過去の壁を超えて 2023 J2第34節・ブラウブリッツ秋田戦

過去の壁を超えて 2023 J2第34節・ブラウブリッツ秋田戦

2023/9/9(土)19:00
フクダ電子アリーナ
J2第34節
千葉 2(1-1,1-0)1 秋田

<得点>
3分 千葉 77ドゥドゥ(2髙橋の右クロスをファーでボレー)
40分 秋田 8畑
57分 千葉 オウンゴール(2髙橋の右クロスが秋田22高田に当たってゴール)

千葉公式
秋田公式
Jリーグ公式

意識してしまうと、身体が、頭が固くなる。
それまで無意識に出来ていた事が、何故か出来なくなるものだ。
かつての臨海不敗神話も「夏 BY ALL!」でそれを意識した途端に、あっさりと止まってしまった。

誰が気付いてしまったか、
「クラブ新記録となるリーグ戦ホーム6連勝目指して」と公式SNSも煽りを入れる。

今日の対戦相手は秋田。
これまでリーグ戦では勝ったことが無い。
7月の清水戦以降、前から来る相手が多かったが、秋田は明確に違う。
局面局面で時に必要以上に激しい接触プレーを厭わず、ボールを奪えばシンプルに両翼の裏へ縦パスを通す。単純な分、迷いが無く、無駄が無い。

それ故に厄介な対戦相手だった。

メンバーは前節と全く変更なし。
佐々木はまだ復帰できず、今節も新井一耀が鈴木大輔とCBを組む。

この日は、「市制施行60周年記念ホームタウン市原市デー」。
2003年のジェフをオマージュしたユニフォームの着用が始まった。


(フクアリの今季のナイトゲームは、次のホーム・仙台戦が最後になる)

キックオフと共に、ここ数試合と同じく前からプレスをかけるジェフ。
秋田もそれは承知。ボールを握るジェフを裏返そうと構えるが、ジェフを焦らす前に得点が先に動いた。3分、深い位置のカウンター。クリアボールを収めた小森が囲まれながらも右の田中に展開し、その大外を深々と壱晟がサイドを抉る。クロスはファーに走り込んでいたドゥドゥへ。これをボレーで叩き付けてゴールを破った。

前半戦で苦しんだ決定力だったが、ドゥドゥの加入後、確実に仕留めてくれるようになった。これで、秋田は前に出ざるを得なくなったが、圧倒的にボールを支配するのはジェフで、秋田はほとんでボールを前に運べない。

一方のジェフも、チャンスは作るものの、次の1点がなかなか奪えない。
この日の小森はマークが厳しく、なかなかフリーでボールを受ける事が出来ない。
代わりに、プレッシングとポストワークで前線にタメをつくり、味方の攻め上がりを促す。

飲水タイムを経て、秋田はビハインドながら、はっきりと引いて構えて来た。
恐らく、当初からこうやって攻めさせて一本のパスで裏返す想定だったのだろう。
それが、早い時間の失点で、構えるのか前に出るのか意思統一が曖昧になって、ジェフにってはそれが与し易い状況をつくっていた。

それが、飲水タイムでリセットされ、やりにくくなった。

ボールは相変わらずジェフが握り、秋田がボールを保持する機会は多くない。
その一方で秋田がボールを持てば、手数をかけずに前線にボールを送り込み、その度にジェフのラインは下がらざるを得なくなる。秋田のロングスローでゴール前を固めなければならないシーンも増え、そこから再度前線に展開する度に全体が間延びしていた。

その状況で、ジェフの守備の拘束力一瞬の隙を見せた。
40分、秋田に中央でボールを繋がれ、それが前線のFW畑に通ると、間髪入れずに振り抜かれて同点ゴールを許してしまう。

そう。秋田にはこういう一発がある。
前回対戦時も、試合全体を通して見ればジェフペースだったにも関わらず、ロングスローから、狙ってそこに飛ばした訳でもないだろう、山なりのバックヘッドでゴールを割られて、そのまま敗戦を喫している。

前半、1-1で終了。

後半に入ると、今度はジェフがさらに集中力を増して攻勢を仕掛けた。
元々、ボールは握れている。そこから、固めた相手にどうフィニッシュで終わるか。

その部分で、6月までのジェフの悪癖が少し顔を出す。ゴール近くまで運んで回すものの、なかなかシュートの本数が増えない。スペースが無いのは分かるけれども、押し込みながらもシュートが撃てないのはストレスだ。細かいミスが出る。「勝たなくてはならない」と言う焦りが、じわりスタジアムに漂う。

そうして攻めあぐねていた57分だった。
ジェフは自陣でボールを回収してカウンター。田口が右にボールを展開する。
一気に攻め上がった壱晟がまだ浅い位置からアーリークロスを送り込むと、ニアには風間、ファーには小森がドンピシャのタイミングで飛び込む。その二人に挟まれる形になった22高田選手がクリアし切れず、ボールはゴールへ。オウンゴールで再びリードを奪う。
攻め続けていたからこそ、人数をかけて圧をかけていたからこその得点だった。

