走り負ける悔しさ 第33節・京都サンガ戦

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台風の影響も懸念されたものの、幸いにして試合中は月が浮かぶほど天候は回復していた。
ただ、台風が南から巻き込んだ湿った風は、じっとしても汗が噴き出すほどの蒸し暑さを伴っていた。

浩平率いるサンガをホームに迎えたジェフ。
サトケンを出場停止で欠くものの、天皇杯で良い動きを見せたヤマトが先発出場。
生き残りをかけた、負けられないゲームとなった。

スタメンは、GK岡本。
DFに左から峻希、智、竹内、米倉。
ボランチに勇人と大介が組み、
2列目には左から、谷澤、ヤマト、田中。
FWにケンペス。

ゲームへの入り方は悪くなかった。
ヤマトを加えた前線は、これまでの試合よりスピード感を持ってボールを繋ぎ、
各々がシュートへの意識を持って、京都の出鼻を挫いた。

押し気味の展開のままに、セットプレーから田中が先制点を奪い、
さらに追加点を求めて、前に出る姿勢を失わない。

しかし、この暑さがそうさせたのか、徐々にミスが目に付きはじめる。
異常は、まず左サイドの谷澤に現れた。
普段だったらありえないような、安易なミスパスで幾度もピンチを招いてしまう。

他の選手にも、時間の経過と共に、ミスが増え始める。
京都が、時間と共にジェフの動きに慣れて来たのもあるかも知れない。

それでも前半は、峻希、竹内、智が、 集中を切らさずに粘り強い守備で跳ね返して事無きを得る。
危ないシーンはあるものの、決定的とまで言えるシーンはほとんど無く、後半の修正が期待された。

迎えた後半。
京都が序盤から前がかりになる事は目に見えていたが、それをいなす事が出来なかった事で、
この試合の趨勢が決まっていってしまった。

そうさせてしまったのも、ミスが絡んでいた。
後半が始まって10分くらい、京都の攻勢を受けながらも、ジェフが攻めに転じるシーンがいくつかあった。
そこで、田中をはじめ、前線の選手が複数回ボールを安易に失うミスを犯してしまう。

攻め続けられるのは厳しい。
マイボールで一服つきたいシーンで、すぐにミスでまた攻められてしまう。
自分達のペースでなく、相手のペースに合わせるのは、体力面・精神面共に消耗が大きい。

京都のラッシュにラインを下げてしまったジェフは、その後、一方的に攻めたてられてしまう。
息も絶え絶えにボールを跳ね返すばかりで、前線で時間を全く稼げない。

本調子でなかった谷澤を下げて大塚を入れるも、全く機能しない。
むしろ、ボールを持てる谷澤を外した事で、事態は悪化してしまう。

これだけ一方的にやられると、さすがに耐え切るのは難しい。
66分には、左へ右へと振り切られて、ついに同点弾を許してしまう。

ベンチは、2枚目のカードとして、兵働を切るも、元々本調子では無く先発を外している兵働は、
何とかしようとする痛々しいまでの気持ちは伝わって来るものの、いかんせん身体が気持ちに
追いついて来ない。まして、こんなサウナのような気候では尚更だった。

77分には、米倉が攻め上がったところにボールが出せず、
兵働がボールを奪われたところから、高速カウンターを喰らって逆転を許す。
裏目、裏目に交代が働いてしまった。

その後、ジェフは森本を投入するものの、そもそも、前線までボールが運べていないのに、活きるはずも無い。

このくらいの時間帯になると、ジェフの選手の運動量は完全に切れてしまい、孤軍奮闘するヤマトの速いパスに、誰もついてこれない状況になってしまっていた。ワンタッチでリターンパスを欲しいようなプレーで、注文通りのパスが返って来ない。ボールを受けても、出せる場所が無く、フィジカルで潰されてしまう。 

森本と、ヤマトだけでは如何ともし難い。

峻希が意地を見せて、強烈なミドルを放ったシーンがあったものの、反撃らしい反撃はそれくらいだったか。

前半から、猛然と右サイドを攻め上がり続けていた米倉が、珍しく試合中に天を仰いだ。
非難されても仕方ない仕草だったが、それだけもどかしさにいたたまれなかったのだろう。

結局、試合はそのまま、1-2での逆転負けとなった。
最後はバテバテで、抵抗らしい抵抗も出来なかった。

攻守に奮闘した米倉、峻希の両サイドバック、猛攻に曝されても意地を見せた智と竹内。
前線で、何とかしようとクイックネスとアイデアで勝負していたヤマトと、個々の頑張りは見えた。
しかし、如何せん。全体的な運動量の欠如と、前線の選手のミスパスの多さ、キープ力の不足は、目を覆いたくなる後半の出来だった。

改めて言うほどの事でもなく、今季通じての課題がそのまま表れていたゲームだった。

この期に及んでどうしようも無い話だが、運動量で負ける、
しかもホームで、と言うのは、ジェフサポにとって受け入れ難い敗戦だ。

ゲームに出ている全員が、下手糞でも走り抜く、最後まで攻め抜く姿勢を持つ事は、
ジェフにとって最低限のあるべき姿勢であると思う。
チームも、それを目指していたはずなのに、その原点にすら辿り着いていない。

土台作りから始めないと、いつまでも変わらない。
残り9試合。
「絶対J1」
スローガンだけが、重たく響く。