重かった序盤の失点 J2 第5節 群馬戦

重かった序盤の失点 J2 第5節 群馬戦

2022/3/20(日)14:00
フクダ電子アリーナ
J2第5節
千葉 0(0-1,0-0)1 群馬

<得点>
7分 群馬 23平松(17山中の左クロスをダイレクトで合わせる) 

千葉公式
Jリーグ公式

悔しい敗戦になった。
守備に強みを持つサッカーを志向しているチーム同士、最少得失点差に終わる事は戦前から予想出来ていた事だったが。ジェフ対策を徹底して仕込んで来た大槻監督の狙い通りの試合展開となってしまった。


スタメンは前節と変わらず。
一方、サブには、小林とアンドリューが復帰。
サウダーニャと篠原が外れる形となった。

試合は、お互い守備を固めつつ、そこからの攻め手を伺う展開。
後ろでボールを回しては、前線のソロモンをややアバウトなボールで狙うジェフに対して、群馬の狙いは徹底してジェフの右サイド。鈴木大輔、西久保、小島の側から、執拗に隙を伺う。

その狙い通り。早くも7分には群馬が先制する。
タッチ数の少ないパスでジェフの守備を揺さぶり、ギャップが出来たところで、西久保の裏にボールを遠し、ダイレクトクロスを、ダイレクトで合わせて、ニアサイドを撃ち抜いた。
まるで、金沢戦のソロモン→見木のゴールのようだった。

そして、その後の試合展開において、この失点が非常に重たかった。

先制した群馬は、ますますゲーム運びを明確にする。
守って、回して、ジェフの右サイドの裏を狙う。
ほとんどこれだけだ。

が、ジェフは、籠る相手にどう攻めるかが曖昧。
もう少し、落ち着いてボールを握っても良かったのでは?とも思う。
ソロモンへのロングボールは、相手も分かり切っているので容易に迎撃され、押し上げが足りていないので、セカンドボールを回収されてしまう。正直、援護が少ない状況下で、相手に囲まれたソロモンに競り勝ちキープし、時間を作るところまで期待するのは難しい。相手の狩場になってしまう。

↓細江さんの解説

なかなか攻めの矢印が揃わない中、奮闘していたのは右サイドの西久保だった。
空中戦で悉く競り勝ち、ボールを持てば自ら仕掛け。ロングスローで砲台としてチャンスを作り、時にはゴール前に進出してヘディングシュートを見舞い、守備では身体を張って対応する。

ついに中西永輔の2番を継ぐべき、正統派直系の選手が登場した。
かつての背番号2の後姿を思わず重ねてしまうほどの奮闘ぶりだった。

一方、左のセンターバックでは、佐々木が素晴らしいフィードを前線へ、あるいはサイドを変えるために送り出していた。「左利き」の強みを存分に活かしたキックは、昨年までのジェフには無い強みになっている。

ただ、彼らの奮闘の一方で、群馬は堅実に、ミスなくジェフの攻撃をいなし、時には鋭いカウンターで、2点目を奪おうと揺さぶりをかけてきた。
ユニフォームの色も相まって、まるでアウェイユニを着たジェフ自身と戦っているような錯覚を覚えるようなしぶとい戦いぶりだった。


「このままでは打開できない」
そう考えたのは、ベンチも同様で、後半頭から選手交代を行う。

小島   → 田口
ブワニカ → 風間

前半の存在感からすると、妥当な交代。

ボールへの関与が薄く感じたブワニカを風間に代える事で、周囲とのパス交換を促し、田口はブツ切れになっていたボール回しの預け所として全体を指揮する。
特に田口は、本来ならば90分使いたいところだが、45分ならば何とかと言うコンディションなのだろう。

果たして、後半の試合展開は一気にジェフが攻勢を仕掛ける形となった。
「守る相手をどう崩すか」その課題と向き合った45分間でもあった。

田口の存在感は抜群。
これほどボール回しが変わるかと驚くほど。狙い通りにボールを収め、展開し、時にはエリア外からシュートを撃ち、群馬を自陣へと釘付けにしてゆく。

風間や見木、両翼の選手や、時には進出して来た鈴木大輔や佐々木も交えて、細かいパス回しで群馬のギャップを伺う。ただ、固められた群馬のゴール前は容易には崩れない。攻め込むほどにスペースは無くなり、より一層のリスクを侵さねばシュートに持ち込む事が出来ない。

幾度もあったセットプレー、ロングスローと合わせ、群馬をガードの上から殴るも有効打が無い。

70分には、傷んだ福満に代えてアンドリューが投入される。
これで、最終ラインは、左から鈴木大輔、チャン、新井一耀、ボランチは田口とアンドリューと言う、連携慣れした昨年のメンバーに戻り、左WBには佐々木が上がる形になった。

残り20分。最後の攻勢。
76分には、交代のカードが用意された西久保が最後の力を振り絞る。
風間からボールを受け、強烈なミドルを浴びせ、さらに佐々木の左クロスを西久保が頭で落として、鈴木大輔のクロス。ソロモンが足で合わせるも、城和にライン手前でクリアされてしまう。

西久保に代え、矢口が投入されると、スピードを活かして深く抉るアクセントが加わる。

86分には、この日最大のチャンス。
風間→ソロモンの落としに見木がフリーで飛び込むも懐深く入り過ぎて、シュートをキーパーに当ててしまう。
88分にはソロモンに代えて佐久間を投入。
アディショナルタイム、時間稼ぎに入る群馬を振り払い、前へ前へと攻めるも。
時間は刻々と過ぎ。最後、風間が身体を捻りながら強引にシュートを放つも枠外。

笛が鳴ると、多くの選手がピッチに突っ伏して悔しさを露わにした。

群馬としては、「作戦完遂」の会心の試合。
ジェフとすれば、相手にお株を奪われた形の試合となってしまった。

ゴールが遠い。ホームで勝てない。昇格を目指す上で苦しい状況ではある。
が、この試合、特に後半は、選手達からも、ベンチからも、勝ちたい気持ちが伝わる戦いぶりだった。

ラストプレー、風間選手がシュートで終わってくれた事にも感謝している。
あの時間、あのシーン、仮に後ろに戻して笛が吹かれていたら。同じ敗戦でも、モヤモヤとした気持ちが膨らんでしまっただろう。結果はどうあれ、最後まで前のめりで戦い抜いた。その証明のようなシュートだった。

コロナ禍でメンバーは欠け、思うような準備は出来なくとも、勝利を届けようと尽くしてくれた。それはスタンドにも伝わっていると分かって欲しくて、選手達の目を見て、手を叩いて彼らを迎えた試合後だった。

全力は尽くした。それでもゴールは奪えなかった。
開幕5試合で、3得点3失点。次節からは三連戦。
困難な状況下でも、次々とやってくる試合に、気持ちを強く向き合わねばならない。
長いシーズン。チームが苦しい時、我々は何をしなくてはならないか。
冬が終わり、春がやって来る。
芽吹き始めた若葉を手折るのではなく、後押しし、伸ばす応援をしたい。