昨年の残像との戦い 2023 J2第4節・ブラウブリッツ秋田戦

昨年の残像との戦い 2023 J2第4節・ブラウブリッツ秋田戦

2023/3/12(日)14:00
ソユースタジアム
J2第4節
秋田 1(0-0,1-0)0 千葉

<得点>
53分 秋田 5河野

千葉公式
秋田公式
Jリーグ公式

上昇気流を掴むきっかけを後押しするため、急遽秋田遠征。
しかし、結果は0-1の敗戦。

ジェフの狙いがハッキリしていれば、それをどう潰すか相手は対策を練って来る。
群馬戦に続き、「攻撃的なサッカーで主導権を握る」サッカーのサイクルが回りはじめるには、まだ時間がかかると再認識させられる試合展開に。ここでブレず、辛抱強くチャレンジを続けられるかどうか。早くも最初の正念場がやって来た。

スタメンは1人変更。
左WBが椿から、日高。ようやく負傷が癒え、初先発となった。
前節からは、田邉、壱晟、矢口が外れ、日高、アンドリュー、西久保がメンバー入り。

対する秋田。
フィジカルコンタクトが強く、シンプルで縦に速く、愚直。

今季はここまで3試合で無失点。彼らがJ2に上がって以来、ジェフは苦しんでいるが、そういう凡事徹底の姿勢が、まだ進むべき道を模索しているジェフと比べた時、積み重ねとなり、相対的に強みになっているのだろう。
彼らにとっての「当たり前のことを当たり前に」やっているクラブだ。

守る時はブロックを敷いて守り、攻めに切り替われば一気に前へ放り込む。
まるで昨年までのジェフをより研ぎ澄ましたようなスタイル。
プレスからのショートカウンターを狙いたいジェフにとっては、奪いどころが難しく、かつ奪った後に前に運びにくい、食い破りにくい相手。

季節外れの暖かさだったが、折からの強風で徐々に体感温度が下がって来る。
行きの新幹線、盛岡から秋田に至る奥羽山脈越えは、まだまだ雪が残っていた。本来の寒さが、風と共に戻って来るかのようだった。

前半は向かい風。その強風が秋田の攻撃をより鋭利にし、先手を取られる。
向こうは手数をかけず前にボールを放り込んで来るので、こちらもそれに合わせて弾き返す。ボールが落ち着かない。繋ごうとしても、風で押し戻されてパスがなかなか思うように繋げられない。ボールを拾われ、運ばれ、いくつかCKやFKが続き、押し込まれる展開が続いた。

序盤の劣勢をなんとか凌いだ後、7分過ぎ、ようやくボールが繋がる。
最終ラインから大きく蹴ったボールを小林、小森、呉屋と繋ぎ、右の末吉へ。
クロスを上げるも、中で弾かれ、流れたボールを遠目からシュート。

だんだんとジェフがボールを握り、秋田がブロックを敷く時間が増えてゆく。
20分には、最終ラインから最前線への呉屋へのロングボール。
21分には、ボールを受けた松田が最終ラインから攻め上がってゴールを窺う。
ただ、攻め手は増えるも、シュートにまで至らない。
秋田にボールを持たされている感がある。

その秋田。26分に速攻。
攻撃参加した左SBへロングボールを展開して局面を切り替え、左クロスを上げた先には、反対の右SBが待ち構えてシュート。大きく左右に振られ、空いてしまった3バックの外のスペースを秋田に使われ、ピンチを招く。
ひと刺しが重いのは、先日の山形に近いものがある。

双方、切り替えが目まぐるしい。
30分過ぎにはジェフに前半最大のチャンス。
田口のFKに鈴木大輔が頭で合わせるも、押し込み切れず。
さらに、そのすぐ後には日高のCKから小森が繋いで松田が頭でフィニッシュ。
これもゴールを割る事が出来ない。

40分過ぎにはアクシデント。
新井章太が突如足を気にし始め、しばらく中断した後に鈴木椋大へ交代となってしまう。
連携の隙を衝かれないか心配だったが、無難に鈴木椋大が締めて前半を終了する。

後日、DAZNで見直したのだけども、この前半、だいぶ印象が違った。
現地ではもっと劣勢に見えた。陸スタだと、どうしても遠いゴール側が、どれだけ惜しかったか、あるいは深刻なピンチだったかが判別しにくくなる。見直すと、シュートは少なかったものの、ゲームを組み立てようとしている意図は悪くなかった。
ただ、秋田のハードワークを上回るほどの攻撃は繰り出せていなかった。

後半、今度は風上に立ったジェフ。
開始早々のラッシュで、先制点を奪いにかかる。
47分には、見木がペナルティエリア内にドリブルで切り込み、倒されるも笛は無し。
さらに左の日高から絶好のクロスが呉屋に上がるものの合わせる事が出来ない。

先制のチャンスを逃すと、逆に秋田が流れを引き寄せた。
後半、繰り返しロングスローでエリア内まで放り込むと、実に4回目。
51分に、ロングスローからバックヘッドでネットを揺らす。
鈴木大輔がマークについていたが、河野の位置取りが上回った。

どんな形でも1点は1点。
変わろうとしているジェフが去年の残像を見せられているかのようだった。

勢いに乗った秋田は、さらに波状攻撃を仕掛けるも、
再び流れを取り戻したジェフがボールを握り、秋田はカウンターから一発を狙う展開へ。
両軍、交代のカードを切って、主導権を奪いにかかる。

最大のチャンスは66分、左を抉った日高からグラウンダーのクロスに小森がダイレクトで合わせたが、枠を捉える事が出来ず。

その後は、押し込むものの、守備を固めた秋田を破る事が出来ず。
時間の経過とともに、焦り、疲れが見えるように。DFの攻撃参加も前が渋滞して効果的にならない。ブワニカにロングスローをさせたり、速くゴール前へボールを送ろうとする姿勢が強くなるも、秋田を上回る高さも無く、何かちぐはぐ。

最後の15分は、なりふりを構わずという感じで攻めていたが、結局、逃げ切られてしまった。攻撃的に戦いながら、零封負けは苦しい。

スタンドに挨拶しに来た選手たちの顔を見やったが、苦しい表情をしていた。
結果が出ない事で、自信を失い、ブレる事が一番怖い。
今年は時間がかかってもチャレンジする。
このサッカーを突き詰めて勝つんだと最初にリスクを負う覚悟はしたはず。

その為にも、雑音を起こさず、信じて、根気強く、後押しするだけ。
秋田まで来た甲斐はあった。
他所は他所。ジェフはジェフだ。

今後も強敵が続く。
結果と共にプロセスも大事にしてゆきたい。