劇場の空気と共に J2 第33節 ベガルタ仙台戦

劇場の空気と共に J2 第33節 ベガルタ仙台戦

2022/8/27(土)19:00
ユアテックスタジアム仙台
J2第33節
仙台 0(0-0,0-2)2 千葉

<得点>
55分 千葉 6新井(4田口のCKが流れたところをファーで合わせる)
74分 千葉 10見木(26西久保のロングスローを、40櫻川が頭で落とし、10見木がシュート)

千葉公式
仙台公式
Jリーグ公式

ホーム三連戦を、1敗2引き分け。
リーグ戦は残り10試合。
相手が上位だろうと、アウェイであろうと、プレーオフ挑戦権を掴むには勝ち続けるしかない。

19年ぶりの仙台。
勇人の2発で勝利した遠い記憶は朧げで、新しい記憶を焼き付けるにはおあつらえ向きだ。

苦しかった8月。
ようやくメンバーが戻って来た。
新井一耀がスタメン復帰。チャン・ミンギュと福満もベンチ入りし、二種登録に頼らずにベンチを埋める事が出来るようになった。

3バックは、左からD.アウベス、田邉、新井一耀。
両翼には左に末吉、右に西久保が入り、その他のメンバーは前節と変わらない。

対する仙台は、ここまで連敗。
自動昇格圏内とは勝ち点7差。ホームで必勝が求められる状況。
それが力となるか、気負いとなるか。

夏の終わり。
仙台は蒸し暑くはあるものの、関東に比べるとまだ涼しく感じる。
空はどんよりと曇り、今にも雨が振り出しそうだった。

ユアスタの一角はジェフサポで埋まった。
余剰席無しの100%運用。正直狭い。立ち見のサポまで居る。スタジアム内の移動も出来ず、カンヅメ状態。応援以外にやる事が無い。意図せず構築された密集隊形。拍手が、手拍子が、カタマリになる。仙スタの屋根に反射して降り注ぐ。1stユニを纏った選手たちとも相まって、まるでフクアリ劇場を持ち込んだかのようだった。

キックオフと共に仕掛けるジェフ。
西久保のクロスからブワニカが頭で合わせ、ファーストシュート。
尹晶煥監督のコメント通り。今日は前からだ。

序盤こそ、先手を取っていたジェフだったが、徐々に流れはホーム・仙台に傾く。

ボールを握っても、なかなか前に運べない。スペースを作る動きが足らず、止まって、足下で受けるようなコースの読みやすいパスが多い。それが、仙台のプレスの網に引っ掛けられる。あるいは、ゴールキックがサイドを割ったり、単純なミスも出て、なそこからシュートカウンターを食らってピンチを招く。

26分には、44中島選手のロングシュート。
新井章太が見送っていたので、枠外かと思ったら、揺れて落ちてポストを叩き、肝を冷やす。この一撃が決まっていたら、そのまま仙台が押し切っていたかも知れない。

30分過ぎからゴールに近いところで仙台のセットプレーが増える。
キッカーは、50遠藤選手に、44中島選手。
どちらも直接決める技術のある選手だったが、シュートは寸でのところで枠を外したり、あるいは新井章太が掴んで失点には至らない。

前半は、0-0で終了。
途中から雨も振り出し、両チームにとって難しいコンディションになっていった。

後半に向けての選手交代は無し。
ハーフタイムの指示で落ち着きを取り戻したのか、後半序盤は再びジェフのペース。
50分には、チアゴ→見木→末吉と繋いで中の田口へ。ボールが繋がりはじめる。

さらに、競り合いから奪われたボールを、田邉がカットして奪い返すと、前にスペースがあると見るや、一気にドリブルで持ち上がる。
彼を見ている仙台の選手はいない。あっという間にペナルティエリアまで到達。
ここで、田邉。外の末吉では無く、中のチアゴを選択。

最短距離で、前へ。
この意識の差。
川崎のゴールに対する貪欲さを感じる。
ジェフの各選手が、田邉から大いに吸収して欲しい一連のプレーだった。

続く55分には待望の先制点。
田口のコーナーキックがファーに流れ、フリーで待っていた新井一耀がダイレクトで抑えたシュートを放つと、相手DFに当たって軌道が変わり、ゴールへと吸い込まれた。

寝技に持ち込む布石の先制点。
得点王の新井が復帰早々の大仕事だった。

が、そのすぐ後にはまたもアクシデント。
末吉が足を痛めて福満に交代。
いつ怪我してもおかしくないような強度のプレーをしていたので、いつも無事を祈る思いだった。勝ちたい気持ちが身体よりも前面に出てしまうのだろう。残念だ。軽症を願う。

これで左は縦に深く抉る突破は望み難くなった。
不幸中の幸いだったのは、先制点後であったこと。。
セーフティな選択をする福満の方が、守備に回った時には安定感がある。

リードを活かし、試合をコントロールするジェフ。
交代策も、前節と違い早めの動きになった。
72分、チアゴ、ブワニカに代え、ソロモンとロペスを投入。

すると、直後の74分に交代が早くも功を奏す。
西久保の本日4投目くらいのロングスロー。すっぽ抜け?もし狙ってなら恐ろしいコントロール。山なりに高く上がったボールをソロモンが頭で落とし、その先にいた見木が右足を振り抜き追加点。


大きな歓喜の輪が、目の前で出来、スタンドは最高の盛り上がりとなった。

2点差。
ゲームをクロージングにかかる。

79分、西久保に代えて、ヨネ。小林に代えて、ミンギュ。
ミンギュはそのままボランチ。
この時間に疲れていないミンギュが入って来たのは、相当に大きかった。

仙台も、選手を変えつつ壁を破ろうとするものの。ブロックを作り、身体を張ったジェフの守備は、そうそう滅多な事では崩されない。一つのピンチを耐えるたび、スタンドから大きな拍手が起こる。
ATは5分間あったものの、そのまま2-0でタイムアップ。
群馬戦以来となる勝利を上げる事が出来た。

前半を0-0で終えられた事が勝負の分かれ目だった。
44中島選手のロングシュート、何度かあったセットプレー。
これが決まっていたら、逆の展開に持ち込まれていたかもしれない。

後半、セットプレーから先制点、追加点を奪い、そのまま逃げ切り。
らしいと言えば、らしかったが。欲を言えば、流れの中からゴールも欲しかった。
守備から組み立てたチームだけに、個々の判断は、どうしても安全運転。

繰り返しになるけれども、田邉のプレーには大きなヒントがある。
ゴールに向かって最短距離で何をすべきか、そこを突き詰めて、攻撃の停滞感を打ち破って欲しい。

それにしても、ユアスタには多くのジェフサポが集った。
直近3試合のホームが、1敗2引き分け。順位も10位で、カテゴリはJ2。
それでも、1,000人近いサポーターがアウェイに足を運んだ。
スタンドを見上げる選手達の表情が、いつになく穏やかだったのが印象的だ。
声は出せなくとも、伝わるものがあったのならば、応援した甲斐があったというものだ。

残り9試合。
状況は厳しいものの、群馬戦以来の勝利で可能性を繋げる事が出来た。
次は、ホームフクアリ。田口も言っていたように、ホームで勝つことで、その可能性を大きくしてゆきたい。