最後まで勝利を目指す強い姿勢を J2 第9節 横浜FC戦

最後まで勝利を目指す強い姿勢を J2 第9節 横浜FC戦

首位を独走する横浜FC。
自動昇格を狙うのであれば、もうこれ以上彼らを走らせる事は出来ない。

ホーム、フクアリは、
先週の寒さとは一転した夏を思わせる陽気。



ようやく揃って来たメンバー。
先発には高木、サブには新加入のチアゴ・デ・レオンソがを連ねた。

試合開始からペースを握ったのはジェフ。
メリハリの効いた攻守。

いつも通り4-5のブロックで守りを固め、最終ラインへの侵攻を防ぎつつ、中盤のアンドリュー、田口がボールを刈り取って展開。ソロモンが前線でボールを収めて時間をつくり、ブロック全体を押し上げて横浜FCに圧をかけていく。

対する横浜FCは押されながらも、狙いが明確。
ジェフのディフェンスラインの間隙を衝いて、小川航基、伊藤翔、長谷川竜也が細かく動く前線に、縦一本のパスや、アーリークロスを上げてくる。

手数は多いものの、なかなか決定機を作れないジェフ。
見木が強引に左サイドからカットインし、ミドルシュートを2度放つも、わずかに枠をはずれ、またキーパーの正面をついてネットを揺らすことが出来ない。

40分には、見木のグラウンダーの左クロスにソロモンが合わせるも仕留めきれず。
流れたボールを高木が至近距離で狙うも、ライン上で身体を投げ出していた、手塚の好守に阻まれてしまう。

すると、43分。
横浜FCは、左からのアーリークロスを、DFの間に入り込んだ小川航基に頭で合わせられ、先制を許してしまう。

ジェフは、まるで得点を奪うという課題を、関数もロクに使わず、力技のエクセル作業でこなしているかのようで、一方の横浜FCは、マクロを組んでボタン一つで作業を終わらせているかのようだった。

頑張っているのに、結果に繋がらない、そんなやりきれない徒労感を毎試合感じてしまう。本当にあと少しなのだけれども。


手ごたえに相反するスコアの前半を終えて、迎えた後半。
試合の流れは大きくは変わらない。
引き続きジェフがペースを握る。

68分、切り札が投入される。
末吉、サウダーニャ、そしてチアゴ。
3枚替えでギアを上げ、状況を打開しようとする尹晶煥監督。

が、投入時間帯と選手は、ここ数試合を見ていれば凡そ予想はつく。
横浜FC守備陣は慌てる事無く対応し、四方田監督もクレーべを皮切りに、次々にフレッシュな選手を投入して、試合を決める2点目を奪うため攻勢を仕掛ける。


(試合終了時の布陣 74分には福満に代えて米倉が入った)

双方の攻勢が拮抗し、強引なシュートはあってもなかなか決定機には至らない。
時間は過ぎ、アディショナルタイムは4分。
ゲームがあまり止まらなかったので、もっと少ないかとも思った。
「まだ4分ある」との思いだった。

横浜FCは、時間を潰し、試合を決めにかかっている。
このままタイムアップかと思われた最後の攻勢。
カウンターから左に展開し、左クロスを攻撃参加していたミンギュが頭で合わせ、それを身体をネジりながら新井一耀が頭で合わせ、ゴールに流し込む。

前回のホーム時に続く劇的な同点弾。
が、これは決勝点ではない、まだ同点だ。

歓喜の輪が出来、ベンチからも選手が飛び出してくる中、鈴木大輔や、田口は早く再開しようと喜ぶ選手たちを急き立て、アンドリューやサウダーニャも輪には加わらずにいた。
センターサークルにボールが戻る前に、主審は両手を上げ、試合は終わった。

結果的に、これはラストプレー。
DAZNで見直せば、94分も超えており、もうワンプレーの時間は無かったろう。

しかし、歓喜の輪が出来るのを横目に。
なんでもう1点を奪いに行かないんだ、ボールを持って走ってくれと思わざるを得なかった。相手を引き摺り降ろさなければ、昇格はない。まして、ここはホームだ。内容でそこそこ満足していたらダメだ、同点じゃダメだ、最後の最後まで勝ちに拘らなくてはー。

チームの中には、明確な意識の差があった。
それはスタンドも含めてだ。

選手が最後まで全力を尽くした、それは分かってる。
ラストプレーでの同点弾。大いに称えられるべきだろう。

けれど、本当に昇格したいのであれば、それで良しとしていてはダメだ。
変えなくてはいけない意識がある。
そのことをまざまざと感じたラストプレーのコントラストだった。

チームとしては成長を見せている。

主力が戻ってきたのが何よりも大きいが、新潟戦、町田戦、横浜FC戦と、上位と対戦して遜色のない戦いぶりを見せている。守備の安定、そこから攻撃への切り替え。
終盤の粘り強さも際立っている。

横浜FCは確かによく整ったチームだった。
が、その一方で、過去J2で上位チームと戦った時に感じたような、打ちのめされるような圧倒的な差を感じなかったのもまた事実だった。勝ち点差は大きく離れてしまっているが、チーム力として大きな差は無いとも感じた。

町田、新潟も含め、各チーム、遜色の無い力がある。
だからおそらく、今年のJ2は、本命なき争いになる。

いかに取りこぼさないか、目の前の勝ち点に、得点にこだわるか。
それを突き詰めていけば、チャンスはまだある。

そのために、もっと勝利への拘りを、強い強い拘りを。
チームには持ってほしい。

次の試合こそは、勝利をもって歓喜の輪をつくり、共に喜び合いたい。