が多くなる。
「戦術クレーベ」に振り切ったように、左の下平、右の米倉、両サイドバックから、アーリー気味のクロスが上がり、それに対してクレーベも、絶妙な身体の入れ方で飛び込み、金沢に脅威を与える。

ペースは少しずつジェフ側に傾き、コーナーキックを得たクレーベが、ゴール裏を煽って焚き付ける。
スタンドの熱量が高まる中、67分。
米倉が右から強引に突っ込んできた。
ここで決める。これまでの鬱憤を叩きつけたような強烈なドリブルで、対面の選手を腕で制しながら中に切れ込み、ゴールライン間際まで到達すると、グラウンダーのクロス。
ファーで船山が、一度はポストに当ててしまうものの、リバウンドを何とか流し込み、勝ち越し点。

フィニッシュはジェフのキング。
久々の先発の背番号「10」が、1G1Aの活躍でフクアリを歓喜に導いた。

しかし、リードを奪いながらも、それで安心が出来ないのが今のジェフ。
問題は、どう試合を締めるのか、だった。

前節は、クレーベを下げ、前から守備をしようとする采配が、ラインを下げて守りきろうと言う守備陣の意図との乖離を起こして、バランスを崩してしまった。そのせいか、この試合では江尻監督の采配は慎重だった。
傷んだアランに代えて、ゲリアを投入すると、いったんはゲリアをSBに入れ、米倉を上げたものの、途中で2人の位置をまた入れ替えて微調整すると、後は時間ギリギリまで交代を控え、87分に堀米。アディショナルタイムに、時間稼ぎの旭投入。

金沢のシンプルな攻撃は最後まで脅威だったものの、致命的なミスを犯さ無かった事が今節は大きかった。
危ない場面でも、身体を張ることが出来ていた。
完全にベタ引きにはならず、カウンターの切っ先も残しながら、耐えたアディショナルタイム5分。
耐え切って笛が鳴ると、歓声と同じくらい、安堵のため息のような声がフクアリを包んでいた。


久しぶりの先発の船山が、チームを救う1G1A。
ただ、正直に言えば、船山らしくないプレーも多かった。
ボールを簡単に奪われたり、特に後半最初の方にあった、フリーで抜け出たシーン。
我の強い船山だったら、必ず打ち抜くだろうと思ったシーンで、選択はパスだった。
しばらく先発を外れる中で、迷いもあったのかも知れない。

それも、試合の中で帳尻を合わせてしまうのは、さすが「成田の漢」か。
試合後は、寿人に促され、珍しくお立ち台に上がって、素朴で熱い言葉を、サポに向かってかけてくれていた。
出れば結果を残す。改めて、船山の存在感の大きさを感じる試合になった。

そして、江尻監督にとっては、前節、采配が裏目に出て順位の近い山口に逆転負けを許しただけに、ホームでの勝利は、残留に向けて大きな勝利になった。選手達以上に安堵した気持ちもあるのではないだろうか。

決して快勝ではなかったけれども、試合に出た選手たちがそれぞれに「いま出来ること」を考えてやりきり、不完全ではあってもこの一試合に勝つことに集中した結果掴んだ勝利。

今季も残り3試合。残留確定まであと勝ち点1。もう少しだ。
難しいシーズンになったけれども、このメンバーでやるのも後わずか。
悔いの無い戦いをやりきろう。

※追伸、金沢サポの皆さん。
被災した地域へ向けた、激励の横断幕ありがとうございました。