整いつつある土台 2020 J2第11節 vs松本山雅 〇3-0

整いつつある土台 2020 J2第11節 vs松本山雅 〇3-0

2020/08/12(水)19:00
フクダ電子アリーナ
J2第11節
千葉 3(2-0,1-0)0 松本

<得点>
7分 千葉 11寿人(20矢田)
22分 千葉 5増嶋
68分 千葉 5増嶋(FK20矢田)

千葉公式
松本公式
Jリーグ公式


夏の5連戦の二戦目。
フクアリも昼間の暑さが残る厳しいコンディシションだったが、
アウェイ金沢戦以来の先発大変更に、出場機会を得た各選手が奮起。
狙い通りのゲーム運びで快勝となった。


スタメンは、前節から章太とゲリア以外の9人が入れ替え。
アウェイ・金沢戦以来で寿人とソロモンの2人が前線でコンビを組んだ。


ジェフは序盤からしっかりと守備を整えて慎重にゲームに入る。
そして、早い時間の先制点、そして追加点が流れを確実なものとした。

7分。GK新井からのボールを中央から、左、そして右へと展開。
ゲリアが旭にボールを出した後、前線にそのまま走り込んでスペースと時間を作り出すと、旭はマーカーを引き連れ、旋回しながら左足でキーパーに向かってボールを送り出す。

ボールはそのままGK村山の懐に収まる、そう思った刹那。
GKとDFの間のほんの僅かなスペースに黄色いユニフォームが飛び込む。
村山に収まるはずだったボールは、つま先で軌道を変えられ、ネットを揺らしていた。

寿人だ。

逆側で背番号は見えなくとも、あの瞬間、あのボールに、あの位置で合わせるなら、ゴールしたのは寿人しかあり得ない。

GKと、DFがお見合いをしたのではない、
「まさか」「そこに」「来るわけがない」
あまりに美しいゴール。
背筋に寒気が走った。

このゴールで心に余裕の生まれたジェフは、松本の反撃を一つ一つ潰していく。
松本の左サイドには、一時期ジェフにもいた高木利弥。
彼の突破力は健在で、右SBのゲリアと丁々発止の鍔迫り合いを繰り返している。

脅威ではあったが、この日のゲリアは素晴らしく、怪我で戦線離脱した田坂の力まで乗り移ったかのような奮闘ぶり。身体を投げ出し、クロスを上げさせない。シュートも打たせない。彼が振りきられても、コースを切った先には岡野。ブロックし、あるいはハイボールを弾き返し、一試合を通して集中した守りを見せた。
大分へ武者修行に行く前、自信を失ってしまったような姿はもうどこにも無かった。

松本の攻勢を受け止めて迎えた22分。
右からのスローイン。

ボールをタオルで拭きはじめたのは、増嶋ではなくゲリア。
普段、砲台役の増嶋はファーに陣取る。
放たれたロングスローは、松本のDFがクリアしてファーに流すと、そこにはドンピシャで増嶋。これが決まって、2点目。シュート2本で2得点の効率の良さ。

この2点目で完全にチームが落ち着いた。
残りの時間は、リードを活かしてゲームをコントロール。
松本に隙を与えなかった。

飲水タイム直後の25分には、ゲリアの低いクロスにソロモンが突っ込みあわや3点目のチャンスを作る。間近で寿人の動きを見ているソロモン、こういう「点」で合わせるプレーも、これから見せてくれるかも知れない。

各選手とも、持ち場でそれぞれの仕事に徹する。
ボランチの壱晟と小島は、ピッチ全体を睥睨し、左右にボールを散らす。左翼の下平と為田は、連動して前に出る松本の裏を衝く。とりわけ為田は、普段以上に自ら仕掛ける意識が高く、カウンターのキーマンに。

2点あるので、あまり無理はしない。
暑さの中、ボールを大きく動かし、相手を走らせ、疲れさせるエコノミックなサッカー。
集中を切らさず、無失点で前半を終了。
引き上げる選手達へ大きな拍手が送られる。


迎えた後半、ジェフは寿人に代えて浩平。
彼にとっては、松本は古巣の一つになる。
シャドーと言うよりも、ほぼFWの位置取り。

寿人同様に久々の出番の浩平も溌剌とした動き。
良く追いかけてプレッシャーをかけ、身体は小さくとも、背中や腕をうまく使って確実にキープして味方の上りを促す。もちろん、機を見てゴールを狙うことも出来る。
ソロモンには、寿人とはタイプの違う教材だ。

52分、FKからまたも増嶋が合わせるも、惜しくも枠をとらえず。

前半同様、シュートは少ない。
流れの中からはさらに少ない。
が、2点リードならば、今のジェフにはこれで良い。
無理をせず、相手の焦りを引き出し、潰し、かっさらい、カウンターで、セットプレーで止めを狙う。

そして68分、カウンターから為田がFKを奪うと、旭のFKにまたも増嶋。
またもフリー。完璧なタイミングで仕留めてみせた。

ニアではソロモンが相手を引き付け、増嶋のすぐ前では、ゲリアが相手を押さえ込んで増嶋をフリーにする。そして、そこに合わせる旭のキック。チームとしての狙いが凝縮された、狙い通りの3点目だった。

今のジェフにとって、3点目はセーフティリードと言えるだろう。
何せ、この試合が終わった時点での1試合平均失点は、0.73。
そうそう失点しない事は、数字が示している。


75分には、尹晶煥監督、一気に4人交代の指示。

旭 → 見木
ソロモン → 山下
ゲリア → チャン
為田 → 米倉

3バック、あるいは5バックにも見える、『試合を終わらせる』布陣に変更しつつも、このままでは終われない、前に出ようとする松本と、アピールしたい見木、山下らの意欲がぶつかって、遠目からのシュートも増える展開に。

しかし、両チームとも得点は奪えず、アディショナルタイム5分も集中して守り切り、2試合連続の完封。そして、再開後ようやくフクアリでの勝利を挙げた。
群馬戦では、章太が一人うずくまっていたけれども、この試合では多くの選手があおむけにバタバタと倒れ、両こぶしでガッツポーズ。よく集中して戦った。ナイスゲームだった。
引き上げる尹晶煥監督にも大きな拍手が送られ、彼も手を上げてサポーターに応えていた。

繰り返しになるが、先制点、そして追加点が早く奪えた事が大きかった。
それによってゲームプランが定まり、各人が今、何をすべきか明確な状態で戦うことが出来た。

そして、統率の取れた守備は、ベンチの指示も大きかったと思う。
たまたま座った席がベンチに近かったのでよく聞こえたが、

ラインの上がり下がりを確認しながら、「ストップ!」
相手選手との距離が遠ければ、「アプローチ!」

とか、かなり具体的。
選手達も迷う事が少なく、自らの仕事に専念出来たのではないだろうか。
尹晶煥監督は守備ラインの下がり過ぎを修正点に挙げていたが、整って来た。

メンバーを変えて連勝。
しかもいずれもクリーンシート。
良い内容で勝てたことで、チーム内の競争もより激しさを増すだろう。
一番大切な、「自信」を深められる勝利だった。

土台(守備)は出来つつある。
上物(攻撃)は、しっかりした土台があってこそのものだ。
深めた自信を糧に、一喜一憂せず、地に足をつけたチーム作りを。
そして、それをサポもしっかり後押ししてゆこう。