しかしまだ時間は30分以上。
前に出ざるを得なくなった秋田に対して、ジェフは必要以上に急がず3点目を狙いにゆく。

対する秋田は、5枚の交代枠をフルに使い、前線の運動量、肉弾戦のボリュームを切らさない。シンプルな分、数少ないチャンスはシュートで終わり、かつ、得点の可能性を感じさせるものばかりだった。縦パス一発で合わされて、バーを叩く強烈なシュートを撃たれたり、あわやと言うシーンをいくつも作られる。

固めた守備と、一発狙い。
まるで、昨年までのジェフと試合をしているかのよう。

今年の秋田とジェフ。
アプローチは全く異なるものの、勝敗に関して言えば紙一重のチームだった。

集中力が切れそうになるが、後半の飲水タイムはジェフに利したのではないだろうか。
ピッチに戻る選手達にスタンドから「WIN BY ALL!」の大きなコールで喝が入れられる。
スタンドも、ピッチも、勝ち切る事が出来なければ意味は無いと集中を高めた。

攻める為に、崩す為に序盤から動いていたぶん、ジェフの消耗の方が濃い。
が、バランスが取れている布陣を崩してまで3点目を奪いに行くと、秋田に隙を衝かれかねない。この日のベンチは、終盤の80分にヨネ、85分に呉屋を投入して2枚で終了。小林監督も我慢を強いられる展開だった。

熊本戦に続き6分の長いAT、力業で攻める秋田に肝を冷やされるシーンを作られたものの。
こちらも身体を張って守り、タイムアップ。

熊本戦に続き、難しい試合を勝ち切り、4連勝。
そしてホーム6試合連続勝利。チーム記録の壁を見事に破ってみせた。
控室に戻っていく小林監督がガッツポーズでスタンドに応えているのが見えた。
もう一歩前に進めた。そんな充実感を噛みしめていたのではないだろうか。

最近の試合と同様、この試合でもカウンターが冴えていた。
相手が構えていたのでその回数自体は多くなかったものの、得点に繋がった場面はいずれも、素早くサイドに開いて相手が寄せる前にクロスを上げ、中に枚数も揃っていた。

小森へのマークも厳しいが、ボールを収め、タメを作り、シュートが撃てなければ、フリーの選手へボールを繋ぐ、もしくはリターンを狙ってスペースに走る。
常にゴールを狙い、意外性と正確性を併せ持つ小森を相手は最優先で抑え込まねばならない。だからこそ、周りにはスペースが出来、フリーの選手が生まれる。

そのスペースを埋めるのを優先すれば、小森が隙を逃さずシュートを撃つ。
相手にとっては厄介極まりない。

もしも、「全員」が小森と同じようにシュートを最優先する意識になれば。
対戦相手は手に負えなくなる事だろう。

そして、2得点をアシストしたのは壱晟だった。
右サイドバックに定着してから、クロスでアシストと言うシーンはなかなか無かっただけに、この試合は彼にとって、今後に向けて良い感覚を掴む事になったのではないだろうか。

相手が秋田と言うのも因縁だった。
昨年、大きな怪我を負った秋田を相手に、同じフクアリで勝利を掴んだ。
試合後のマイクパフォーマンス、「俺たちジェフ」からは、普段物静かに映る壱晟の内面にある熱さが溢れ出たかのようだった。

新たな「背番号2」がチームを牽引しつつある。
頼もしい限りだ。


この試合、結果と関係なく気になった事がある。
秋田のプレーについてだ。

自分は秋田のシンプルなプレースタイル、局面局面の厳しさや執念は好きだ。
が、このところ彼らは、激しいプレー、身体を張ったプレーと、ラフプレーを取り違えてはいないだろうか。

秋田の選手は、相当に厳しく球際で競り合う事を要求されているのだろう。
けれど、不必要で、時に度を超えたアフタープレー、ラフプレーが目につくようになってしまっている。
このままでは、また相手選手に怪我をさせてしまいかねないし、自分達も大きな怪我を負う恐れがある。

昨年と選手が代わってもプレーの根っこが変わらないのは、悪い意味で秋田にラフプレーをよしとする判断が根付いているように思う。
監督や指導陣が変わらない限り、その判断基準は変わらないかもしれないが、省みて欲しいと思う。
怪我人が出ない事を祈るばかりだ。

さて、次の対戦相手は栃木SC。
直近5試合負けなしと、こちらも調子を上げている。
夏には、福島や京都にいたイスマイラ選手を獲得。
藤枝戦では彼の身体能力を活かしたゴールも決めている。

毎回、グリスタの対戦は塩試合。栃木SCが守備に徹すれば我慢の展開になる可能性もあるが、両軍の現状を考えると、ロースコアの展開にはならないとも予想される。

いずれにしても目の前の試合を一つずつ勝たねば上との差は詰まらない。
残り8試合。終盤戦に望みを繋ぐためにも、現地に多くのジェフサポが集う事を期待したい。