秋田の掌中 2021 J2第3節 vsブラウブリッツ秋田 ●0-2

秋田の掌中 2021 J2第3節 vsブラウブリッツ秋田 ●0-2

2021/03/14(日)14:00
フクダ電子アリーナ
J2第3節
千葉 0(0-2,0-0)2 秋田

<得点>
4分 秋田 8茂(22沖野の右クロスにダイレクトで合わせる)
17分 秋田 6輪笠 (右クロスのクリアを拾ってミドル)

千葉公式
秋田公式
Jリーグ公式

「盾」を構える前に、もう斬られていた感じ。
さすが、無敗でJ3優勝まで突っ走った秋田。
ジェフの守備ブロックが整うまで待っていてくれるような、お優しいサッカーではありませんでした。


台風のような荒天だった昨日とは打って変わって快晴のフクアリ。
鮮やかな緑のピッチには、強風が残り、強い日差しが照りつける。
気温は20度近くまで上がり、日向だと暑い。体力の消耗が心配されるコンディションだった。

来週には解除と言う報道もあるが、まだ緊急事態宣言下。
アウェイ席は設けられていない。
感染発覚から、活動停止にまで追い込まれているG大阪をみるまでもなく、まだまだ油断が出来ない情勢だ。味気ないが、仕方が無い。

ピッチ練習に現れた秋田の選手達には、スタンドから大きな拍手。


ジェフのスタメンは、前節から3人の変更。
船山、福満、壱晟が名を連ねる。
リザーブのメンバーにも大きな変化は無し。
なかなか、川又や田口、新戦力の小林や伊藤、それに復帰のミゾの名前が入らない。


日差しを避けたかったのか、エンドチェンジをしてキックオフ。
が、秋田にはそんな事は全く関係なかったようだ。

開始2分、船山のCKがヨネの頭に合いそうになるも、上手く相手に入られてクリアされてしまう。その逸機のすぐ後、秋田の速攻が牙を剥く。

ジェフボールのスローインを奪われ、
ジェフの左サイドを3人のコンビネーションで破られる。
29齋藤恵太のポストから、9中村亮太がドリブルで持ち込んでタメて、その外側を回り込む22沖野将基にパス。右クロスが、ファーに流れたところを、ダイレクトで8茂平に振り抜かれて、あっさりと失点。
中には、8茂平だけでなく、29齋藤恵太、6輪笠祐士も。

16分には、キーパーからのフィードを再び左サイド。
こちらの人数も居るにも関わらず、29齋藤と、22沖野の2人を止める事が出来ず、深々と切り崩され、引っ張り出された鈴木大輔をかわされてクロスを許すと、中で何とかクロスをかき出そうと弱いクリアになったところを、6輪笠に拾われてグラウンダーのシュートを撃ち込まれる。
ここも、ペナルティアリア近傍に秋田の選手が6人。

ジェフは、殺到する秋田の選手を捕まえきれずに、どちらのシーンでもフリーでシュートを許してしまっていた。

攻撃に移った時の秋田の鋭さ。
人数をかけるリスクのかけ方。
そして、昨年、北九州との対戦でも感じた、J3上がりのチームの引く抑えられたシュートの正確さ。

立て直すのには時間がかかると頭では分かっていても。
ジェフが何週も遅れたところで立ち止まっている苦しい現実を、まざまざと見せつけられた、鮮やかな速攻だった。

開幕節で見たように、ジェフも例えば運動量一つをとっても、昨年より改善はしている。
が、あくまで去年のジェフより少しマシになっただけであって、秋田は各選手が、それよりも遥かによく動いていた。それも最終盤まで。
それだけじゃない。尹晶煥監督がコメントしていたように、球際も秋田の選手が強い。戦っている。試合中に大きな声の掛け合いが響くのも秋田の選手だ。

ジェフも、攻撃機会が無かった訳ではない。
例えば、最初の2本に加えて、4本あったCKや、35~40分頃には高い位置でボールを持って、相手の守備を切り崩したシーンもあった。が、秋田にはシュートを撃つべき位置に、複数の選手が居たが、ジェフには居なかった。ボールは、ため息とともに、誰にも触れずに転がっていった。

