正攻法だけでは得点は奪えない J2 第6節 栃木SC戦

正攻法だけでは得点は奪えない J2 第6節 栃木SC戦

2022/3/26(土)14:00
カンセキスタジアムとちぎ
J2第6節
栃木SC 2(0-1,1-1)1 千葉

<得点>
2分 栃木 14谷内田(クリアボールをヘディングでコントロールし、落ちて来たボールを反転しながらダイレクトボレー。ドライブ回転がかかってネット左にゴール)

88分 千葉 40櫻川(左サイド21秋山のグラウンダークロスを、オーバーラップした15 チャンがシュート、キーパーが弾いたところに40櫻川が詰める)

90+2分 16カルロス グティエレス(ロングスローをニアで逸らし、ファーでフリーだった16カルロス グティエレスがヘッドで流し込む) 

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前節同様、早々に奪われた先制点。
荒れる強風に定まらないパス。
回せども、回せども、その先を切り開けない、もどかしい停滞。

この日もジェフは、「どう得点を奪うか」その道筋をほとんど見いだせないまま、試合を終えようとしていた。

最終盤、なりふり構わぬ攻撃。
交代出場の秋山の左クロスにミンギュが合わせ、こぼれ球をソロモンが押し込む。
沈んでいたスタンドが弾け、カンセキの屋根から手拍子の反響が降り注ぐ。

スタジアムの空気は完全にジェフだった。
が、ラストプレー。
ロングスローを繋がれ、ファーでヘッドを流し込まれる。
黄色い歓喜は、ホームチームのものとなり、呆然と敗戦を受け容れるしかなかった。


どうにも、プレーが窮屈に見える。

スタメンは、前節の後半開始時と同じ。
風間と田口が入ることで、最初からボール回しをスムースにし、ペースを握るゲームプランだったのだろう。

しかし、先制したのは栃木。
見直せば見直すほど、「あんなシュートが入ってたまるか」と思えるほどのゴラッソ。
トラップして浮いたボールを、落ち際に回転しながらボレーで叩き込むなんて。
あれが毎度入るなら、谷内田選手は、欧州の強豪にでも居るだろう。
しかし、あの位置にボールを放り込んだこと、思い切り振り抜いたからこその一撃。

早い時間帯に先制したことで、栃木は守備陣形をより強固にしてしまった。
栃木からすれば、狙い通り。結果、より一層狭いスペースに両軍の選手が密集してしまい、出しどころの無いパスは、前述の強風にかき乱され、あるいは相手に引っかかる。ごちゃごちゃっとした、落ち着きの無い展開。

右はともかく、左はドン詰まりだ。
やりくり厳しい中、左に回った福満。なかなか持ち味の突破が出来ない。
右に持ち替えないとクロスを上げられないのを、相手に承知されている。

栃木は、ジェフの選手たちがボールを落ち着かせようと戻すところにも厳しいプレスを仕掛けて、自由にさせず、繋ぎの過程でのミスを誘う。厄介だったのがトカチ選手。最終ラインでボールを回している間、執拗に追走して来て、パスの選択肢を奪われた。
その背後には、佐藤祥。要所を堅実に締めて、見木、風間らを自由にプレーさせない。

じわり、じわりと時間が過ぎ、ほとんど何も出来ないまま前半終了。
見せ場は、西久保のロングスローが逆風をもろともしなかった場面くらいだろうか。

ベンチメンバーを見渡すが、この状況を一人で変えられそうな顔ぶれではない。
監督もそういう認識だったのか、後半開始時のメンバー交代は無しかった。

後半、同点を目指すしかないジェフだったが、風上に立ったものの、それを活かせない。
もう少し風を利用したミドルシュートを撃って揺さぶりをかけるなど工夫が欲しかったのだが。
前半と同じような展開がしばらく続く。

57分。最初の交代。
西久保に代え、米倉。佐々木に代えてアンドリュー。
この交代でミンギュは最終ラインに戻る。

交代でややリズムを掴んだか、65分過ぎ立て続けにチャンスを作る。
右サイド、大外をオーバーラップした新井一耀の狙いを定めたクロスにソロモンが飛び込むが、合わせる事が出来ない。その流れたボールを、福満→見木と繋ぎ折り返すが、これにも誰も合わせる事が出来ない。

ようやく、ペナルティエリアの中まで進む事が出来たが、栃木も固くゴール前を閉ざしているので、正攻法だけでは最後の壁を打ち破れない。
時間が、さらに過ぎていった。

(試合終了時の布陣)

80分、福満に代え、秋山。風間に代え、篠原。
左足でクロスを上げられるようになった事で、左のテンポがアップする。
その秋山のクロスから、88分、ミンギュのシュート、こぼれ球にソロモンで同点弾。

最終ラインに下がっていたミンギュが、攻め上がっていた事で、相手のマークが外れて生まれた得点。65分の新井一耀のクロスにせよ、後ろ3枚のうち誰かが攻撃参加しているような攻撃でないと、相手の意表を突く攻撃に至っていないかのようだ。

残り数分、カンセキの空気は、スタンドも、ピッチも、逆転弾を狙う空気だった。
少なくともアウェイで勝ち点1でよしとする空気では無かった。
それが最後の失点の遠因になったのなら甘受するしかないが。
少なくとも、勝ち点1を持ち帰らねばならない試合ではあった。


それにしても、カルロス グティエレスにヘッドを流し込まれた後、時間がほとんど無いとはいえ、選手達が完全に項垂れてしまっていたのは残念だった。
あそこでボールを掴んで、センターサークルまで走る勝利への執念を見せて欲しかった。
勝利からも、得点からも遠ざかり、自信を失っている様子が見て取れる。
少し引き摺りそうな敗戦になってしまった。

とは言え、すぐに試合はやって来る。

得点力不足、と言うよりも、どうやって攻めるかは、昨年来の問題。
対戦相手のジェフ対策の上を行く、何らかの解決策が必要だ。
ここ数試合、ミンギュが一列前でプレーしていたが、弊害として、昨年の終盤に武器の一つになっていた、新井一耀のオーバーラップがほとんどみられなくなっていた。

田口、アンドリュー、小林の復帰に伴い、ミンギュを本来の最終ライン真ん中に戻し、一耀が右WBと二枚刃で攻め上がるシーンを増やしたい。

左CBの選択は、今後、課題になるだろう。
佐々木のフィードは鈴木大輔にはない武器で、ダニエル・アウベスも「左」を期待しての獲得だ。

同時に左WBも、左利きの秋山あるいは佐々木、復帰すれば末吉を起用して、切り返さずにクロスを上げられるようにしたい。福満はやはり、右の方が活きる。

両翼からクロスが上がるようになれば、ソロモンのシュートチャンスも増えるはずだ。

抜本的解決は、レオンソの合流と戦力化、サウダーニャの復帰を待たねばならないように思える。これから、4~5節は、現有戦力の中で劇的な改善は望みにくい状況が続く。その中で粘り強く戦い、どれだけ勝ち点を落とさずに上位に食らいついてゆくかが、今季の昇格の可能性を終盤戦まで残せるか、大きな鍵になるはずだ。