前半終了。
声が出せたなら、ブーイングの一つでも浴びせたいくらいだ。


後半開始に合わせて、ジェフの交代は無し。
対する秋田は、50加賀に代えて、24山田。DF同士の交代。
在籍9年目のベテランの選手で、ボランチもこなすという。

2点を奪い返さねばならないジェフだったが、ピッチは上がらない。
ボールは持てると言うか、「持たされている」。

秋田は、もう自分から攻める必要が無い。
ジェフに攻めさせて、疲れさせて、ミスを狙って。
あわよくば、ザクっともう一刺し。
その考えで後半をやり過ごせばいい。

秋田の守備はとても割り切った守備だ。
「最終的にゴールさせなきゃ良いんだろ?」と言わんばかりに、ボールを持たれようが、クロスを上げられようが、最後の最後は人数をかけ、身体を張ってボールを跳ね返す。

その要所をガチガチに守られた守備の周りを、ジェフは迷いながらボールを回し、戻すだけだから、「支配率」は上がる。が、見ていても、全然怖さが無い。意外性が無い。どうすれば、ゴールが入るのか、セットプレー以外では全くイメージが浮かばない。

59分、カウンターから、船山、大槻と繋いで抜けて放ったシュート。
これが、唯一無二の決定機。
入っていれば、少しは秋田を揺さぶる事が出来たかもしれないが。。。

67分、秋田は2トップを交代。
まるで、運動量を「給油」するように、フレッシュな選手を送り込む。

ジェフは、69分にブワニカ、77分に岩崎を投入。
最前線にブワニカ、その下に見木。左に岩崎、右に福満と言う布陣になる。
面子だけで言えば、かなり機動力のあるメンバーになったものの、堅守速攻を絵に描いたような布陣で、籠りながら止めを機会を伺う相手を引っ張り出すことも出来ない。

あまり好きでは無いが、終盤にロングボール、ハイボールで空爆を仕掛けるような面子が居れば、アクセントもついたのかも知れないが、、、
残り3枠の交代を余らせ、同じようにボールを回して、無理に突っかけ、シュートを撃てずに弾き返されの繰り返しでは、攻城兵器の無い攻城戦を見ているかのようだった。

アディショナルタイムは5分あったが、
結局、何も起こらなかった。

秋田、ゲームプラン通りの完勝。

試合後、秋田の選手達が、観戦に訪れていた元監督の間瀬さん(ジェフでは御大の通訳などを務めていた)が居るバクスタに挨拶に行ったとき、秋田の選手達のプレーを賞賛してか、ジェフサポがまばらになったスタンドから拍手が起こっていた。

サポにそんな気持ちにさせるほど、秋田と力の差があったと言う事だろう。

フクアリを離れて、帰宅し、夕食を済ませ、風呂に入り。
気持ちを落ち着かせて、冷静になって考えてみると。

御大が日本代表についてよく話していた。
過大な期待をし過ぎるから失望があるのだと。

昨年14位のチームだ。
昨年は形にもなっていなかった攻撃を、ほぼゼロから作ろうとしている最中なのだ。
と、ジェフの立ち位置を正しく認識しなければならない。開幕まで、一切の練習を見る事が出来なかったから、もう少し攻撃が形になっているんじゃないかと淡い期待を抱いてはいたのだけれども。これはもう少し時間がかかりそうだ。

新井章太、田口、川又と、主力となるべき選手達のコンディションも整っていない。
鈴木大輔をはじめ、新しく入った選手達との連携もまだまだだ。

もう少し、何をどうやろうとしているのか、狙いを見ていこう。

自分自身、こういう試合の後は、ネガティブな気持ちにもなる。
けれど、J3への降格が4枠もある、2021年シーズン。
過大な期待に捉われて、まだ作りかけのチームがバラバラになるような事があれば、それこそ取り返しのつかない結果になるかも知れない。それを喜ぶのは、他のクラブだけだ。

自信の喪失は何よりも怖い。
その為に、まず一つ勝って、自分たちの取り組みへの確信を得たい。

一歩一歩、時間はかかるんだと、
自分自身に何度でも言い聞かせて、また次節応援します。